フィールド日記
2012.09.04
ボクトウガと樹液 カブトムシ
2012.09.04 Tuesday
夏休み子供体験教室に参加した小学生から、体験学習で実際に観察した「ボクトウガの幼虫と樹液」
についてのすばらしいレポートが送られてきました。ボクトウガの幼虫がクヌギの材に穴をあけることで、
クヌギの木は樹液を出し、その樹液に近寄ってきた虫をボクトウガの幼虫は食べると考えられています。
その関係が見事にとらえられているレポートでした。
今朝、9月に入ってボクトウガの幼虫と樹液の様子に変化は見られるか、確認してみました。
最初に目に入ったのはカブトムシでした。

次に見つけたのはクワガタでしたが、その頭の先にボクトウガの幼虫の頭部が確認できました。

別の木ではボクトウガの幼虫が移動しているところにでくわしました。まだまだ活発に活動して
いるようですから、樹液の季節はしばらく続くかもしれません。
今日のことば
地球上で人間は、自分たち一種類だけが増え、オオカミなど天敵を滅ぼし続けている。でも、
昆虫はそんなことしません。天敵を滅ぼし、自分たちの数が増えれば、餌の植物を食べ尽くして
全滅してしまいます。もっと自然が全体的に、有機的につながっていることを考えなくては。
奥本大三郎
2012.09.03
大豆の母 ツルマメ
2012.09.03 Monday
すすき野原からキャンプ場へ向かう途中にツルマメ(Glycine soja)の花が咲いていました。
ツルマメを改良して栽培化することによって、大豆は作られたと考えられています。学名の
sojaには「醤油の」という意味がありますが、醤油も味噌も納豆も、始まりはこの小さな花
からということなのだと思います。

今日のことば
置かれた場に不平不満を持ち、他人の出方で幸せになったりしては、私は環境の奴隷でしかない。
人間と生まれたからには、どんなところに置かれても、そこで環境の主人となり自分の花を咲かせよう。
渡辺和子
2012.09.02
「秋の30分ハイキング」のコース紹介 マルバノホロシの実
2012.09.02 Sunday
今日は、9月22日(土)の学校説明会終了後に予定されている「秋の30分ハイキング」
(詳しくはトップページの「公開行事」を参照してください)の下見をしてきました。
まずお茶畑を通って、牧草地へと向かいます。途中でギンヤンマの姿を見かけました。
不二聖心ではオニヤンマと並んで、比較的よく見られるヤンマ科のトンボです。

牧草地からは富士山が少しだけ見えました。

牧草地を通ってすすき野原へと向かいます。東京都では絶滅したと言われるクルマバッタ
がたくさん飛んでいました。写真から確認できるクルマバッタは赤丸の部分ですが、これは
ほんの一部です。

すすき野原の手前は丈の低い笹を中心とした植生です。この植生はススキと混在すること
なく安定した状態を保っています。

徐々に植生の中心がススキへと変わっていきます。

すすき野原が終ると、高校1年生が環境学習で作っている「共生の森」が見えてきます。

坂道を下って裏の駐車場へ向かいます。

坂道の途中に、福岡県で絶滅危惧Ⅰ類、鹿児島県で絶滅危惧Ⅱ類、鳥取県で準絶滅危惧種
に指定されているマルバノホロシの実がなっていました。9月22日には少し色づいているか
もしれません。

最後に裏の駐車場で大楠を眺め講堂へと戻ります。
9月22日には一人でも多くの方に不二聖心の自然を味わっていただけることを楽しみにしています。

今日のことば
この人だから毒がある。でも、よく分かる。ビートたけしさんは書いた。「ほんとに、ヤンマ
の姿を見つけると必死になって追いかけまわしてさ。目がもうヤンマばっか見てるから、ドブの
中落っこっちゃったり、クソだめに落っこっちゃったりなんかするんだよね」
「オニヤンマと川遊び」から引いた。さすがにあちこちに落ちなくなったが、いまもオニヤンマ
を見ると胸が騒ぐ。先日、琵琶湖畔で水面近くを滑るように行ったり来たりする雄姿だけでなく、
杭に止まって抱え込んだバッタを一心に貪る猛者にも出会った。もう「旅はこれにて足れり」と
いう気になるのが不思議だ。
ヤンマとは大形のトンボのこと、とは、昔は誰でも知っていた。トンボの古名「エンバ」が語源
ともいう。オニヤンマはなかでも日本最大で、緑の目と黒に黄の縞をあしらった体が美しい。
コラムニストの泉麻人さんが「オニヤンマは田舎のバスと同じように、なかなかやってこない」
と書いたのも、そうそうと読んだ。
カブトムシみたいな養殖話はないから数も減っているはずだ。それでも、終わりに近づいた夏の
思い出にオニヤンマの姿を刻んだ少年がいよう。いや、心ときめいたおじさんもきっとある。
子どもの頃を振り返っているようで、たけしさんは一文をこう始めている。「俺、ヤンマが好き
なんだ」。もちろん現在形である。
「春秋」(日本経済新聞・2012.08.26)
2012.09.01
ツユクサ

