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フィールド日記

2012.08.15

ヤマトタマムシの産卵

 

 2012.08.15 Wednesday

  今日は、NPO法人「土に還る木・森づくりの会」のメンバーの方に「共生の森」を整
備していただき、新たにミズナラの苗木も植えていただきました。作業の途中で、目の前を
横切ったヤマトタマムシがイイギリの丸太にとまり産卵を始めました。ヤマトタマムシは全
国各地で絶滅危惧種に指定されている希少種です。
 
 

 
今日のことば

人は富を失っても、もう一度一生懸命働けば、どうにかなる。名誉を失うことは、大変辛い
ことであるが、これも誠実に尽くすことによって、なんとか挽回することができる。しかし、
人は意欲を失ったとき、死んだも同然である。

2012.08.14

カヤキリ

 

 2012.08.14 Tuesday

 約1年ぶりにすすき野原でカヤキリの声を聞くことができました。日本最大のキリギリス
科の昆虫で、頭の先から羽の先まで60ミリを超えます。声の大きさも体の大きさに比例して
いて、他に間違えようのない、鋭く強い声でジーと鳴きます。今日は4か所でオスの姿を確認
しました。野趣あふれる声の魅力をブログでは十分にお伝えできないのが、残念です。
カヤキリは東京都では既に絶滅し、9つの県で絶滅危惧種・準絶滅危惧種に指定されています。

 

 
今日のことば

虫の命は夏だけのはかないものである。(室生)犀星が九月末に帰京するまでに、ほとんど夏の百日
の鳴く使命を果し、毎朝何匹かは死んでゆく。時には稀に命永らえる虫もあり、九月末家を片づけ
る時まで生き残ったものを、犀星は白いハンカチーフに虫籠ごと包んで、自分で持って帰って来る。
東京まで来た虫は、毎夜鳴き方はまばらになり、声の艶や張りもなくなって来る。夜は寒いだろう
と、犀星は自分の寝室に運び、暖をとるために小裂をかけてやっていた。私の記憶では、クリスマ
ス頃まで生きていたものもあった。夏百日どころか、命ぎりぎりまで鳴き声を楽しませてくれた虫
が死ぬと、犀星は何日もかかって、縁側の陽だまりで日光浴をさせる。虫の体は少しずつ水分を失
い、やがてカラカラした軽い物体となる。それを朱の小箱に綿を敷きつめたなかに並べて、そっと
飾り棚にしまっておく。生命が失われても、自分を楽しませてくれた虫一匹をも、粗末に扱わない。
犀星の感情は最後までを看取り大切にしないと、納得できないのである。小さい生き物にまで、
しかもそれが死んだあとも、細かい愛情を充分に持っていた人であった。
室生朝子

2012.08.13

ヒルガオ

 

 2012.08.13 Monday

 牧草地にたくさんのヒルガオの花が咲いています。アサガオの花とよく似ていますが、大
きな違いがあります。アサガオからはよく種が採れますが、ヒルガオは種をつけることがほ
とんどありません。その代わりに地下茎で増えます。驚いたことに、耕作時などに畑に生え
ているヒルガオの根がちぎれて拡散すると、散らばった場所で新しい蔓を伸ばします。農作
物の生産を妨げるケースもあり、耕作時期をいつにするのがヒルガオの拡散を最も抑制する
ことができるかというテーマの研究も行われています。


 
今日のことば

現在、日本が抱える絶滅危惧種は2663種にのぼり、その数はニュージーランドの600種あ
まりの4倍にもなる。ニュージーランドでは流れが変わったが、日本では生物多様性の衰退
への流れはむしろ加速している。これだけ多くの絶滅危惧種を見捨てず、同時に不健全化し
た生態系の再生を図るために求められるのは、積極的共生型戦略にもとづく回復のプランで
ある。

『自然再生』(鷲谷いづみ・2004)より

2012.08.12

モリアオガエルの子ガエル

 

 2012.08.12 Sunday

 茶畑の池のモリアオガエルのオタマジャクシがカエルになってイチジクの葉の上にじっと
していました。もう少し大きくなったら森に入って生活を始めるはずです。本館前の池でも
子ガエルが姿を見せ始めています。場所は違っても同じように時を刻むモリアオガエルの一
生です。

 
 
今日のことば

人間は自然を忘れたとき、神を忘れる。

                  ある思想家の言葉

2012.08.11

ピンク色のショウリョウバッタモドキとショウリョウバッタ

  2012.08.11 Saturday

  牧草地でピンク色のショウリョウバッタモドキ(1枚目の写真)とショウリョウバッタ
(2枚目の写真)に出会いました。バッタの色彩変異は実に多様ですが、目立つピンク色に
わざわざなる必要がどこにあるのか、不思議に思います。

