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フィールド日記

2018.09.03

8月の野鳥の調査

 日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が8月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。

8月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。
 1.ヤマガラ       5羽
 2.ヒヨドリ       17羽
 3.ハシボソガラス    2羽
 4.エナガ       1羽
 5.キジバト       1羽
 6.カワラヒワ      1羽
 7.メジロ        2羽
 8.シジュウカラ     5羽
 9.ハシブトガラス     11羽
10.コゲラ        1羽
11.ホオジロ       3羽
12.イカル        4羽
13.ツバメ        2羽
14.アオゲラ        1羽
15.トビ        3羽
16.スズメ        2羽
17.ガビチョウ      1羽
【特記事項】
1.例年8月初旬に行われる「夏休みこども自然体験教室」で見られるナンバンギセルが今年は見られなかったが、8月25日の調査で見られた。
2.5月~6月に開花するネジバナが第二オークヒルに多く咲いていた。
3.昨年までは第二オークヒルからゴルフ場に続くヒノキ林を歩くとクモの巣が顔や体に付くため、棒でクモの巣を払いながら調査をする状態であったが、今年の5月~7月の調査ではクモの巣がほとんどなかった。8月25日の調査では15個のクモの巣を払いながら調査を行った。
4.昨年まではヒノキ林の林道を歩くとサワガニやヤマアカガエルをたくさん見る事ができたが、今年はほとんど見られなかった。
 不二聖心女子学院の野鳥や植物などの調査を実施し4年目になるが、上記1~4の事象は今
年は例年とは違うと感じた事です。記録的な猛暑が影響しているのか気になるところです。
野鳥に関しては、一年の中で種類も個体数も一番少ない時期です。

2018.08.31

クズ

 共生の森の近くでクズの花が咲いていました。クズは生命力旺盛なつる性植物で、他の植物を覆いつくしてしまうほどです。


 万葉集の時代から秋の七草の1つに数えられ、とても身近な植物だったことがわかります。根からとれるデンプンを和菓子に利用したり、つるの繊維から布をつくったり、葉を家畜の飼料にしたりと、様々な用途に使われてきました。
ところで、帰化植物というと、海外から日本に入ってきた植物に意識が向かいがちです。しかし、実は日本から海外へ渡っていき定着している植物も少なくありません。その代表の1つがクズです。アメリカの南東部では、初めは有用な植物として積極的に導入されたクズが、今では町のいたるところで大繁殖し、現地の人々を困らせているようです。

2018.08.28

コチャガヤツリ

 共生の森にコチャガヤツリが群生していました。カヤツリグサの仲間です。「花序(かじょ、花のつき方)」は線香花火のような面白い形をしています。よく似た近縁な種もいくつかありますが、花の特徴からコチャガヤツリと考えられます。


 カヤツリグサの仲間は、一見するとイネやススキなどのイネ科の仲間のようにも見えますが、カヤツリグサ科という別の科に分類されています。見分けるポイントとして、多くのカヤツリグサ科の植物は下の写真のように茎の断面が三角形になっているという特徴があります。

2018.08.24

シンテッポウユリ

 キャンパス内でシンテッポウユリが白い花を咲かせています。シンテッポウユリは台湾原産のタカサゴユリと在来種のテッポウユリとの交雑由来の種を指しています。園芸目的で育てられていたものが野生化したと言われています。花の外側は赤みを帯びるものから、白いものまで変異が見られるようです。


シンテッポウユリは野生のユリとしては最も目にする機会が多いかもしれません。道路のわきや空き地などいたるところに見られます。ヤマユリなど他のユリは種子から開花まで数年かかるのがふつうです。しかし本種は種子から1年以内に開花し、たくさんの種子をつくるため、急速に分布を広げているようです。

2018.08.21

クサギ

 駐車場から共生の森へ行く道の途中にクサギが咲いていました。花は長い筒状の部分があり、長い口吻(こうふん)をもつアゲハチョウの仲間の大型のチョウが蜜を吸いに訪れているのをよく見ます。

