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フィールド日記

2019.02.05

ギンメッキゴミグモ

 共生の森でギンメッキゴミグモを見つけました。名前の通り、腹部が銀色に輝いています。網をはるクモは一般的に頭を下に向けて止まりますが、本種は頭を上に向けて止まる特徴があります。ゴミグモという名前ですが、網にゴミをつけることはなく、幼体期に隠れ帯をつくるそうです。隠れ帯とは写真に見られる白い帯状の糸の装飾のことです。

2019.02.01

マツバラン

 校内のケヤキの幹の腐植(ふしょく、植物が微生物により分解されてできたもの)がたまった部分にマツバランが着生しています。シダ植物の仲間ですが、その形態はとても変わっています。葉はなく、緑色の茎が二又に枝分かれをくり返し、ほうき状になっています。また、根もなく地下茎(ちかけい、地中にある茎)によって着生しています。

 マツバランは江戸時代から園芸植物として親しまれてきましたが、一方で、全国で絶滅が心配されている植物でもあります。静岡県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されており、環境省でも準絶滅危惧種に指定されています。

2019.01.29

ロウソクゴケ

 すすき野原の近くの大きなカエデの幹に、ロウソクゴケが見られます。菌類と藻類の共生体である地衣類の仲間で、鮮やかな黄色をしています。都市部でも日当たりの良い樹幹で見られることがあります。

 ロウソクゴケのように平らな体を広げ着生している地衣類を葉状地衣類と呼びます。名前は中世のヨーロッパで黄色いろうそくをつくるときに、本種の色素を用いたことに由来するそうです。

2019.01.25

ニワツノゴケ

 中庭にニワツノゴケが見られます。コケ植物はセン類、タイ類、ツノゴケ類に大きく分けることができますが、ツノゴケ類の種数はコケ植物全体の約1%です。ツノゴケ類は写真のように胞子体(ほうしたい、胞子をつくる体)が角状に伸びることが特徴です。写真の個体は胞子体が先端から裂け、中から黄色い胞子が出てきています。

2019.01.22

ヤマトキゴケ

 体育館横の駐車場の岩にヤマトキゴケが見られます。名前にゴケとついていますがコケ植物ではなく、菌類と藻類の共生体である地衣類のなかまです。キゴケとは樹苔の意味で、材木質の地衣体(ちいたい、地衣類のからだ)が樹枝状に伸びることに由来します。大きさは2~3cmほどで、先端に見える黒っぽい茶色のものは子器(しき)とよばれ、菌類の胞子がつくられます。

2019.01.18

マメヅタ

 聖心坂の壁面にマメヅタが見られます。このあたりでは普通に見られるシダ植物のなかまです。ワラビやゼンマイなどのシダ植物とは姿がずいぶん異なるので、一見してシダ植物とわからないかもしれません。葉は厚みがある丸い葉(栄養葉)と胞子をつけるへら状の葉(胞子葉)の2つがあります。写真では立ち上がった胞子葉に茶色い胞子のう(胞子が入っているふくろ)がついているようすがわかります。

2019.01.15

ロウバイ

 マリアガーデンのロウバイが咲いていました。中国原産の落葉樹で、庭木としてしばしば植栽されています。黄色の花弁は透明感があり、ろう細工のようです。梅のように、1月~2月のまだ葉が開く前に、ろう細工のような花を咲かせることが名前の由来と考えられています。

2019.01.11

ヤノイスフシアブラムシ

 茶色く枯れているコナラの葉の裏面に、小さい虫が集まっていました。一見、ハエの仲間のようですが、ヤノイスフシアブラムシというアブラムシの仲間です。夏にコナラに寄生し、冬から春にかけてはイスノキに寄生するようです。


 写真の中央が有翅型の成虫、上の黄色いものは幼虫、下の黒い小さいものが無翅型の成虫で、すべてヤノイスフシアブラムシです。同じ種なのにこれほど見た目に違いがあることに驚かされます。有翅型の成虫はこれからイスノキに向けて飛び立つのでしょうか。

2019.01.09

1月の野鳥の調査

 日本野鳥の会東富士副代表の滝道雄先生が1月の不二聖心の野鳥について調査をしてくださいました。調査の報告書が届きましたので、掲載いたします。

1月度の調査で確認された野鳥は下記の通りです。

 1.ヒヨドリ      54羽
 2.ホオジロ     2羽
 3.メジロ      3羽
 4.ハシブトガラス   21羽
 5.ヤマガラ     3羽
 6.ツグミ      5羽
 7.ハシボソガラス   1羽
 8.カケス       1羽
 9.シジュウカラ    3羽
10.ルリビタキ     2羽
11.ジョウビタキ     1羽
12.カワラヒワ     1羽
13.アオジ       5羽
14.キジバト     19羽
15.コゲラ       4羽
16.キセキレイ    1羽
17.ソウシチョウ    1羽
【特記事項】
1.先月は冬鳥のツグミが25羽も見られたが今月は5羽となった。
今は庭や畑で単独行動をし、3~4月まで過ごす。
ヒヨドリは54羽見られ、主に校舎や駐車場を飛び交い鳴き交わしていた。
2.秋から春先にかけてはメジロ、ヤマガラ、シジュウカラなどは群れを作って行動しているので、記載されている個体数は少ないが、実際には記載した以上の個体数がいると推測される。
3.アオジ、ホオジロはいつも同じ場所で見られる。その環境にはススキが多く見られる。ススキの穂にある種を食料にしているようだ。

2019.01.08

アオキ

 聖心橋の手前の林内でアオキが赤い実をつけています。和名は冬でも葉や枝が緑色であることが由来です。『神奈川県植物誌2018電子版』には「ニホンジカの増加に伴いアオキが最初に食べられている」との記載があります。他の植物が葉を落とすなか、青々としたアオキの葉や枝は、シカにとって美味しそうに見えるのかもしれません。