 

            今日のことば
 

今日から逃れられないのに
心は昨日へ行きたがる
そわそわ明日へも行きたがる
今日は仮の宿なのだろうか

ここから逃れられないのに
心はここから出て行きたがる
どこか違う場所へ行きたがる
行けばそこもここになるのに

宇宙の大洋に漂う
小さな小さなプランクトン
自分の居場所も分からずに
心はうろうろおろおろ迷子です

                        谷川俊太郎

2012.08.10

オナガササキリ

  2012.08.10 Friday

 最近、牧草地の生態系の貴重さをますます強く感じるようになってきました。その一因は
そこに生息する直翅目の種類の多様さです。今日は、オナガササキリの幼虫を見つけました。
産卵管の長さから、オナガ(尾長)ササキリと名付けられています。ササキリは少し暗いと
ころを好みますが、オナガササキリは日当たりの良いところを好みます。近い種でも生活の
場を変えることで上手に棲み分けをしています。

 


今日のことば


だれにも気づかれずに消えていった生物はたくさんいるだろうと思う。それでも表面的に
は、人々の生活は何事も無かったように過ぎていく。日常の営みは人の生活を変え、便利に
なっていくだけのようにみえる。ただ、それは人間だけのものである。それが続けられるの
は、人以外の他の生物が人の生活によって新たに作り出された環境に、生きものの論理をあ
てはめて生きていくことができたからだ。だが、それも限界に近づいているような気がする。

                                 小林正明

2012.08.09

ガガイモの花とアリ  「夏休み子供自然体験教室」の記事が新聞に掲載

  2012.08.09 Thursday

 牧草地でガガイモの花が咲き始めました。写真には、アリの姿が写っていますが、送粉者
としての役割はほとんど果たしていないと言われています。ガガイモの主な送粉者は、不二
聖心の牧草地の場合、キンケハラナガツチバチです。つまり、花はアリに蜜を提供するだけ
で自分は利益を得ていないということです。自然界には時々、ギブ・アンド・テイクではなく、
一方がもう一方にひたすら与え続けるという関係があります。


 

 「夏休み子供自然体験教室」のことが岳麓新聞に掲載されました。


 
 
 
今日のことば

壁に残った らくがきの
おさない文字の あの子の名
呼んでひそかに 耳すます
ああ あの子が生きていたならば

          長崎で被爆した永井隆博士作詞の「あの子」より

 

                お知らせ

 いつも「不二聖心のフィールド日記」をご覧いただきありがとうございます。
この度、「不二聖心のフィールド日記」で紹介した内容を中心に不二聖心女子学院の校内
の自然を紹介した冊子「不二の自然4」(カラー写真30枚と解説)が完成しました。
購読を希望する方は、一冊につき切手400円分(送料込み)を同封し、下記の住所にお申
し込みください。(封筒にはお名前とご住所を必ずお書きください。)
なお、不二聖心のパンフレットを希望する方は、「パンフレットも希望」と書いた紙を同封
してください。「不二の自然4」を送る際に同封させていただきます。

 〒410-1126
 静岡県裾野市桃園198 不二聖心女子学院 「不二の自然」係

2012.08.08

ツノトンボ

  2012.08.08 Wednesday

 今朝は久しぶりに裏の雑木林の縁の道を歩いてみました。雑木林を歩いていて面白いと思
うのは、林の中よりも縁の方が生息する生物が多様だということです。今日は、宮城県と千
葉県で絶滅危惧Ⅰ類に指定されているツノトンボを見つけました。ツノトンボという名前で
すが、トンボとは全く違う種類です。トンボは不完全変態(蛹の時期がない)の昆虫であるの
に対し、ツノトンボは完全変態(蛹の時期がある)の昆虫です。

 

                                            今日のことば

 生き物であれば、壊れることがある。時とともに古くなっていく。行き着く先は死である。
私たちは死ぬことを予知して恐れる。別離を悲しむ動物である。人生というのは過酷なもの
である。
 けれども、「人生は苦なり」と受け入れてしまえば、人生には喜びが満ちていることが見え
てくる。風で一枚の葉がそよぎ、それを私が見ることができるということにさえ、どれだけの
奇跡が満ちていることであろうか。
 まして、私が人間としてこの世に存在していることを思うとき、それが苦しい人生であろう
となかろうと、その偶然の積みかさねの重さに圧倒されて自然の前に平伏さざるをえない。
 自然に対する畏敬の念、三六億年という生命の歴史の時間に対する畏れは私の心を無限の感謝
で満たすのである。

