フィールド日記
2018.08.21
クサギ
駐車場から共生の森へ行く道の途中にクサギが咲いていました。花は長い筒状の部分があり、長い口吻(こうふん)をもつアゲハチョウの仲間の大型のチョウが蜜を吸いに訪れているのをよく見ます。
クサギとは臭い木という意味で、葉をちぎったり傷つけたりすると、独特の臭いがすることに由来しています。臭いからクサギとは少しかわいそうな気もしますが、平安時代の本草書(薬物書)にもある歴史のある名前だそうです。個人的には、ピーナッツのような匂いで、それほど嫌な感じはしませんが、感じ方は人それぞれのようです。
2018.08.17
コガンピ
ヒノキ林の林縁に、コガンピが咲いていました。1m以下の小低木で、冬になると地上部は基部を残して枯れてしまいます。地域のよっては草原の減少に伴って数を減らしているようですが、不二聖心では林縁や草原の手入れがされているために、毎年見ることができています。
近縁のガンピやサクラガンピなどは高級和紙の原料として利用されてきましたが、コガンピの樹皮はもろく、和紙の原料としては使えないようです。植物では、有用な植物に似ているが役に立たない植物の名前にイヌをつける習慣があり、コガンピは別名イヌガンピと呼ばれています。
2018.08.14
アリノトウグサ
オークヒル沿いの斜面にアリノトウグサが生えています。和名は「蟻の塔草(ありのとうぐさ)」で全体を蟻塚に、花を蟻に見立てていると言われています。
下の写真は雌性期の花で、すでに雄しべと花弁は落ちて、羽毛状の雌しべの柱頭が目立ちます。雄しべ先熟は、雄しべと雌しべの成熟する時期をずらすことによって、自分の花粉で受粉しないようにする植物の工夫であると考えられています。
2018.08.10
カナビキソウ
オークヒルにイネ科の植物などに交じってカナビキソウが見られます。葉緑体を持ち、自ら光合成をしながらも、地下ではほかの植物から栄養分を奪っている半寄生性の植物です。
2018.08.07
コニシキソウ
お茶畑のわきなど、いたるところにコニシキソウが見られます。北アメリカ原産の帰化植物ですが、日本各地の畑や路傍に普通に見られる雑草になっています。一方で在来種のニシキソウはコニシキソウにおされて少なくなりつつあるそうです。
下の写真は雌花を拡大したものです。雄花と同様に蜜腺が見られます。雄花で花粉をつけたアリが蜜を吸おうと頭を近づけると、やはり雌しべの先端の柱頭に頭がぶつかり、受粉するようになっています。雑草として見過ごしてしまう植物もよく観察すると大変興味深い生態をもっています。
2018.08.04
7月の野鳥の調査
日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が7月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。
2018.08.03
アイナエ
オークヒルの一部にアイナエが群生しています。図鑑によると日当たりの良い暖地の低湿地に生えるとなっていますが、オークヒルも生育に適した環境なのでしょうか。芝生に交じって生え、長い花茎の先に白い小さな花をつけています。
2018.07.31
アオカメノコハムシ
オークヒルでアオカメノコハムシを見つけました。カメノコハムシの仲間は、甲羅を背負った亀のような形態によって他のハムシと簡単に見分けることができます。アオカメノコハムシの食草はアザミ類で、この個体もアザミの葉にとまっていました。
ハムシの仲間は体内で細菌と共生しており、細菌のつくる物質が葉の消化を助けていると言われています。アオカメノコハムシもアザミの葉の消化を助けてくれる細菌と共生していると考えられます。
2018.07.27
シズオカオサムシ
裏道でオサムシを見つけました。オサムシは夜行性と言われていますが、昼間でもたまに出会うことがあります。体はやや緑をおびた赤銅色に輝いていました。
オサムシの仲間の多くは後翅が退化しており、飛ぶことができません。その代わり、歩くのが得意で、とても速く歩くことができます。そしてミミズなどの小動物を捕らえて食べています。飛ぶことができないため、川や高い山を越えることができず、地理的な種の分化が著しいという特徴もあります。不二聖心にもいくつかの種類のオサムシが生息している可能性がありますが、上の写真のオサムシはシズオカオサムシだと思います。