フィールド日記
2012.07.25
中2自然教室 カジカ ハエドクソウとコシボソハナアブ
2012.07.25 Wednesday
中学2年生は今日、自然教室から帰ってきました。聖心丹沢学舎の近くを流れる中津川で
「生き物調査コンテスト」を行いましたが、絶滅危惧種のカジカをつかまえた生徒もいまし
た。2枚目の写真は大喜びする生徒たちの写真です。清流のシンボルとの貴重な出会いでした。


ハエドクソウが今年も裏道で咲き始めました。訪花しているのはコシボソハナアブです。
不二聖心では、他に雑木林でも校舎の裏の道でもハエドクソウが見られます。それぞれの場
所における送粉者の違いを調べたら面白いかもしれません。

今日のことば
生物多様性にとって人間の存在は不要、もしくは有害な存在に過ぎませんが、人間にとって
生物多様性はなくてはならない存在だということです。
五箇公一
2012.07.23
雑木林の青空 ワラビとヒメコガネ
2012.07.23 Monday
昨日から高校1年生のキャンプが始まりました。今日は、これから中学2年生が自然教室に出発します。
ここ数日、曇りの日が続きましたが、ようやく青空が戻ってきました。

雑木林の林縁のワラビをヒメコガネがむさぼるように食べていました。ビタミンを分解する酵素を含むシダ植物を好んで食べる生物は少なく、ワラビも茂り放題の状態ですが、いくつかの種類のコガネムシは好んでワラビを食べます。下の写真の右側が一般的なヒメコガネで構造色の美しい緑色をしています。左側はヒメコガネの個体変異と思われます。

今日のことば
自然にたいする知識や、私たちの生が深く自然に根ざしている感じを子供たちに伝えるためには、まず大人が自然を見直してみる必要があるだろう。個人個人のもっている、幅は広いけれども断片的な知識、体系的でない知識を、ひとつの統一的な自然観に整理し、位置づける必要があるのではないだろうか。もう一度、野や山を歩いて、自然の美しさ、すばらしさ、楽しさを再発見し、日本の自然、日本の風土に新鮮な眼をひらく必要があるだろう。
日浦勇
2012.07.22
ムラサキシジミの幼虫とアブラムシ

2012.07.22 Sunday
クヌギの葉の上にムラサキシジミの幼虫を見つけました。ムラサキシジミの成虫はこれまでに何度も不二聖心で確認していていますが、幼虫は初めての発見となります。ムラサキシジミの幼虫は甘い蜜をアリに提供し、その見返りとしてアリに外敵から自分を守ってもらっています。幼虫についているのはアブラムシで、こちらも甘い蜜を出すことによってボディーガードのアリを引き寄せています。両者は協同して身を守っている可能性があるのです。
今日のことば
現代の人間たちは、大きなシステムに依存して生きる社会をつくりだした。ところがその巨大なシステムがいまでは文明の災禍を発生させるようになった。こうして私たちは、巨大システムを元に戻し、それに依存する社会を復旧させるのか、それとも人間が制御しうる社会、人間たちの等身大の関係が主導権を握れるような社会を再創造するのかを問わなければならなくなった。私は復興は後者の道だと考えている。
内山節
2012.07.21
クサカゲロウの幼虫 コシロシタバ
2012.07.21 Saturday
今日は、お茶畑の中を通って雑木林の様子を見に行きました。「夏休み子供自然体験教室」で歩く予定のコースとほぼ同じコースです。
お茶畑でお茶の葉の先に何やら動く物体を見つけました。よく見ると、それはクサカゲロウの幼虫でした。ゴミを体につけて擬態していますが、写真には頭部と脚が写っています。
雑木林ではコシロシタバに今年初めて出会いました。8つの県で、絶滅危惧種か準絶滅危惧種に指定されている希少種です。一見地味な蛾ですが後翅の下には、美しい模様の前翅が隠れています。



今日のことば
太陽
月
星
そして
雨
風
虹
やまびこ
ああ 一ばん ふるいものばかりが
どうして いつも こんなに
一ばん あたらしいのだろう
まどみちお
2012.07.20
鹿の親子 鹿の食害
2012.07.20 Friday
今朝、聖心橋の手前のカーブを曲がったら、いきなり目の前に鹿の親子が現れました。
あわてて車の中からシャッターを押しましたが、鹿はすぐに姿を消してしまいました。
7月4日に植樹を行った「共生の森」では、すでに鹿の食害が発生しています。特にマユミの木の被害はひどく、ほとんど枝だけしか残っていません。現在、無毒の忌避剤の導入を検討しています。


