校長室から

2023.01.27

Dear World!

 コロナ禍の中も一年間の長期留学は継続してきましたが、姉妹校交換留学は一時中断していました。いよいよ再開となり、来週にはニュージランドの姉妹校に交換留学で出かける生徒が、また3月からアメリカの姉妹校に出かけるために準備している生徒もいます。

 姉妹校交換留学制度は、世界5大陸に広がる聖心姉妹校間で、相互の信頼関係のうちに行われるもので、期間は2週間から3週間です。お互いに授業料はいただきませんし、生活面でも受け入れ合う家庭間でもてなし合うので、原則として渡航費で留学が可能です。

 英語以外の言語に関心をもつ生徒も多いので、これまでも一年間の留学を含めて多彩な文化圏で学びを深めています。来年度からドイツ語の授業も始まりますので、ドイツ、オーストリア等に出かける生徒も増えてくることでしょう。

 今朝の朝礼では、生徒による自主的な留学推進グループ「Dear World, We are Ready」(通称Dear World)が、イタリア語とフランス語のセッションを企画し、全校に参加を呼び掛けていました。多様な世界・文化に対する関心の炎が生徒たちの中でいつも燃えていることを頼もしく思います。


 

 

2023.01.19

黄瀬川の清き流れに

 黄瀬川の流れをたどって歩くのが好きです。この川は富士山の三島溶岩流の流域にあり、岩盤の上を流れる清流の美しさや川音に心が和みます。東京から移って来た当初、そもそも川にごみひとつないことに驚いている自分にはっとさせられました。

 今日は、放課後に予告なしの避難訓練を行いました。少し肌寒い中、グラウンドに整列して真剣に講評に耳を傾ける生徒たちの表情に思わず見入っていました。折にふれて生徒たちの中にみる清い感性。どこからくるのだろうと思い巡らす時、一つには「自然」にゆきつきます。理論で知るのではなく、自然と共にある中で育つものー-、それは、自然のみならず、他者とのかかわり、ものの見方、学びの姿勢ともかかわっていきます。21万坪のキャンパスでは、グランドで体育大会をする時に「ご近隣の皆様、本日はご迷惑をおかけしますが・・・」とアナウンスする必要はありません。保護者・教職員と共に、風が、木々が、見えないところできっと動物たちも生徒たちを見守っています。

 創立の頃、校舎は丘の下にあり、生徒たちは黄瀬川に入って遊ぶことも多かったそうです。今はそういうことはありませんが、清き水の流れは、変わることなく生徒たちを内側から生かしています。

 

2023.01.14

たったひとりの生徒のためにも

 年が明け、中学3年生の方々との面接から始まりました。エレガントにパーラーのドアを開け、着席し、これまでの振り返りや今後の展望を語ってくれる姿に、毎朝、力をいただいています。事前に、丁寧に自筆で書かれた高校入学願いのお手紙を受け取っているのですが、一人ひとりの文字や文章にもその人らしさがあふれています。

 この生徒たちは、コロナ禍の中、オンラインで入学式を行った唯一の学年です。スクリーンに映るお互いの表情を確認しながら授業を行い、分散登校を経て、ようやく学年が一堂に会したのは6月のことでした。当初、日本では感染の多い地域に対して差別的な言動がみられましたので、多様な地域から生徒がつどうボーデイングスクールとしては懸念もありました。それは杞憂であったことにすぐに気づかされました。子供たちにとっては、この広い世界の中で同じ学院に導かれた友とようやく出会えた喜び、お互いの地域への関心の方がはるかに大きかったのだと思います。

 あなた方が共に一つのこと成し遂げようとする時、豊かな恵みをいただくでしょう。あなた方は愛を学び、それをお友達に伝えねばなりません。そうすれば、あなたは一人天国に行くのではなく、そこでお友達に出会えるでしょう。

聖マグダレナ・ソフィア・バラ

 中学卒業、そして高校入学へと向かう一人ひとりの良き意思を神様が強めてくださいますように。  

 