クサギとは臭い木という意味で、葉をちぎったり傷つけたりすると、独特の臭いがすることに由来しています。臭いからクサギとは少しかわいそうな気もしますが、平安時代の本草書(薬物書)にもある歴史のある名前だそうです。個人的には、ピーナッツのような匂いで、それほど嫌な感じはしませんが、感じ方は人それぞれのようです。

2018.08.17

コガンピ

 ヒノキ林の林縁に、コガンピが咲いていました。1m以下の小低木で、冬になると地上部は基部を残して枯れてしまいます。地域のよっては草原の減少に伴って数を減らしているようですが、不二聖心では林縁や草原の手入れがされているために、毎年見ることができています。


近縁のガンピやサクラガンピなどは高級和紙の原料として利用されてきましたが、コガンピの樹皮はもろく、和紙の原料としては使えないようです。植物では、有用な植物に似ているが役に立たない植物の名前にイヌをつける習慣があり、コガンピは別名イヌガンピと呼ばれています。

2018.08.14

アリノトウグサ

 オークヒル沿いの斜面にアリノトウグサが生えています。和名は「蟻の塔草(ありのとうぐさ)」で全体を蟻塚に、花を蟻に見立てていると言われています。

 アリノトウグサは1つの花の中で先に雄しべが成熟し、その後に雌しべが成熟する「雄しべ先熟(おしべせんじゅく)」という性質を持っています。下の写真は雄性期で、雄しべと開いた花弁が目立ちます。

下の写真は雌性期の花で、すでに雄しべと花弁は落ちて、羽毛状の雌しべの柱頭が目立ちます。雄しべ先熟は、雄しべと雌しべの成熟する時期をずらすことによって、自分の花粉で受粉しないようにする植物の工夫であると考えられています。

2018.08.10

カナビキソウ

 オークヒルにイネ科の植物などに交じってカナビキソウが見られます。葉緑体を持ち、自ら光合成をしながらも、地下ではほかの植物から栄養分を奪っている半寄生性の植物です。

 下の写真は花のアップです。葉は細く、花も小さく目立たないため、周りの植物に紛れて見逃しやすいですが、よく観察するとオークヒルのところどころに生えていることがわかります。

2018.08.07

コニシキソウ

 お茶畑のわきなど、いたるところにコニシキソウが見られます。北アメリカ原産の帰化植物ですが、日本各地の畑や路傍に普通に見られる雑草になっています。一方で在来種のニシキソウはコニシキソウにおされて少なくなりつつあるそうです。

 コニシキソウは受粉にアリをうまく利用しています。下の写真は雄花を拡大したものです。雄しべの根もとにあるものは蜜腺です。アリが蜜を吸おうと頭を近づけると、ちょうど雄しべの先端に頭があたり、花粉がつくようになっています。

下の写真は雌花を拡大したものです。雄花と同様に蜜腺が見られます。雄花で花粉をつけたアリが蜜を吸おうと頭を近づけると、やはり雌しべの先端の柱頭に頭がぶつかり、受粉するようになっています。雑草として見過ごしてしまう植物もよく観察すると大変興味深い生態をもっています。

2018.08.04

7月の野鳥の調査

  日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が7月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。

 7月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。
 1.ヤマガラ      8羽
 2.ウグイス      3羽
 3.ヒヨドリ     22 羽
 4.ハシボソガラス   2羽
 5.トビ        1羽
 6.カワラヒワ     7羽
 7.メジロ       15羽
 8.シジュウカラ    10羽
 9.ハシブトガラス   16羽
10.コゲラ       3羽
11.ホオジロ      6羽
12.エナガ        1羽
13.ツバメ       9羽
14.オオルリ      1羽
15.アオゲラ      3羽
16.キビタキ      3羽
17.セグロセキレイ   1羽
18.キセキレイ     2羽
19.コジュケイ     2羽
20.ガビチョウ     5羽
【特記事項】
1.ヤマユリが開花した
2.タマゴタケが見られた
3.「共生の森」下の小川で、孟宗竹の地上約6mの所にモリアオガエルの卵塊がみられた