今日のことば
自然を守る運動は、初めはその破壊に対する告発から始まり、次に自然を守るための規制を要求するようになる。だがその地点でとどまっていることも、また許されない。なぜなら自然を破壊するものは、具体的契機としては、開発や自然の改造であるとしても、その基礎には、私たちの近代から現代にかけての歴史と、その精神がよこたわっているからである。
だから私は人間の理性の力で森を守ろうとすることにも躊躇する。今日の人間の理性とは、現代社会の精神と分かちがたいものでしかない。
恐らく森は、人間たちの営みの確かさをとおしてしか守れないであろう。森とともに暮らす人々の営み、そしてそんな人々を支えていく私たちの営み。そのさまざまな営みが、永遠に循環し続けるように展開していく森の時空とともにあるとき、森は永遠である。
内山節
2012.07.19
ヤマユリ ニイニイゼミの羽化
2012.07.19 Thursday
校舎の裏の道でヤマユリが咲き始めました。不二聖心にはたくさんのヤマユリが自生し、夏の自然に豊かな彩りを添えています。
ヤマユリのすぐ横では、ニイニイゼミが羽化していました。昨日の「夏休み子供自然体験教室」生徒スタッフ事前研修でも一人の生徒がニイニイゼミの抜け殻を見つけました。ニイニイゼミはおそらく夏の不二聖心で見られる、最も個体数の多いセミです。


今日のことば
ある日のこと、わたくしは幾人かの子どもたちと、麦のよくのびた田んぼ道を話しながら
歩いていました。すると一人の子どもが、ちょろちょろと麦畑のなかへ走っていきました。
何をしにいったのだろうかと思って残っている子どもたちにきくと、ひばりの巣を見にいっ
たのだそうです。その子の見つけておいたひばりの巣が、その麦畑のなかにあるのだそうでした。
その子どもはまもなく帰ってきました。そして、
「あったか」
ときく子どもたちに、
「あった」と嬉しそうに答えていました。
そのうちに頭の上へ低く一羽のひばりがおりてきました。それをみてさっきの男の子は、
「あれはおれのひばりだ」
とお友だちに話していました。これは、
「あのひばりがおれの見つけておいた巣の親鳥だ」
という意味なのですが、それをその子はいかにもあたりまえのようにいうのですから、私は
すっかりびっくりしてしまいました。
この時期になると、田舎の子どもたちは、だれでも一つや二つの「自分のひばりの巣」を
持っていないものはありませんでした。そして一度だれかが見つけた巣は、もう誰も手をだ
すことはできないのです。それが子どもたちのなかまのきまりなのです。子どもたちのなか
までは、そういうきまりがしっかりと守られているのです。「あれは誰ちゃんの巣」という
ことを、誰も誰もが知っているのです。
斎藤喜博
2012.07.18
ツノトンボ 夏休み子供自然体験教室生徒スタッフ事前研修
2012.07.18 Wednesday
今日は「夏休み子供自然体験教室」の生徒スタッフの事前研修を行いました。すすき野原を歩いていたら、絶滅危惧種のツノトンボに出会いました。写真の後ろに写っているのはナワシロイチゴの実です。暑い午後の研修でしたが、野イチゴで喉の渇きを癒しながら生徒たちは研修に励んでいました。


今日のことば
あの丸木橋をわたると
だれもいそがない 村がある
まめのつるに まめのはな
こうしのつのに とまる雲
そのままで そのままで
かげぼうしになる 村のはなし
岸田衿子
2012.07.17
タケニグサの花とミツバチ
2012.07.17 Tuesday
タケニグサの花が裏の駐車場で咲き始めました。目立つ花ではありませんが、思いのほか、多くの命を養っている花です。今日はセイヨウミツバチが賑やかに羽音を立てていました。


今日のことば
実際に生きている人間の直感の方が、科学的知を超えて物事の本質に迫る瞬間がある。
高木仁三郎
2012.07.16
カヤキリ

2012.07.16 Monday
不二聖心女子学院主催の「夏休み子供自然体験教室」の活動場所に予定されている第1牧草地でカヤキリの幼虫の写真を撮りました。カヤキリは日本最大のキリギリス科の昆虫で、全国各地で生息数が減少しています。幼虫がなぜこのように体を真っ直ぐに伸ばしているのか、理由はわかりません。
夏休み子供自然体験教室では、成虫となったカヤキリが野趣にあふれた鳴き声を聞かせてくれることを期待しています。
今日のことば
朝日新聞社の新刊『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』(心屋仁之助著)に、「嫌
な出来事のあとに『おかげで』をつけてみる」という助言があった。あの失敗のおかげで今
がある、という風に。
著者いわく「チャンスはピンチの顔をしてやってくる」。その時は辛くても、何かの肥やし
になったと後で思える体験は多い。すべては癒やせないにせよ、心の古傷に前向きな意味を
与え、一歩を踏み出したい。
「天声人語」(2012.07.16)より
2012.07.15
エサキモンキツノカメムシ

2012.07.15 Sunday
「共生の森」に向かう坂道の途中で、背中のハート模様が特徴的なエサキモンキツノカメムシの写真を撮りました。エサキモンキツノカメムシという名前は昆虫学者の江崎悌三にちなんでつけられました。このカメムシは6月の下旬になるとミズキの葉の裏に30個~60個の卵を産み、メスはその卵を自分のからだの下において保護します。卵が孵ってからもからも親はしばらく幼虫のそばを離れません。つまりこのカメムシは子育てをするカメムシなのです。
今日のことば
実生活を生き抜くことで、生を濃密なものにしていけばよい。 加藤治郎
