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フィールド日記

2011年07月

2011.07.21

アラゲハンゴンソウ・イナゴモドキ・ツユムシ

平成23年7月21日 木曜日

台風6号が遠くに去るにつれて、少しずつ青空が戻ってきました。下の写真は朝7時過ぎの牧草地です。

 今の時期の牧草地には、アラゲハンゴンソウが毎年たくさん花を咲かせます。アラゲハンゴンソウは
北アメリカ原産の帰化植物です。朝早くからアラゲハンゴンソウにはたくさんの虫が集まっていました。
下の写真は、イナゴモドキだと思われます。直翅目バッタ科のイナゴモドキは、
5つの県で絶滅危惧種・準絶滅危惧種に指定されています。

 ツユムシの姿も花の上に見つけました。弱々しげな様子になぜか心ひかれるものを感じます。
直翅目キリギリス科の昆虫です。

2011.07.20

コフキゾウムシ・ホシハラビロヘリカメムシ・オオシロガネグモ

平成23年7月20日 水曜日

 台風6号の影響で今日は休校となりました。
今日も月曜日に撮影した写真を用いて最近の不二の自然を紹介します。

 不二聖心では、秋の七草の一つであるクズが東名高速沿いに繁茂しています。
千年以上前から日本人の生活に深く関わってきたクズは多くの生き物の命を育んできました。
下の写真はクズの葉を食べるコフキゾウムシです。


次の写真では、クズの葉の上でカマキリの幼虫が何かを食べています。
これほど食べられてもまだ生きていました。クズの汁を吸って生きるホシハラビロヘリカメムシです。

 クズの葉に依存して生きる生き物をねらっているのはカマキリだけではありません。
次の写真はクズの葉の上で獲物を待つオオシロガネグモです。この背中の模様を覚えておいて、
見つけたら背中を少し刺激してみましょう。驚くべきことがおこります。

2011.07.20

ハグロトンボ・ジガバチ・シャクガの幼虫

平成23年7月19日 火曜日

 台風6号の影響を懸念して今日の授業は午前中のみとなりました。
台風が通過するまでは月曜日に紹介しきれなかったフィールドの様子を写真で紹介してみたいと思います。

 7月に入ると、温情舎の校舎跡のアブラギリの大木の木陰でハグロトンボをよく目にするようになります。
これは7月に羽化した若い個体が比較的薄暗い環境を好むためだと考えられます。

 7月18日は、不思議なぐらいたくさんのジガバチがハルジオンに飛んできていました。
ジガバチは土中に穴を掘り、そこに狩りをして捕獲したエサを運び入れ、そのエサの上に卵を産みます。
エサとなる昆虫は殺すことをせず急所をはずして針を刺し動けないように体を麻痺させます。

 ジガバチのエサとなるのは、ヤガやシャクガの幼虫です。ジガバチのすぐ近くでシャクガの幼虫の姿も
見られました。この幼虫もジガバチのエサとなってしまったかもしれません。

2011.07.18

ラミーカミキリ・フクラスズメ

平成23年7月18日 月曜日

台風6号の接近の影響か、時々小雨の降るなか、フィールドを歩いてみました。

 温情舎の校舎跡は一か月ほど前にきれいに草が刈られてしまいましたが、そこに勢いよく生えだしたのが
イラクサ科のカラムシです。あきれるほどの生命力を持つカラムシを食草とする生物は、
同じようにすばらしい繁殖力を持つことになります。
そのような生き物を2例観察しました。
1例目は、ラミーカミキリです。「ラミー」もイラクサ科の植物の名前です。1873年に長崎で記録されたのが
日本で最初の記録です。輸入されたラミーとともに大陸から入ってきたと考えられています。
人間の活動の影響を受けた昆虫の一つです。
韓国体験学習でラミーの畑を見つけた時には思わずラミーカミキリを探してしまいました。

 2例目は、フクラスズメの幼虫です。成虫が冬にも見られる蛾として知られています。
以前、晩 秋に中3松組の教室に成虫が迷い込んできたことがありました。
堀辰雄の『風立ちぬ』の「十二月一日」の、「夜、そんな蛾がどこからともなく飛んで来て、
閉め切った窓硝子にはげしくぶつかり、その打撃で自ら傷つきながら、なおも生を求めてやまないように、
死に身になって硝子に孔をあけようと試みている。」という一節に登場する蛾はフクラスズメであろうと
言われています。
写真の幼虫は、こちらの存在に気がついて威嚇をしています。さらに激しく体を震わせる個体もいます。
幼虫も成虫も気性の荒いところがあるのでしょうか。
 

2011.07.17

鹿猪之供養塔・カジカガエルのオタマジャクシ・カワラナデシコ

平成23年7月17日 日曜日

 中学2年生が自然教室で訪れる神奈川県松田町寄の中津川に下見に行ってきました。午前11時の時点で
気温は31度ありました。連日の暑さのせいか、川の水量が激減していて生態系へ影響が心配されます。
川の近くには「鹿猪之供養塔」と彫られた石仏がありました。
鹿と猪のお墓があるというだけで丹沢の自然の奥深さが感じられます。