                                                                                            柳澤桂子
 

                                               お知らせ

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静岡県裾野市桃園198 不二聖心女子学院 「不二の自然」係

 
 

                                     『不二の自然4』より

                                         不二の自然 95

                                                                 (裏の駐車場で撮影)
   ツノトンボ
  科名 アミメカゲロウ目ツノトンボ科
  学  名 Hybris subjacens

 不二聖心の生態系を変えつつある外来種の一つにメリケンカルカヤという植物がありま
す。第2牧草地は一時期、この植物にほぼ覆いつくされてしまいました。そのメリケンカル
カヤの茎に付いていたツノトンボの卵が孵化しました。ツノトンボは宮城県で絶滅危惧Ⅰ
類、千葉県で絶滅危惧Ⅱ類に指定されている希少種です。今回はさらにもう一か所、別のメ
リケンカルカヤの茎でも孵化を確認しました。外来種が希少種の保全に貢献している珍しい
例です。          

                                                                       (平成23年9月30日)

2012.08.07

夏休み子供自然体験教室  クルマバッタ  ウッドバーニング

  2012.08.07 Tuesday

 今日は不二聖心女子学院で、第1回「夏休み子供自然体験教室」が開催されました。小学
生が目を輝かせて生き生きと自然と触れ合う姿に触れ、この企画をしてよかったと心から思
える一日となりました。
午前中は生き物探しゲームをしましたが、ほとんどの小学生が東京都では既に絶滅したと
言われるクルマバッタを採集することができました。午後はつかまえたバッタなどを電熱ペ
ンで木の板に書く活動もしました。写真のバッタは下書きなしで、短時間で描ききった力作です。
一人の小学生が「命のつながりとその大切さがわかりました。」という感想を最後に発表
してくれたことが今も心に残っています。

 

              今日のことば

  神は、人間がその幼時を知恵のなかで取り戻すように待ちのぞんでいる。

                               タゴール

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 なお、不二聖心のパンフレットを希望する方は、「パンフレットも希望」と書いた紙を同
封してください。「不二の自然4」を送る際に同封させていただきます。

 〒410-1126
 静岡県裾野市桃園198 不二聖心女子学院 「不二の自然」係

 

            『不二の自然4』より

             不二の自然111

                                                                      (校舎の裏の道で撮影)

  アケビ
  属名 アケビ科アケビ属
  学名 Akebia quinata

 植物学者前川文夫博士の著書『植物の進化を探る』にアケビについての興味深い記述があ
ります。アケビは、アジアと南米の遠く離れた二つの地域に同じ系統の種が見られるという
のです。博士は御自分の目でそれを確認なったそうです。考えられる理由は一つでしょう。
もともとその二か所は、ほぼ同じ場所にあり、それが大陸の移動によって離れ離れになった
という理由です。アケビという小さな植物が地球の歴史の一コマを私たちに伝えてくれてい
ます。                   

                                                                              (平成24年4月28日)

2012.08.06

雑木林のカブトムシ  『不二の自然4』の刊行について

  2012.08.06 Monday

 いよいよ明日、不二聖心で第1回「夏休み子供自然体験教室」が開催されます。今日の午
後は、遠方から手伝いに来てくれた生徒スタッフ3名もたいへん精力的に働いてくれて準備
はすべて整いました。
雑木林のカブトムシも小学生たちを待っています。

 

              今日のことば

希望の明日を拓くのは他人まかせではいけない。一人一人が、自分の命、愛する人の命、か
けがえのない遺伝子の細い絆を守るために、木を植え本物の森をつくる。これは、いつの時
代でもどこでも、人類が生きのびるための正攻法であると確信している。まず植える。植え
ながら議論しよう。机上の議論をいくら繰り返しても、それだけでは不十分である。実際に
木を植え、いのちを育てていこう。          

                                 宮脇昭

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『不二の自然4』より


不二の自然 110


 
                        
                        (東名高速道路の近くで撮影) 

ニホンザル
属名  オナガザル科マカク属
学名 Macaca fuscata

 久しぶりにサルの親子と出会いました。東名高速道沿いの斜面でおいしそうに若葉を食む
姿を目撃しました。実際には相当苦い葉もあると思われますが、ニホンザルには鈍感力があ
って、舌にある苦味成分を感じるたんぱく質が人間と比べて10倍も反応が鈍く、だからこ
そ苦い若葉を味わうことができるのです。このことは京都大学霊長類研究所の研究によって
最近、明らかになりました。「おいしそうな表情」には、ちゃんと理由があったということ
です。                  

                           (平成24年4月21日)