フィールド日記
2020.01.24
コモチシダ
聖心坂の斜面にコモチシダが見られます。革質でつやのある大きな葉が斜面から垂れ下がるように生えています。
和名は子持ちシダで、下の写真のように葉の表面に無性芽をつけることが由来です。コモチシダは胞子の他に、この無性芽が地面に落ち、そこから新たな植物体が成長して仲間をふやすことができます。
葉の裏面には胞子のう群が裂片の中肋に沿って並んでいます。胞子のう群は厚い包膜にしっかりと包まれています。
2020.01.21
タチシノブ
校舎裏の斜面にタチシノブが生えています。葉は4回羽状に分かれ、裂片も細いため、とても繊細な印象です。この葉のようすがシノブに似ていて、着生のシノブに対して地上性であることからタチシノブと呼ばれているようです。
裂片の縁は内側に折れて、胞子のう群を包む膜になっています。
2020.01.17
オオカナワラビ
ヒノキ林の林床にオオカナワラビが生えています。近縁種と雑種をつくりやすく分類の難しいグループとされています。和名のカナワラビは「鉄蕨」の意味で、硬く光沢のある葉が由来とされていますが、本種は近縁の種に比べ柔らかい葉をもっています。
下の写真のように胞子のう群が小羽片の辺縁に近いところにつくことが近縁種と見分けるときのポイントになります。
2020.01.14
イワガネソウ
ヒノキ林の林床でイワガネソウが生えています。湿った樹林下などに生育する常緑性のシダです。葉は大型で光沢がある単羽状複葉です。和名は岩が根草で岩や崖の裾に生える様子が由来だそうです。
胞子のう群は包膜がなく、葉脈に沿って付きます。よく似た近縁な種にイワガネゼンマイがありますが、葉脈が網目をつくるか、網目をつくらず平行かによって見分けることができます。
2020.01.10
リョウメンシダ
校内のヒノキ林の林床にリョウメンシダが生えています。名前の通り葉の裏と表の葉質が似ています。むしろ、葉軸が良く見える表面の方が裏面のようにも見えます。
葉の裏面の下部には胞子のう群がついていました。胞子のう群には大きな円腎形の包膜があります。
2020.01.07
ホコリタケ
セカンドオークヒルの先の林道でホコリタケの老菌を見つけました。幼菌のうちは、白い肉質で食用にされるそうですが、成熟すると内部は粉状の胞子塊に変化します。このとき、雨粒などの刺激を受けると頂部に開いた穴からホコリのような胞子が放出されます。この様子からホコリタケと呼ばれています。
2020.01.03
エゾスナゴケ
駐車場の近くの岩上にエゾスナゴケが生えていました。和名に「エゾ」とついていますが、全国の低地から亜高山帯にかけて生育しています。コケは日当たりの悪いところに生えるイメージがありますが、本種は日当たりの良い岩上や砂質の土壌によく生えています。長期間の乾燥に強いことから屋上緑化などにも使われている身近なコケです。
2019.12.31
イノモトソウ
校舎の陰でイノモトソウを見つけました。人家の近くの地上や石垣などに広く見られる種です。和名は井之許草で井戸の近くに生えることが由来です。近縁種にオオバイノモトソウがありますが、葉の中軸に翼があることで区別することができます。
胞子のう群は葉の縁につき、これを包み込むように葉が巻き込んでいます。
2019.12.27
ヒメジャゴケ
校舎裏にヒメジャゴケが生えています。ジャゴケと同様にヘビのうろこのような模様が葉状体の表面に見られます。気温が低くなると無性芽をつけ、葉状体は枯れてしまいます。
下の写真は葉状体の縁に見られる無性芽を拡大したものです。無性芽には耐寒性があり、越冬して春には葉状体となります。また、近くに見られる丸い部分は雌器托で、こちらも春に伸びだし、胞子を飛ばします。