 川にはカジカガエルのオタマジャクシがたくさん泳いでいました。カジカガエルは13の県で絶滅危惧種・
準絶滅危惧種に指定されています。自然教室で鳴き声が聞けたらどんなにすばらしいことかと思います。
俳人石原八束は、カジカガエルの声の美しさを次のように句に詠んでいます。

 河鹿の音光の糸を伝ひくる  石原八束

 河原にはナデシコの花が咲いていました。なでしこジャパンの「なでしこ」はこの花に由来しています。

2011.07.17

ヤマユリ・オナガグモ

平成23年7月16日 土曜日

 今日も暑い一日でした。全国90か所の観測点で猛暑日となったそうです。
不二聖心も快晴で美しい夏の富士山をながめることができました。

 ヤマユリが咲きました。暑い夏に映える大ぶりの花が、不二聖心のあちらこちらで、
これから次々に開花していくことでしょう。

 久しぶりにオナガグモに出会うことができました。
擬態している時にはなかなかその存在に気づくことのできないクモですが、たまたま卵のうを見つけたために、
親の存在にも気づくことができました。オナガグモはクモを食べるクモとして知られていま す。
写真①が針葉樹の葉に擬態している時の姿、写真②が動いている時の姿、写真③が卵のうです。

 写真①

 写真②

 写真③

2011.07.16

コクラン・ノコギリカミキリ

平成23年7月15日 金曜日

今日も暑い一日でした。全国77の観測点で猛暑日となったそうです。

 11の県で絶滅危惧種・準絶滅危惧種に指定されているコクランの花をいつか撮影しようと思っている間に
花の盛りが過ぎてしまいました。かろうじて一枚撮ることができましたが、
コクラン独特の花の姿を充分に伝えることができず残念です。
撮影した場所は竹林の中で、先日ツチアケビを撮影した場所のすぐ近くです。
竹林は荒れ地としてとらえられることが多く、不二聖心でもほとんど人が入るこ とのない場所になっています。
しかし、そこに2種の希少種が生息しているわけです。「荒れ地」の定義の難しさを感じます。

 コクランのすぐ近くでノコギリカミキリを見つけました。触覚がノコギリのようであるところから
ノコギリカミキリと名付けられました。これも荒れ地の珍客と言えるでしょう。

2011.07.15

合歓の花・ツマグロヒョウモン

平成23年7月14日 木曜日

 今朝は7時にはもうホトトギスが元気よく鳴いていました。百人一首に「ほととぎす鳴きつる方をながむれば
ただありあけの月ぞ残れる」という歌がありますが、なるほど早起きの鳥だと実感します。
ちなみに午後のクラブ活動の時間までホトトギスの声は聞こえていました。

 牧草地の合歓の花は、少し標高が高いせいか、なかなか咲きませんでしたが、ようやく花を咲かせました。
虚子の句を思い出します。

 休らへば合歓の花散る木陰かな   高浜虚子

 久しぶりに牧草地でツマグロヒョウモンのオスを見かけました。
温暖化の指標としてよく話題になるチョウで、かつては西の地方にのみ生息していたと言われていますが、
今では不二聖心でもごく普通に見られるチョウとなっています。

2011.07.13

ナワシロイチゴ・ニイニイゼミ・オナガバチ

平成23年7月13日 水曜日

連日、30度を超える真夏日が続いています。クラブ特別週間も3日目に入りました。

 ナワシロイチゴの実がいつのまにか熟していました。この時期が苗代をつくる時期と重なるため
「ナワシロイチゴ」と名付けられたのですが、田植えの時期が変わってしまったため、
今では二つの時期が一致しなくなってしまいました。

 ニイニイゼミの抜け殻を見つけました。ニイニイゼミの抜け殻は泥にまみれているため他の種との見分けが
容易につきます。中学3年生の教科書に載っている、西東三鬼の「岩に爪たてて空蝉泥まみれ」という句の
「空蝉」はニイニイゼミの抜け殻のことだと思われます。

 廊下でオナガバチを見つけました。長い産卵管を持つハチです。
不二聖心の雑木林では実際に産卵の場面を観察することもできます。

2011.07.13

高校3年生の短歌⑨・アレチハナガサ

平成23年7月12日 火曜日

高校3年生の短歌を紹介します。

 もうすぐで待ちに待った夏休みだけど今年は勝負の夏
夏祭り浴衣でひらひら華麗に変身特権だよね女の子だけ
休日はどうしてこんなにすぐ過ぎる時の流れが特急列車
疲れたらお話しましょう お供には甘いココアと焼きたてお菓子
節電を呼びかけ世間はエコモード 私はアイスで美味しく節電
しらぬ間に夢の世界にダイビング シャーペン落として現実世界へ
リルケさんせっかく手紙を書いたのに若き詩人は詩人にならず
毛むくじゃら分かるよ分かるよ私も暑い扇風機を独占我が家の愛犬
なでしこの華麗なサッカー美しい日本の女性はやっぱり強い
パスワード考えぬいて決めるけど使うころにはすっかり忘れる

 クラブ活動週間も2日目に入り、夏休みが少しずつ近づいてきているのを感じます。
裏の駐車場では暑さのなかアレチハナガサが可憐な花を咲かせていました。南アメリカ原産の帰化植物で、
不二聖心でも毎年見かける花です。