〇お知らせ〇
同じ内容をインスタグラム「不二聖心女子学院フィールド日記」(クリックするとインスタグラムのページが開きます)にも投稿しています。より高画質な写真を載せていますのでぜひフォローしてください。

フィールド日記

2013年04月

2013.04.20

ブルーベリーの花が咲きました

 

2013.04.20 Saturday
「共生の森」のブルーベリーの花が咲きました。このブルーベリーはチャンドラーと呼ばれる品種で、世界的に人気のある種類です。英国のあるサイトには次のように書かれていました。
Chandler blueberries have almost everything. The taste is outstanding, the berries are large - they can be over 2 grams in weight and the fruiting period is enormous; from the beginning of August through to the end of September.

今日のことば

キャサリンの父親はこの土地最後のシャーマンだった。そのことは彼女の考え方、行動に大きな影響を与えている。何気ない会話やしぐさのなかに、そのことを垣間見ることができた。キャサリンはよく運の話をした。
「子どもの頃、おばあさんとブルーベリーの実を摘みに行った時のこと。私はひとつひとつの実を摘むのに飽きてしまい、たくさんの実がついた枝を折っておばあさんに持っていったの。その時こんなことを言われたのを覚えている。
『ブルーベリーの枝を折ってはいけないよ。おまえの運が悪くなるから……』」
やってはならないタブーがあり、その約束を守ることは自分の運を持ち続けることなのだ。そして人のもつ運は日々の暮らしの中で変わってゆくものだという。それを左右するものは、その人間の、自分を取りかこむものに対する関わり方らしい。彼らにとってそれは「自然」である。それは生きものだけでなく、無機物のなかにさえ魂を見出そうとするアニミズムの世界である。

星野道夫  

2013.04.19

クリタマバチとクリメコブズイフシ  生物農薬チュウゴクオナガバチ

 

 

2013.04.19 Friday
「共生の森」の横の栗畑で今年もクリタマバチの虫こぶ(クリメコブズイフシ)が見つかりました。美しい色の虫こぶですが、栗の新芽の成長を阻害するため栗にとっては困りものの存在です。中国から侵入し1940年代に日本各地に広がったと考えられているクリタマバチの駆除には、同じく中国から輸入したチュウゴクオナガバチを生物農薬として利用しています。チュウゴクオナガバチはクリタマバチに寄生することでクリタマバチの数を減らします。

 

 

今日のことば

 

2013.04.18

高校1年生が総合学習で富士桜を植えました

  2013.04.18 Thursday

 高校1年生が4月17日の総合学習の時間に「共生の森」に桜の苗木を植樹しました。植えたのは富士桜の苗木で、富士桜研究家の渡辺健二さん(96)から寄贈していただいたものです。フォッサマグナ要素の植物であり地域の宝とも言える富士桜が不二聖心の地にしっかりと根付いてくれることを願っています。
 

 

 

 桜の植樹を終えた生徒たちは6月に行われる「森の健康診断」の予定地の見学へと向かいました。

  


 

  

               今日のことば

   高校3年生の短歌より

   汚れキズ目立ってきたなこの鞄残り一年共に過ごそう       

   最後こそ初心に戻る私たち学びなおすも残り一年 

2013.04.18

絶滅危惧種キンランの蕾

 

  

2013.04.17 Wednesday
日本全国で絶滅危惧種に指定されているキンランの花の蕾がクヌギの雑木林でまもなく花開こうとしています。キンランは菌根菌と共生することによりブナ科の樹木から栄養を得ています。菌が主人公のマンガ『もやしもん』の第四巻にこの菌根菌が登場します。クヌギを大切に育ててきた不二聖心の環境だからこそ今もキンランの美しい姿を目にすることができます。

今日のことば

2013.04.16

ニホンアナグマの動画を撮りました

 

2013.04.16 Tuesday

校舎の裏の道でニホンアナグマに出会いました。最初はかなりの距離がありましたが、だんだんにこちらに近づいてきて、最後は見つめあうような近さになりました。野生動物がなぜ人間に近づいて来るのか、とても不思議に思いました。おかげで動画を撮ることもできました。本来、夜行性と言われるニホンアナグマの貴重な映像です。

 
今日のことば

アナグマをムジナと呼ぶ地方や、タヌキをムジナと呼ぶ地方がある。タヌキは穴を掘らず、よくアナグマの穴を利用する。外見の似た両種が同じ穴にいることもあり、同じ穴のムジナという言葉が生まれたらしい。

