フィールド日記
2012.08.25
「共生の森」のナンバンギセル

2012.08.25 Saturday
「共生の森」でナンバンギセルの写真を撮りました。これまで何度か、「不二聖心のフィールド日記」
でナンバンギセルを紹介してきましたが、今回は全く紹介の意味合いが違います。ナンバンギセルは、
一般的にススキによく寄生することで知られていますが、この写真を撮った「共生の森」にはススキは
生えていません。ということは、「共生の森」のナンバンギセルをよく観察すれば、ススキ以外のどの
植物に寄生するのかが調べられるということになります。確認できたナンバンギセルはかなりの数に上
りました。今年から造り始めた「共生の森」をナンバンギセルの新しい生息地と規定することができそ
うです。荒地を切り開いたことで下草によく光があたるようになり、それが日本各地で絶滅危惧種に指
定されているナンバンギセルの成長を助けることにもつながっています。「共生の森」が希少種の保護
に役立つとしたら、こんなにうれしいことはありません。
今日のことば
われわれは個人としても、文化的、政治的存在としても、循環するサイクルの一部である。
そのことを認識し、自然の循環とこの惑星をわれわれといっしょに分かちあう、あらゆるほかの生き
ものや要素への愛情と関心を抱きながら、自分の役割を引き受け、もっともっと真剣にかつ聡明に計画
を立案しなければならない。もしそうしなければ、われわれ自身の無知と強欲と愚かさに、われわれは
結局自滅してしまうだろう。
私は信じている。日本にはこの国を世界のモデル、模範としうる、美しく活気に満ちた生態系に変える
科学技術と能力が備わっている。もう一度、この生態系を取り戻して美しい日本を再生し、世界のお手
本となろうではないか。私は自分に残された短い時間を使って、最善を尽そうと思う。
C・Wニコル
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2012.08.24
クサキリ ショウリョウバッタ エンマコオロギ
2012.08.24 Friday
NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の皆さんに「共生の森」の整備をしていただいたおかげで、直翅目(バッタ目)の昆虫たちの生き生きと動く姿がより見やすくなりました。
今日は、その中のいくつかを特に顔の表情を中心にして紹介してみましょう。
1枚目はクサキリ、2枚目はショウリョウバッタ、3枚目はエンマコオロギです。俳人、山口青邨はコオロギの顔を見て、「こほろぎのこの一徹の貌を見よ」と俳句に詠みました。この句の「こほろぎ」はおそらくエンマコオロギでしょう。



今日のことば
自殺がどんどん低年齢層に移ってきて文部科学省あたりも、「生きる力」が大事だと言いましたね。
とんでもないことです。単に生きる力ならゴキブリに習うのが一番いいでしょう。生きる力、とだけ
言えば、相手の足を引っ張る、場合によっては相手のものを奪ったりしながら生きる、サバイバルだけ
を考えるようになってしまうでしょう。どうしてもプラトンが言っていたように「よく生きる力」が
なくてはなりません。そのためには精神の力が必要です。どうしたらよく生きられるのか、今自分が
していることはいいことなのかどうか。立ち止まって考えるという姿勢が大事なのではないでしょうか。
それについて判断のマニュアルはありませんけれど、ともかくよりよく生きようとすることが、人間に
とり大事です。
今道友信
お知らせ
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2012.08.23
NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々による森の整備 ダイミョウセセリ
2012.08.23 Thursday
今日はNPO法人「土に還る木・森づくりの会」のメンバーの方々に、「共生の森」の整備をしていただきました。たいへんな暑さの中での長時間の労働に心から感謝申し上げます。

今年もまたダイミョウセセリの幼虫の巣を見つけました。ダイミョウセセリはヤマイモ科の植物の葉を巧みに折りたたんで巣を作ることで知られています。3枚目の写真は成虫の写真です。
生息するチョウの種類から環境の自然度をはかる調査方法がありますが、ある調査では、自然度を5段階に分け、ダイミョウセセリを2番目に自然度の高い環境に属するチョウとして分類していました。



