フィールド日記
2012年06月
2012.06.19
トビモンオオエダシャクの驚異の擬態
2012.06.19 Tuesday
台風4号の接近により今日は5時間目で授業を終えることになりました。台風は暴風雨をもたらし、静岡県の各地で時間雨量が100ミリを超えました。
昨日、理科の平本政隆教諭によりユニークな姿の蛾の幼虫が発見されました。トビモンオオエダシャクの幼虫です。頭部の突起は樹木の枝に擬態しているものと思われます。体全体の姿も含めて、なかなか巧妙に擬態しているものだと感心しますが、実は擬態は姿だけにとどまりません。体表ワックスの成分が食草とする植物の表面のワックスの成分と一致するというのです。そのため天敵のアリがトビモンオオエダシャクと植物を識別することができなかったという実験結果があります。トビモンオオエダシャクが植物の成分を巧みに体内にとりこみ擬態しているものと考えられます。
今日のことば
いのちを
風にさらして
歩きたい
厳とした冬の風に
ましてこの
さわやかに光る春の
風にさらして
いのちの際に立ち
いのちを
さらして
生きてゆきたい
ああいつも
いのちを
風にさらして
馬橋悠紀子
2012.06.18
モリアオガエルの驚異的な産卵数
2012.06.18 Sunday
週が明けたら築山の枝垂れ桜の様子が一変していました。何と20個以上のモリアオガエルの卵が一本の木の枝にぶらさがっていたのです。ほとんどが産みたてのようにまだ表面が柔らかい状態でした。これまでにこのような光景は見たことがありません。今年は既にこの木にはたくさんの卵が産み付けられてきました。そのあとでこのような情景を目にすることになるとは全く予想していませんでした。
今日のことば
じっくり生きてみたくて、人生の本質をなす事だけに目を向け、その教えを学び取れないも
のかどうか確かめたくて、ぼくは森へ行ったのだ。いざ死ぬ時になって、本当は生きてなど
いなかった、という思いをしたくなかった。
ソロー
2012.06.17
アオオビハエトリ ヤブジラミ
2012.06.17 Sunday
キャンプ場にはってあったテントにアオオビハエトリが来ていました。アオオビハエトリは、待ち伏せしてアリを捕らえるクモとして知られています。下の写真はアリを捕らえた瞬間の画像です。画像からもわかるように、アオオビハエトリには脚を上げる習性があるのですが、まるで獲物を捕らえて万歳でもしているようです。
アオオビハエトリは構造色を持っており、腹部の青い輝きは構造色に由来すると言われています。ハエトリグモの仲間は目が良いことで知られています。美しい色で身を装うことが、目がいいアオオビハエトリの場合には求愛などに役立っていると考えられます。
キャンプ場のすぐ近くにはたくさんのヤブジラミの花が咲いています。花にはたくさんのアリがやってきていていました。こちらのアリたちは誰にも邪魔されることなく、心ゆくまで花の蜜を味わっている様子でした。
今日のことば
たいていの人々は、運命に過度の要求をすることによって、自ら不満の種をつくっている。
フンボルト
2012.06.16
シブイロカヤキリ
2012.06.16 Saturday
昨日は7時過ぎに帰宅しました。帰る前に「共生の森」を覆い始めたヨウシュヤマゴボウを少しでも抜いておこうと思い、森に向かいました。草を抜いていると共生の森に接しているすすき野原からから虫の声が聞こえてきました。野趣に富む、ジャーという力強い声です。
声の主を探してみたところ、シブイロカヤキリ(Xestophrys javanicus)であることがわかりました。その横でナキイナゴの声もしていました。今年こそ「鳴く虫の観察会」ができないものかと夢がふくらみます。
今日のことば
自由を求めて社会を変えることを革命と呼びますが、科学の本を読むことは、ささやかな娯楽であると同時に小さな革命なのだと思います。この世界を、宇宙を見るために、自分が少しだけ変わるのですから。
瀬名秀明
2012.06.15
ホソフタオビヒゲナガ キボシツツハムシ
2012.06.15 Friday
「共生の森」でホソフタオビヒゲナガを見つけました。ユニークな模様に驚きます。
キボシツツハムシにも出会いました。こちらもまた負けずに模様がユニークです。
今日のことば
原理や原則についてきちんと議論がなされないまま、「論理」ではなく「空気」で物事が
決まっていく。そんなこの国のありように、ずっと違和を感じてきました。
坂本龍一
2012.06.14
チャツムタケ
2012.06.14 Thursday
昨日の「森の健康診断」の時に高校1年生が見つけたキノコの名前を調べたところ、フウセンタケ科のチャツムタケであることがわかりました。チャツムタケは、針葉樹の腐朽材に発生するキノコとして知られています。
キノコの傘の裏側には甲虫が潜んでいました。キノコムシの一種かもしれません。間伐材がキノコを育て、そのキノコがまた別の命を育てています。ここにも一つの命のつながりを見ることができます。
今日のことば
成長も成熟も、痛みを伴います。自分と闘い、自我に死ぬことを求めるからです。一粒の
麦と同じく、地に落ちて死んだ時にのみ、そこから新しい生命が生まれ、自らも、その生命
の中に生き続けるのです。
渡辺和子
2012.06.13
森の健康診断 ホタルブクロ
2012.06.13 Wednesday
今日は高校1年生の総合学習の時間に、愛知県の矢作川水系森林ボランティア協議会の方に来ていただいて「森の健康診断」を行いました。不二聖心の森の健康状態を調査しましたが、1時間半の時間の中でさまざまな工夫を凝らした方法の調査を行い、最終的には見事に科学的なデータを得られたことに驚きました。この成果をもとに9月に生徒自身の手で間伐を実施する予定です。
「森の健康診断」からの帰り道、ホタルブクロの花を見つけました。季節はまた一歩、歩みを進めたようです。
今日のことば
精一杯、生きる日が、もう一日与えられているとは、何と幸いなことだろう。
アントニー・デ・メロ
2012.06.12
インドヒラマキ
2012.06.12 Tuesday
中学3年生が築山の池から珍しい貝を見つけてきてくれました。専門家に同定を依頼したところ、インドヒラマキではないかという回答を得ました。インドヒラマキはもともと東南アジアに生息していた淡水性の貝ですが移入種として日本に定着し、徐々に数を増やしています。ヤマアカガエルやモリアオガエルといった希少な
カエルのオタマジャクシが生息する築山の池の生態系に悪影響が及ばないか心配されます。
インドヒラマキがホタルの幼虫の餌になるという事実には驚きました。
今日のことば
あなたの目の前にあるものをよく見なさい。それこそが神の現れなのだから。
カルロ・カレット
2012.06.11
イヌガラシとモンシロチョウとナガメ
2012.06.11 Monday
森づくりの予定地に咲くイヌガラシにモンシロチョウとナガメが来ていました。どちらもアブラナ科の植物が大好きな生き物です。
今日のことば
生きるとは時間をかけて生きることだ。人はどうして、森の外で、いつも時間がないというふうにばかり生きようとするのか。古い森の奥の大きな樟の木の老人は何も言わず、ただ黙って、そこにじっと立っていた。
長田弘
2012.06.10
キタテハ
2012.06.10 Sunday
栗畑で夏型のキタテハの写真を撮りました。秋型は色も形も夏型とは異なります。同じ種でありながら季節によって形と色が変わるというのは、考えてみれば不思議なことです。
今日のことば
人が何かに出会い、感動する。その感動の元をたどっていった時、その核のところには、こういった肯定の光景があるのではないだろうか。肯定の感情が世界を覆う、そのことを感動というのではないだろうか。
太田省吾