2012.09.01 Saturday
ツユクサの花をじっくり観察してみました。
ツユクサの花というのは、実にユニークな構造をしています。雄しべに目を向けてみてください。
雄しべは6本ありますが、葯がついているのは手前の2本だけで、あとの4本は黄色く変色して
いて花粉をつけていません。この黄色は何の意味を持っているのでしょうか。実は昆虫を引き寄
せる役目を果たしているのです。花びらの青には昆虫はあまり反応しません。そこで雄しべの黄色
が代わって昆虫を引き寄せる役目を果たしているのです。ツユクサを見ていると、多くの花の構造
が昆虫との関わりで生まれてきたことがよくわかります。
今日のことば
かへる日もなきいにしへを
こはつゆ草の花の色
はるかなるものみな青し
海の青はた空の青
三好達治
お知らせ
9月22日(土)の学校説明会終了後、希望者を対象に「秋の30分ハイキング」を不二聖心女子学院
の校内で実施することになりました。詳しくはトップページの「公開行事」をご覧ください。
2012.08.31
芙蓉の花とイチモンジセセリ
2012.08.31 Friday
ヴィラフジ(黙想の家)の前の芙蓉の花が咲き始めました。よく見ていると、この花のところに、いろいろな生き物がやってきます。今朝はイチモンジセセリが蜜を吸いにやってきました。
イチモンジセセリは、初秋に多数の個体が一定方向に移動することで知られています。このイチモンジセセリも芙蓉の栄養を糧に遠くへ旅立っていくかもしれません。


今日のことば
ニホンカワウソの絶滅が告げられ、野生ハマグリはその危惧ありとされた。メダルに沸き、
領土で揺れるひと夏の喧騒の陰で、小さな命が消えてゆく。
天声人語(2012.08.31)より
お知らせ
9月22日(土)の学校説明会終了後、希望者を対象に「秋の30分ハイキング」を不二聖心女子
学院の校内で実施することになりました。詳しくはトップページの「公開行事」をご覧ください。
2012.08.30
クルマバッタ
2012.08.30 Thursday
牧草地からキャンプ場へと続く新しい道をつくったところ、いろいろな生物がそこに集まってきました。
写真のバッタは牧草地から新しい道に移住したと思われるクルマバッタです。クルマバッタは東京都では既に絶滅したとされているバッタです。人間が環境に手を入れたことによって絶滅危惧種の生息域が広がりました。
人類の登場以来、あらゆる生き物が人間の活動の影響を受けてきました。少し大げさな言い方ですが、人間の作った道によって生息域を広げたクルマバッタは、人間と自然の長い関わりの歴史についても語りかけているように思えます。

今日のことば
詩を書きはじめたころ「さびしさを大切にしなさい」とある詩人にいわれたことがあります。
「大切に」とはどういう意味なのか、私ははっきりとつかむことが出来ませんでしたが、いま、その意味がわかったように思います。それは、さびしさを知る心を出発点にして、何かを創りだしてゆくことなのでしょう。
高田敏子
お知らせ
ホームページ内の『不二の自然』(不二の自然11 マルバウツギ)を更新しました。
トップページの「不二の自然」をクリックすると見られます。
冊子『不二の自然4』(「不二の自然」91~120所収)が完成しました。購読を希望する
方は、一冊につき切手400円分(送料込み)を同封し、下記の住所にお申し込みください。
(封筒にはお名前とご住所を必ずお書きください。)
〒410-1126
静岡県裾野市桃園198 不二聖心女子学院 「不二の自然」係
2012.08.29
ツルボ
2012.08.29 Wednesday
牧草地からキャンプ場へと続く新しい道にツルボが花を咲かせ始めました。ユリ科のツルボは、
人々が飢えに苦しんだ時代は、その根が食用とされていました。このような美しい花を咲かせる
植物が人々を飢えから救っていたという事実を不思議に思います。