今日のことば
ゴシュケビッチ夫妻 ―― 伊豆下田の昆虫 ――
一八五四年、日米和親条約により開港されたばかりの下田港にロシア船ディアナ号が来航し、停泊中に津波に遭い、大破した船を修理のために戸田港へ回航する途中で沈没してしまった話はあまりにも有名である。
これに乗船していた中国語通訳のロシア人ゴシュケビッチは翌年の春まで、下田に滞在を余儀なくされた。この時に下田近辺で採集したたくさんの昆虫標本はセントペテルブルグの王立科学アカデミー博物館に寄贈され、昆虫学者モチュルスキーやメネトリーによって研究、記載された。
静岡県の昆虫研究の幕開けは、約百五十年前の下田港の開港とともに来日外国人によって始まったといえる。その後、伊豆天城山などの昆虫類が日本人学者の手で記載されるが、昆虫相が詳しく解明されるのは静岡昆虫同好会の設立(一九五三年)以降となる。
ゴシュケビッチによって下田で採集され、新種として記載されたものに、シロチョウ科のスジグロロチョウ、カミキリムシ科のノコギリカミキリやヒメスギカミキリなどがある。
また、ジャノメチョウ科のサトキマダラヒカゲ(里黄斑日陰、学名Neope goschkevitschii)のように種名に彼の名が付けられたり、セセリチョウ科のダイミョウセセリ(学名Daimio tethys)のように属名に「大名」と付けられたりしている。河原や海岸の砂地に生息するエリザハンミョウ(学名Cylindera elisae)はゴシュケビッチ夫人エリザの名が付けられている。
このように生物の学名にはよく人の名が付いたものがある。その標本を採集した人や関連する研究者に敬意を表して献名されたものである。
モチュルスキーは異国から送られてくる多数の珍しい昆虫に驚喜し、それらを採集したエリザ夫人の功績を讃えて命名したのであろう。
その後、一八五七年にロシア領事として再来日したゴシュケビッチ夫妻は盛んに昆虫を採集したと言われている。
枝恵太郎
お知らせ
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2012.08.22
東名の橋から見える箱根山 アキカラマツ
2012.08.22 Wednesday
聖心橋から見える箱根の山の稜線を雲が覆っていました。これが学校の中からの風景で あることに改めて驚きます。

アキカラマツが裏の雑木林の道に咲いています。アキカラマツは薬草です。信州の高遠藩では高遠草と呼ばれて健胃薬として用いられていました。高遠の石工は全国を旅して数多くの石仏を各地に残しました。裾野市の仙年寺にも地蔵尊が安置されています。全国を旅する高遠石工の荷物の中にも高遠草から作られた胃薬が入っていたかもしれません。

今日のことば
色鮮やかな大きな花だけが美しいのではない。ルーペを生かせば、どんなにありふれた小さな花でも同じように美しく、そして驚きに満ちていることがわかってくる。私たちの心を楽しませるものは、足もとにいくらでもあって、あえて遠い山野に求めないでもすむ。
長田武正
2012.08.21
今朝の富士山 ナミアゲハの卵
2012.08.21 Tuesday
今朝の富士山の様子です。雪はずいぶん少なくなりました。手前に咲く芙蓉の花に秋の近いことを感じます。

昨日、紹介したナミアゲハの幼虫が今日は姿を消していました。その代わりにナミアゲハ
の卵を見つけました。朝日を浴びて輝く卵は希望の象徴のようです。

今日のことば
一生の終わりに残るものは、我々が集めたものではなく、我々が与えたものである。
ジェラール・シャンドリ
2012.08.20
ナミアゲハの幼虫
2012.08.20 Monday
「共生の森」に高校1年生が植えたカラスザンショウにナミアゲハの幼虫がついていまし
た。もうかなり大きくなっています。「共生の森」にはもともと自生しているカラスザンシ
ョウがたくさんあるのですが、そこにはアゲハは卵を産んでいないようです。なぜ自生種に
来ないで、生徒が植えた木には来たのか、不思議に思います。

