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フィールド日記

2018.04.17

スルガテンナンショウ

 校舎の近くにスルガテンナンショウが咲いていました。「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる筒状の葉に花の集まりが包まれており、独特の雰囲気があります。


 近縁の種には、草姿や模様がマムシに似ていることからマムシグサと呼ばれるものもあります。本種は仏炎苞の上部の内側に微細な突起が密生することや、付属体と呼ばれる棒状の部分の先端が前方に曲がり球状にふくらむことで区別されます。スルガテンナンショウの分布は中部地方の太平洋側とされており、『神奈川県植物誌2001』に記録がないことから、不二聖心がほとんど分布の東限と言ってよいかもしれません。

2018.04.13

サトザクラ

 職員室横の八重咲きのサトザクラが満開を迎えています。サクラの園芸品種は200種類以上あると言われていますが、これらを総称してサトザクラと呼んでいます。生徒と花弁の枚数を数えたところ、1つの花につき23~32枚の花弁がありました。


 ヤマザクラなど野生のサクラの花には5枚の花弁と多数の雄しべがあります。八重咲きのサトザクラは遺伝子の異常によって雄しべが花弁に変化したものと考えられています。花を分解してみると、下の写真のように花弁と雄しべの中間の形をしたものが見られました。確かに、雄しべが花弁に変化しているようです。

 木曜日には家庭科クラブの生徒たちが、開ききる前の花を摘み取って「桜の塩漬け」づくりをしていました。サトザクラは目で見て楽しむだけでなく、食用にも利用されています。この後、塩や酢に漬け込み、1か月ほどで出来上がるそうです。

2018.04.10

トサカホウオウゴケ

 裏道の石積みにトサカホウオウゴケが群生しています。ホウオウゴケ科の仲間は葉が左右2列に規則正しく並んでおり、その姿が鳳凰の尾の形に似ていることが科名の由来になっています。一万円札の裏面に描かれた鳳凰像の尾と比べると確かに似ています。


 コケ植物の種名を調べるには顕微鏡による観察が必要です。下は葉の先端部の顕微鏡写真です。葉の全周に明るい細胞が帯状に並んでいることと、種名の由来となった鶏のとさかのような鋸歯(ぎざぎざ)があることから、トサカホウオウゴケと判断しました。

2018.04.06

ジロボウエンゴサクとタチツボスミレ

 ジロボウエンゴサクとタチツボスミレが並んで咲いていました。写真の中央の淡紅紫色の花がジロボウエンゴサクで、そのまわりがタチツボスミレです。

 ジロボウエンゴサクとタチツボスミレは花の後方に「距(きょ)」と呼ばれる筒状の部分をもっているという共通点があります。江戸時代、子供たちがスミレとエンゴサクの距をひっかけて草相撲のような遊びをしたときに、スミレを「太郎坊」と呼び、エンゴサクを「次郎坊」と呼んでいたことが、ジロボウエンゴサクの由来と言われています。

2018.04.03

モミジイチゴ

 モミジイチゴが白い花を咲かせています。不二聖心ではいくつかのキイチゴの仲間が見られますが、このモミジイチゴが最も早く花を咲かせるように思います。花は下向きに咲くので、覗き込むように写真を撮りました。


 葉は変異が大きく、また、近い種との雑種をつくりやすいことから分類は難しいグループのようです。不二聖心に見られるものは下の写真のように、切れ込みが深いものが多いです。

2018.03.27

ワラビ

 裏の雑木林の林床にたくさんのワラビが萌え出ていました。いつもの年よりかなり早いような印象があります。例年と違う動きを見せているのは、桜だけではないのかもしれません。


今日のことば
石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも    志貴皇子

2018.03.26

ビロードツリアブ

 早春に姿を見せるアブとして知られ、北杜夫の『どくとるマンボウ昆虫記』にも登場するビロードツリアブがキャンプ場で多数確認されました。ビロードツリアブは複数の個体がまとまって飛んでいることも多く、空中でホバリングする姿は一目見てビロードツリアブだとわかるほど特徴的です。


今日のことば
世をはなれ人を忘れて我はただ我の心の奥底にすむ  西田幾多郎

2018.03.22

シイタケ大豊作

「共生の森」のクヌギの原木からこれまで見たことがないほど大量のシイタケが発生しました。命を終えたクヌギから菌の働きによってこれだけのシイタケが育ち、それがまた人間の命の糧となることを思うと生命の不思議を感じずにはいられません。

今日のことば
天地もよりて立つらん芥子の実もそこに凝るらん深きことわり  湯川秀樹

2018.03.19

ソメイヨシノの蕾

 昨日、気象庁が東京でソメイヨシノが開花したと発表しました。これは、平年より9 日早く、昨年より4日早い開花となります。観測を開始した1953年以降、2002年と2013年の3月16日に次ぐ、3番目に早い開花であるということです。

不二聖心の桜の開花はまだ先のようです。「共生の森」の近くの、標高約205メートルのところにあるソメイヨシノはまだ蕾でした。
今日のことば
ちる花はかずかぎりなしことごとく光りをひきて谷にゆくかも 上田三四二

2018.03.14

タチツボスミレ

 気がつけば、雑木林の斜面にたくさんのタチツボスミレが咲いていました。
花弁の色を注意して見ると若干の濃淡の違いがあります。

スミレとよく似た色のフデリンドウが見られるのもそう遠くはないようです。

今日のことば
どんな生き方をしてもいい。魅せられたことを手放してはいけない。好きこと、どうしてもやいたいことの近くにいることを大切にしなさい。

田中優子の父