今日のことば
十代の夏のちょうど今ごろ、家のベランダでアブラゼミの羽化を見たことを思い出す。抜け殻
につかまって青白く柔らかい羽をゆっくり伸ばす姿は、息が止まるほど美しかった。セミの長
くも短い生涯を思い、切なくもなった。世界はいのちに満ちあふれていた。
最相葉月
お知らせ
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静岡県裾野市桃園198 不二聖心女子学院 「不二の自然」係
2012.08.28
コモリグモ
2012.08.28 Tuesday
ニホンカワウソが、正式に、絶滅危惧種ではなく絶滅種に規定されたというニュースを今朝見ました。
希少種の保全の必要性を改めて意識させるニュースでした。
腹部にイボ状の突起のあるクモを見つけたと思ったら、イボに見えたものはすべて子グモでした。
子グモを腹部に乗せたコモリグモのメスだったのです。子グモの中には、母グモの顔のところまで移動してきてしまっているものもいます。
クモの専門家に問い合わせたところ、種の同定には子グモによって覆われてしまっている腹部の斑紋の確認が不可欠ということでした。子グモたちをどけてまで同定をするのはしのびないと思い、今回は種名を確かめることを断念しました。

今日のことば
ニホンカワウソがすでに絶滅していたとは。本書(『ニホンカワウソ ――絶滅に学ぶ保全生物学――』)
を読んで衝撃をうけた。私はカワウソがどこかで細々と生きていると信じ、土佐の海に探しにいったこと
もある。だが本書の内容は真実だ。データは1990年代に絶滅した事実を示していた。しかも最後の
一頭が消えたちょうどその頃、DNAから、ニホンカワウソは日本にしかいない固有種と判明したという。
動物園にいるのはユーラシアカワウソやコツメカワウソ。現代日本人は、日本固有種を絶滅させる、とり
かえしのつかないことをしてしまったのだ。読みながら悔しくて涙が出た。(中略)
読んで思った。希少生物の保護には、行政のためらいがあってはならない。とくに都道府県知事の決断が
重要だ。地元の知事が即断し、保護センターをつくり、専従の保護職員を置いて、人工繁殖に踏み切ら
ねば、すぐに手遅れになる。
理工系の専門書なのに、読めば読むほど、泣けてくる。ニホンカワウソの絶滅を無駄にしてはいけない。
磯田道史
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2012.08.27
驚異の寄生虫 シヘンチュウ
2012.08.27 Monday
不二農園の方にすすき野原の道を作っていただいたおかげで、牧草地からキャンプ場までの美しい景色を堪能しやすくなりました。本当に感謝しています。この美しい自然の中で今日も自然界のさまざまなドラマが展開しています。

8月23日に「共生の森」で採集したイナゴの幼虫の体内からシヘンチュウが出てきました。
よく似たハリガネムシと同じようにシヘンチュウも寄主を操る術を持っています。特に驚くのはカゲロウに寄生した場合です。シヘンチュウは水中で産卵するために寄主を何とか水辺に向かわせようとします。カゲロウの場合、メスは水辺で産卵しますので、その時にメスを操り、水中へと潜らせます。オスは水辺に向かう習性がありません。その時にシヘンチュウはどうするか。
なんと寄生したカゲロウがオスだった場合には、そのオスを性転換させてしまうというのです。
オスは姿もすっかりメスらしくなり、水辺へと飛んでいき産卵行動に入ります。そしてその時に、操られて水中へと姿を消していくのです。写真のイナゴも「共生の森」から裏の沢へと連れて行かれる運命だったのかもしれません。

今日のことば
本当の科学というものは、自然に対する純真な驚異の念から出発すべきものである。
中谷宇吉郎
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2012.08.26
青空とカンナ

2012.08.26 Sunday
夏の青い空に映える色は何と言ってもカンナの赤です。
広島では、1945年9月、爆心地から800メートルのところでカンナが花を咲かせました。
朝日新聞のカメラマンであった松本栄一が写した「焦土に咲いたカンナの花」の写真が今も残っています。
この写真に感動したことがきっかけで、いろいろな平和のための活動を始めた人たちがいます。
カンナは多くの人にとって希望の象徴としてとらえられるようになっていきました。
今日のことば
夏の夕暮れに、カナカナと物悲しく響くヒグラシの声は、耳を傾ける人の心に深く染み入る。
俳人の角川源義に忘れがたい句がある。「かなかなや少年の日は神のごとし」
幼子にとって、分け入る山野は神のごとき領域ではないか。昆虫や草花を見て生命の営みを感じ、
風に季節の移ろいを教えられる。自然の懐でこそ五感が磨かれ、生きる力も培われよう。
遊び疲れたら、木陰でヒグラシの声を聞くのもいい。小泉八雲が「名歌手揃い」と評した蝉の中
でもひときわ澄んだ音色は、行く夏の輝きを伴って記憶に残る。長じてもかけがえのない心の景色
になるだろう。
「編集手帳」(読売新聞)より
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