フィールド日記
2012年05月
2012.05.21
ゴマダラチョウ
2012.05.21 Monday
今日は、「夏休み子供自然体験教室実行委員会」のメンバーで、体験教室のコースの下見をしました。コースに含まれる雑木林で出会ったのが、写真のゴマダラチョウです。クヌギの樹液を求めてやってきたものと思われます。
ゴマダラチョウの幼虫はエノキの葉を食べます。高校1年生の総合学習で行う「共生の森づくり」の植栽予定樹木にエノキも含まれています。森づくりを通して、このような美しいチョウが不二聖心のフィールドに増えることを願っています。
今日のことば
ミツバチの農薬被害が続いている。量によっては大量死につながり、即死しなくても、中長期的に影響が出る恐れもわかってきた。(中略)
大量失踪や大量死には、農薬、ダニ、ウイルス、環境の悪化など様々な要因や、それらが複合的に関わった可能性が指摘されている。中でも注目されているのがネオニコチノイド系農薬の影響。イネにつくカメムシなどの防除に使われている農薬だ。(中略)
ネオニコ系農薬が使われる背景には、消費者の意識もある。イネにカメムシがつくと、斑点米という黒い米粒になる。食べても害はないが、わずかな割合でも斑点米が含まれると等級が下がり、農家にとって経済的に打撃となる。
「ミツバチが死ぬのは怖いと思いながら、真っ白なご飯をありがたがる意識の間にはずれがある。これを啓発することが必要だ」。そう話すのは、玉川大学ミツバチ科学研究センターの中村純教授。「ハチミツやご飯の向こうにある景色、生産現場への意識を持って欲しい」と指摘する。
小坪遊
2012.05.21
ジャコウアゲハ
2012.05.20 Sunday
ここのところジャコウアゲハを本当によく見かけます。今日もハルジオンにとまる姿を何度も見ました。ジャコウアゲハは、幼虫がウマノスズクサという有毒の植物を食べることで自身も毒を持つようになるので、天敵からあわてて逃げる必要がありません。だから飛ぶスピードは他のアゲハチョウと比べて遅く、比較的写真の撮りやすいチョウです。
今日のことば
いつまでも絶えることなく
友だちでいよう
明日の日を夢見て
希望の道を
空を飛ぶ鳥のように
自由に生きる
今日の日はさようなら
また会う日まで
信じ合う喜びを
大切にしよう
今日の日はさようなら
また会う日まで
金子詔一
2012.05.19
体育大会 アリグモ
2012.05.19 Saturday
今日は体育大会でした。薫風に吹かれながら五月晴れの空の下で充実した素晴らしい一日を過ごすことができました。
図書館の近くでユニークな生き物に出会いました。一見するとアリに見えますが、これはアリグモと呼ばれるクモで、アリに擬態しています。アリは蟻酸という有毒物質を出すことで天敵から身を守っていますので、クモもアリに擬態することで天敵から忌避されるという利点があるわけです。不二聖心ではいたるところでこのアリグモを目にすることができます。
今日のことば
木という字を一つ書きました
一本じゃかわいそうだから
と思ってもう一本ならべると
林という字になりました
淋しいという字をじっと見ていると
二本の木が
なぜ涙ぐんでいるのか
よくわかる
ほんとに愛しはじめたときにだけ
淋しさが訪れるのです
寺山修司
2012.05.18
ヤマアカガエル フタリシズカ
2012.05.18 Friday
築山の池のヤマアカガエルのオタマジャクシがカエルになったと生徒が知らせてくれました。同じアカガエル科でも昨日のフィールド日記で紹介したタゴガエルとは様子が若干違い、多少こちらの方が大きいです。タゴガエルの生息環境の特殊性が体の大きさにも影響しているのかもしれません。
フタリシズカが咲き始めました。この時期は美しい純白の花をたくさん見ることができます。
今日のことば
ここは宇宙の どのへんなのか
いまは時間の どのへんなのか
鉱物たち はてしなく大らかで
植物たち かぎりなくみずみずしくて
動物たち いつもまっ正直で
この数えきれないまぶしい物物物の中の
ひとにぎりの人間 ぼくたち
こいびとたち 美しく
父母たち やさしく
友だちみんな たのもしく
たべもの みんな おいしく
やらずにおれない素晴らしいこと
山ほど あって
生かされている!
自分で 生きているかのように
こんなに たしかに!
