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フィールド日記

2018.10.02

ムカゴイラクサ

 裏道のやや湿った場所にムカゴイラクサが生えています。上方の「葉腋(ようえき、葉の付け根の内側部分)」には雌花の集まり、下方の葉腋には雄花の集まりが見られます。

 和名の通り、むかごをつけています。むかごとは栄養繁殖器官のひとつで、地面に落下するとここから新たな植物体が生じます。


 また、茎や葉には刺毛があります。ヒスタミンなどの化学物質が含まれているといわれており、触れると強い痛みを感じるので注意が必要です。しかし、春の若芽は近縁のミヤマイラクサとともに山菜として利用されます。ゆでたり、天ぷらにしたりすると、刺毛は気にならなくなります。

2018.10.01

9月の野鳥の調査

 日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が9月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告が届きましたので、掲載いたします。 

9月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。

 1.キジバト     5羽
 2.ヒヨドリ      14羽
 3.メジロ      9羽
 4.ハシブトガラス    6羽
 5.ヤマガラ     5羽
 6.コゲラ        1羽
 7.ハシボソガラス    2羽
 8.イカル        1羽
 9.シジュウカラ     4羽
10.ウグイス       1羽
11.コジュケイ     1羽
12.ガビチョウ     3羽
【特記事項】
1.野鳥の種数は外来種を入れて12種類と少ない。ウグイスの地鳴きが聞かれ、秋になったことを実感させられた。 
2.第2オークヒルに隣接する、以前ソバを栽培したと聞いた場所にナンバンギセルが咲いていた。3本の内1本は通常の高さだが、2本は全長が2cm程度と短かった。「温情坂」近くの東名高速道路沿いの孟宗竹が生えている所で新たにナンバンギセルの生息地を見つけた。
3.8月25日の調査では第2オークヒルからゴルフ場に続く山道で15個のクモの巣を払いながら調査を行ったが、今回は25個のクモの巣があった。
4.今月の調査ではサワガニを6匹とヤマアカガエルの子(約1cm)を3匹確認した。ヤマアカガエルは今年の初認となった。
5.第2オークヒルでツマグロヒョウモンが多く見られた。メスの数に対してオスの数が極端に多いことは興味深い。
6.エントモファガ・グリリ(昆虫病原菌)に侵され草の途中まで登り死んでいるバッタが見られた。エントモファガ・グリリに侵されたバッタ類はススキなどの高い所に誘導され、死を迎える。高い所に誘導する理由は菌をより遠く、広い範囲に拡散させるのが目的であると、蒔苗博道先生から教えて頂いた。

2018.09.28

ヌスビトハギ

 校舎裏の駐車場に、ヌスビトハギが咲いています。マメ科の仲間で花は小さい「蝶形花(ちょうけいか、マメ科に多く見られる左右対称の蝶に似た形の花)」です。市街地から少し離れた場所の林縁などによく見られます。

 果実は節によって2つに分かれており、「節果(せつか)」と呼ばれています。和名の盗人萩(ヌスビトハギ)の由来は2つの説があり、いずれもこの節果に関係しています。1つは節果の形が、足袋を履いた盗人が忍び足で歩いたときの足跡に似るという説です。もう1つは節果には先の曲がった毛が密生しており、動物や衣服に付着するので、盗人が人に取りつく様子に見立てたという説です。

2018.09.25

ミョウガ

 キャンパス内にミョウガが群生している場所が何か所かあります。野生状態で生育していますが、いずれも栽培されていたものが逃げ出したものと考えられます。

 食用にされる部分は「花茎(かけい)」です。普通の葉とは別に,地下の茎から出てきます。花が咲く前のものが食用にされるので、スーパーなどでは蕾の状態で売られています。自然の状態では下の写真のように淡黄色の花が次々と咲きますが,1つの花は1日でしぼんでしまいます。

2018.09.21

コミカンソウ

 共生の森にコミカンソウが生えています。暖地の畑や道端によく見られる植物です。葉は一見すると、オジギソウやネムノキのように複数の小葉が1つの葉をつくる「羽状複葉(うじょうふくよう)」のように思われますが、小葉に見えるものが1つの葉です。


葉の付け根には、名前の由来となった小さいみかんのような果実が並んでいるのが特徴です。

 枝の先の方には雄花がついていました。がく片と花弁の区別のない6枚の「花被片(かひへん)」からなる可愛らしい花です。

2018.09.18

ヤマトシジミ

 共生の森でヤマトシジミを見つけました。身近な場所で最もよく見られるチョウと言ってもよいのではないでしょうか。食草はカタバミです。


しばらくすると羽を広げてくれました。紫青色の部分が広いことからこの個体はオスのようです。黒い縁取りは季節によって変化し、高温期にはこの個体のように幅が広くなります。

2018.09.14

アマチャヅル

 校内のヒノキ林の林床でアマチャヅルが開花しています。花は星型で、「鳥足状複葉(とりあしじょうふくよう」と呼ばれる形の葉が特徴的です。

 つる性の植物で葉に甘味があることから「甘茶蔓(あまちゃづる)」と呼ばれています。一般に甘茶というと、アジサイの仲間のアマチャから作ったものを指しますが、味が似ることから本種から作ったお茶も甘茶と呼ぶことがあります。しかし、アマチャヅルはウリ科で、アマチャはユキノシタ科なので全くの別種です。

2018.09.11

ミツカドコオロギ

 不二聖心にはたくさんの鳴く虫が生息しています。写真は共生の森で見つけたミツカドコオロギです。リッリッリッリと鋭く鳴きます。

 写真ではやや見えづらいですが、顔に特徴的な角が発達しており、名前の由来となっています。不二聖心には何種類かのコオロギの仲間が生息していますが、この角によって簡単に本種を見分けることができます。しかし、この角はオスにしかないため、メスの個体は近縁の種ととても良く似ていて見分けることが難しいです。

2018.09.07

ウド

 共生の森でウドの花が咲き始めています。若芽は春の山菜として有名で、畑で栽培されることもあります。


 大型の多年草で、下の写真のように花をつけた茎は2mを超すほど高く伸びていました。「ウドの大木」という言葉のウドはこの植物のことです。「ウドの大木」を辞書で調べると「〔ウドは茎が高く生長するが、食用にはならなくなり、また茎が柔らかくて用途がないことから〕体ばかり大きくて、何の役にも立たない人のたとえ。」(大辞林 第三版)とあります。しかし、これは訂正しなければなりません。大きく伸びたウドがつける花や蕾は食用になります。私は毎年この時期になると、ウドの蕾を穂ごと摘み取り、薄く衣をつけて天ぷらにしています。香りがよく、とても美味です。

2018.09.04

マダラアシゾウムシ

 共生の森のクヌギには樹液を出しているものがあり、様々な昆虫が集まっています。先日はマダラアシゾウムシがいました。クヌギやコナラなどの新芽を食べますが、樹液に集まることもあるそうです。

 ごつごつとした大きな体が特徴で、同じくごつごつとしたクヌギの樹皮によくとけこんでいます。名前は斑脚象虫(まだらあしぞうむし)で、脚に褐色や白色の毛が生え、まだら模様に見えることに由来します。しかし、残念ながらこの個体はすでに脚の毛のほとんどが取れてしまっているようです。