小宮輝之  

2013.04.15

ヒサカキハフクレフシからヒサカキホソガが羽化

2013.04.15 Monday
第二牧草地のヒサカキの葉にできた虫こぶ(ヒサカキハフクレフシ)からホソガが羽化しました。ヒサカキホソガと思われます。『日本原色虫えい図鑑』には「関東では5月に成熟した幼虫が虫えいから脱出し、細長い繭を作って蛹化する。成虫は5月中旬に羽化する。」と書かれていますが、今回は関東より南の東海で、しかも4月に羽化が確認されたことになります。もしかしたら温暖化の影響を受けているのかもしれません。

今日のことば

 宗教的生活とは、如何にして自己への執着から離れることが出来るか、その修行であるともいえましょう。つまり吾々の生活から利己的要素を除き去ることを意味します。それには如何に自己への執着がもろもろのけがれの因であるかの深い自覚がなければなりません。つまり我執こそは何にもまして大きな罪であり、この罪が一切の人間の不幸の原因だという反省がなければなりません。それ故罪の自覚こそは宗教心の根底をなします。

柳宗悦  

2013.04.14

不二聖心に寄贈された富士桜





2013.04.14 Sunday
富士桜の研究者である渡辺健二さんから、不二聖心の「共生の森」に植えてほしいと、富士桜を何種か寄贈していただきました。富士桜は、いわゆるフォッサマグナ要素の植物で、富士山・箱根・丹沢・伊豆を中心とした地域にのみ自生すると言われる植物です。「不二」の名をいただく不二聖心にとってたいへん貴重な桜をいただき感謝しています。九十六歳になられる渡辺さんの、富士桜に寄せる思いにも深く感動しました。
苗木はいずれも盆栽仕立ての小さなものですが、渡辺さんの考案した方法により挿し木で増やしたものだそうで、既に樹齢は5年ほど経っているとお聞きしました。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉がありますが、富士桜は切っても大丈夫であることが、苗木を見ていると実感としてわかります。
3枚の画像は、それぞれ種類の異なる富士桜を写していますが、3枚目はリョクガクザクラと言って萼が緑色であるところに特徴があります。ソメイヨシノの赤い萼を見慣れた目には非常に新鮮に映ります。

今日のことば

富士桜は、学名Prunus incisa.Tunb.で、標準和名はマメザクラであるが、富士桜と通称されている。
その分布は、富士山と四囲の山々(愛鷹、天子、三坂、丹沢、箱根山系)や、伊豆半島、三浦半島、千葉県の清澄山などで、フォッサマグナ(大地溝帯)の特産植物である。
文字通り富士山やその火山帯の特産であり、標準名が富士桜でないのは惜しみて余りあると思う。富士山と桜は共に日本の象徴であり、その二つを併せた「富士桜」は日本産植物名の中の最高の名称ではないだろうか。園芸愛好者や盆栽界では、もっぱら富士桜の名が愛用されている。別名は乙女桜、箱根桜、山桜などで、やはり富士桜が最良である。

渡辺健二  

2013.04.13

ヤブムラサキにとまるコマユバチ  コマユバチとヒメバチの違い



2013.04.13 Saturday
ヤブムラサキの葉にコマユバチがとまっているのを見つけました。コマユバチ科はヒメバチ科と並んで最も多くの種類の寄生蜂が含まれているグループです。2つのグループのハチはよく似ていますが、翅脈によって見分けことができます。コマユバチは2枚目の写真の赤線の部分がないことが特徴です。

今日のことば

ときに嵐のような逆風が、人を強くする。
王貞治

2013.04.12

ヒノキ林の中のキブシ

 

2013.04.12 Friday
ヒノキ林の中でキブシの花を見つけました。よく見慣れているキブシですが、木漏れ日の中で見ると全く違う花に感じられました。キブシの実はヌルデの虫こぶの代わりにお歯黒の染料として使われてきた歴史があり、キブシは民俗学的にも重要な植物と言うことができます。

今日のことば

どんなに小さなものを愛してさえ、愛することさえ出来たら、私たちは孤独ではない。

谷川俊太郎  

2013.04.11

ケブカヒメカタゾウムシ



 2013.04.11 Thursday
ヒノキ林に生えているヤブムラサキについている2組のゾウムシのペアを見つけました。専門家の方に同定を依頼したところ、ケブカヒメカタゾウムシであることがわかりました。顕微鏡で見ると確かに「ケブカ(毛深)」いことがわかります。動植物の名前を目にするとき、その名前をつけた人の優れた観察力を感じ取ることが多々あります。 

今日のことば

愛という言葉など、一度も使わずに一生を過す人だってたくさんいるだろう。その人たちが愛をもっていなかったのだと考えたら大間違いだ。その人たちの方がかえって、本当の愛をもっていたかもしれないのだ。

谷川俊太郎