まど・みちお
2012.05.17
マルバウツギ
2012.05.17 Thursday
裏道にマルバウツギが目立つ季節となりました。マルバウツギは、山口県で絶滅危惧Ⅱ類に、栃木県で準絶滅危惧種に指定されています。
マルバウツギについては『不二の自然①』で次のように紹介しました。
今年もウツギ(卯の花)の咲く季節となりました。陰暦4月は卯月といいますが、この月に合わせるようにして、卯(ウサギ)のように白い花、「卯の花」が咲き始めます。古来、日本の詩歌に卯の花は数多く詠まれてきました。その多くはホトトギスとともに詠まれたという特徴を持っています。例えば有名な文部省唱歌「夏は来ぬ」の歌詞には次のような一節があります。
卯の花の匂う垣根に ほととぎす早も来鳴きて
忍び音もらす 夏は来ぬ
不二聖心では毎年、ホトトギスの声も聞くことができます。卯の花が咲き、ホトトギスが鳴くこの自然を大切にしたいものです。
今日のことば
時をも停止させるような、時を垂直に断つ言葉、
それに触れて立ち止まらなくては、
永遠は見えてこない。
今道友信
2012.05.16
モリアオガエル タゴガエル
2012.05.16 Wednesday
昨夜、帰宅しようとして廊下を歩いていたら校舎内に迷いこんだモリアオガエルに出会い
ました。
校舎内に迷い込んだモリアオガエルを外に逃がしてもどってきたら、今度は窓に別のモリアオガエルがついていました。
今日の朝は、岩の穴から出てきたタゴガエルの子どもに出会いました。絶滅危惧種のカエルたちに日々、出会うことのできる不二聖心の環境は本当に素晴らしいと感じます。
今日のことば
私たちは子どもを尊重しなければなりません。創造主である神の姿に似せて造られたこの小さき者の世界に敬意を持って接していかなければなりません。
聖マグダレナ・ソフィア
2012.05.15
モリアオガエル
2012.05.15 Tuesday
雨の一日となり体育大会の総練習も体育館で行うこととなりましたが、モリアオガエルだけは一日中、元気のよい鳴き声を響かせていました。写真はアジサイの木につかまっているモリアオガエルの写真です。指は、アマガエルなどと比べてかなり長く、木の上での生活に適するように進化してきたことがわかります。
今日のことば
あなたの知らないところに いろいろな人生がある
あなたの人生が かけがえのないように
あなたの知らない人生も また かけがえがない
人を愛するということは
知らない人生を知るということだ
灰谷健次郎
2012.05.14
エビネ オオギンスジアカハマキ
2012.05.14 Monday
職員室の横の花壇にエビネが咲いています。たまたま横を通ったので見つけることができましたが、ほとんど誰にも知られることなく咲いている花です。何とも惜しい気がします。
お茶畑の横のコナラの葉の上でオオギンスジアカハマキを見つけました。害虫としての扱いも受ける蛾ですが、虚心に見れば何とも美しい蛾だと思います。重なる葉の間に隠れるようにとまっていました。目立たないところにこそ本当に美しいものはあるのかもしれません。
今日のことば
私たちは「一人ひとりがかけがえのない存在だ」と日ごろ聞かされてはいるけれど、実際にそんなふうに生活することはなく、いつも自分が置かれた場所のシステムに合致するよう暮らしている。「かけがえのない自分」なぞ実感もできないし実現もできない。家族や仲間同士の友愛ですら、その多くは共依存だったり、自己愛の押しつけだったり、愛の強要や、ギヴ・アンド・テイクの体系だったりする。
そんな現実の中で、本当に「かけがえのない自分」を見つけるためには、たった一人のかけがえのない相手にたった一人で向かい合う必要がある。その相手を特定の「神」という名で呼ぶ必然性はない。
竹下節子
2012.05.13
平清盛の法名を名乗る虫、ジョウカイボン オオスズメバチ サトキマダラヒカゲ
2012.05.13 Sunday
今日は日曜日、大河ドラマ「平清盛」が放映される日です。この平清盛の法名が和名になっている昆虫がいることをご存じでしょうか。ジョウカイボン(浄海坊)です。今日、そのジョウカイボンの写真を撮ることができました。大きい方がメス、小さい方がオスです。
クヌギの木の樹液にオオスズメバチとサトキマダラヒカゲが来ていました。今年初の樹液の確認です。いよいよ雑木林が最もにぎわう季節がやってきます。
今日のことば
人の世を信ずる心くづれんとすれば見え来ぬ母の面影
八十五の翁となれど母おもへばただになつかし今日は母の日
窪田空穂
2012.05.12
カシワクチブトゾウムシ
2012.05.12 Saturday
5月6日に少々不思議な体験をしました。潜孔虫の調査のためにクヌギの葉を採集したところ、あとでその葉を入れた袋から一匹のゾウムシが出てきたのです。最初は驚きましたが、おそらく葉についていたのに気付かずに一緒に採集してしまったものと思われます。そのゾウムシの種名がカシワクチブトゾウムシであることがわかりました。上の写真は顕微鏡の拡大写真ですが、実際の体調は5ミリしかありません。
私たちの見えないところにたくさんの命があることを忘れないでいたいものです。
今日のことば
高きを望め。
あなた方の目はいつも、もっとも高きものを見ているように。
あなた方の一生は、高きものへの絶えざる努力であるように。
マザー・マイヤー