今日のことば
すべてのものは過ぎ去り、そして消えて行く。
その過ぎ去り消えさって行くものの奥にある
永遠なるもののことを静かに考えよう。
武宮隼人
2012.08.19
夏の雲 シオカラトンボ
2012.08.19 Sunday
去りゆく夏を惜しまずにはいられない、美しい白い雲が空に浮かんでいました。
お茶畑の池には日本の夏の代表的なトンボであるシオカラトンボが翅を休めていました。
写真から、腹部の先端の黒色の部分が広がってきている様子がわかります。これもまた夏の
終わりが近いことを表しています。


今日のことば
さよなら夏の日
いつまでも忘れないよ
雨に濡れながら
僕等は大人になって行くよ
さよなら夏の日
僕等は大人になって行くよ
山下達郎
2012.08.18
ナンバンギセル

2012.08.18 Saturday
ナンバンギセルがすすき野原でどんどん数を増やしています。8月7日の「夏休み子供自然
体験教室」の時には、一つ見つけるのにもかなり苦労しましたが、今は美しい花の姿をあち
こちで鑑賞することができます。相変わらずの暑さですが、季節は秋に向かって着実に歩み
を進めているようです。
今日のことば
きっと、人はいつも、それぞれの光を捜し求める長い旅の途上なのだ。
星野道夫
2012.08.17
ツマグロヒョウモンの幼虫

2012.08.17 Friday
2012年8月2日のフィールド日記で紹介したツマグロヒョウモンの幼虫が第2牧草地で見つ
かりました。今日は牧草地も耐え難い暑さでしたが、その中でも幼虫は芝生に隠れたスミレ
の葉を食べて着実に成長を続けていました。地球温暖化の影響で生息域を北に広げつつある
ツマグロヒョウモンは、もともとは南の地方のチョウでした。幼虫も南国のチョウらしく派
手な姿をしています。この派手さは警告色としての意味合いを持つものと思われますが、そ
の警告は人間にこそ向けられるべきものかもしれません。
今日のことば
われわれが存在の光栄を有する二十世紀の前半は、事によると、あらゆる時代のうちで人間
がいちばん思い上がってわれわれの主人であり父母であるところの天然というものをばかに
しているつもりで、ほんとうは最も多く天然にばかにされている時代かもしれないと思われ
る。科学がほんの少しばかり成長してちょうど生意気盛りの年ごろになっているものと思わ
れる。天然の玄関をちらとのぞいただけで、もうことごとく天然を征服した気持ちになって
いるようである。科学者は落ち着いて自然を見もしないで長たらしい数式を並べ、画家はろ
くに自然を見もしないでいたずらにきたならしい絵具を塗り、思想家は周囲の人間すらよく
も見ないでひとりぎめのイデオロギーを展開し、そうして大衆は自分の肌の色も見ないでこ
れに雷同し、そうして横文字のお題目を唱えている。しかしもう一歩科学が進めば事情はお
そらく一変するであろう。その時にはわれわれはもう少し謙遜な心持ちで自然と人間を熟視
し、そうして本気でまじめに落ち着いて自然と人間から物を教わる気になるであろう。
寺田寅彦(昭和1932年10月、中央公論)
2012.08.16
マルバノホロシ

2012.08.16 Thursday
裏の駐車場からキャンプ場へと向かう道の途中で、マルバノホロシ(ナス科ナス属)が咲
き始めました。昨年より花の数が多いように感じられ、うれしく思っています。ナス科の花
はこれからたくさん見られるようになりますが、マルバノホロシは不二聖心で見られるナス
科の花の中では最も希少性の高いものです。花の形や色をよく覚えて保護に努めたいと思い
ます。
今日のことば
すべてをすてるとは
じっさいにすべてをすてることだ
そこにあってもいい
ただ執着がぜろであればいい
すべてをえようとするには
ひとつものこしもってはならぬ
なにもかもすてきったとき
すべてのものはいきいきとしてくる
八木重吉