2023.01.06

エピファニー

 今年は1月8日がエピファニー(ご公現の祝日)です。幾つかの理由から、私にとって特別な思いのある祝日です。一つには、かつてローマのヴィラランテ修道院で、フランス、ベルギー、ポーランド、北米、チリ、ウガンダ、インド、韓国、日本の9か国から14名が集まり、養成を受けた後、共に終生誓願を立てたのがエピファニーでした。指導者はスペインと北米からのシスター達でした。

 この仲間と、冬休みに2日間にわたってオンラインで集まりました。今は、世界各地に散らばっている私たちですが、誰にとっても、聖心会員としての一致と原点に引き戻される時間だったと思います。

 当時、よく歌った歌の中に「We are called」があります。旧約聖書ミカ書6章8節がもとになった歌です。新年にあたり、パンデミックやウクライナ問題が続く世界のために祈りつつ、皆様に分かち合います。

Sing! Sing a new song!
Sing of that great day when all will be one!
God will reign, and we’ll walk with each other
As sisters and brothers united in love! 

We are called to act with justice,
We are called to love tenderly,
We are called to serve one another;

To walk humbly with God! 

2023.01.01

新年の希望の扉をあけて

 聖心の森の奥にそびえ立つ富士を仰ぎつつ、新年の祝福をお祈り申し上げます。

 生徒の皆さん、新年おめでとうございます。
 この静謐なキャンパスで育つあなたがたの心の清らかさ、みずみずしい感性、しなやかな強さを思いめぐらしています。修道院では、いつも皆さんのためにお祈りが捧げられています。希望の扉をあけて学院、セントマドレーヌに戻っていらっしゃいますように!

2022.12.24

Merry Christmas!

 70年前のSchool Journalをみると、70年前の12月25日、生徒たちはクリスマス・ミサに参加した後、神山の復生病院や沼津の高齢者施設にクリスマスプレゼントをもって訪問したと書かれていました。今も、クリスマスが、喜びと平和の源であるイエスの誕生を分かち合う日であることを生徒たちはよく理解しています。

 今月から、学院公式インスタグラム「Bring Joy」がスタートしました。「Sophie's Diary」同様、私もライターの一人として参加しています。タイトルは、創立者ソフィーの「Bring Joy to Others」というお言葉からとられました。今、家庭でクリスマスを過ごしている生徒たちにも喜んでいただけたら、と願っています。ぜひ、フォローしてくださいね!
https://www.instagram.com/fuji_sacred_heart_school/ 

2022.12.16

多様な地域から生徒がつどう学院の良さ

 先日、ひとりの生徒が社会科の選択授業で作った作品が北海道の地方創生関係のコンテストで表彰され、プレゼンテーションも行いました。RESAS等を駆使した授業そのものの面白さもさることながら、県内に住む生徒がなぜ釧路なのかと思い尋ねたところ、ご家族で訪れた釧路湿原に感銘を受け、雄大な自然をはじめ、タンチョウ・マリモなどの生物や海産物を観光資源として活用し、何か地方創生のためにアイディアを出せないか考えたから、ということでした。自然に対するみずみずしい感性にもはっとさせられました。
https://www.hkd.meti.go.jp/hoksr/20221214/index.htm

本学院は18都道府県から生徒たちがつどっています。多様な地域からの仲間と生活する中で、自然に地域特性への関心が高まり、違いを楽しんだり、尊重し合う態度が醸成されていきます。世界のどこに住んでいても、グローバルな場で働いていても、私たちは必ずどこかの地域に属し、それぞれの日常を生きていきます。東京一極化集中やデジタル田園都市国家構想等が課題となる中で、この生徒たちは希望の作り手となっていってくれることでしょう。

 

2022.12.08

日々の生活の中で讃美の歌を

 学院の守護聖人である聖ローズ・フィリピン・デュシェーンの祝日に新しい聖歌集が完成しました。表紙の色は、美術科の先生のご助言により制服に調和するような色彩が選ばれました。外側の調和もさることながら、こうすることによって生徒たちが自然に聖歌集の中に自分の姿を見出すような効果もあるのだそうです。ミサや典礼の時だけではなく、日々の生活の中で讃美の歌をうたっていくことができますように。


Sing! Sing a new song! Sing of that great day when all will be one!
God will reign and we'll walk with each other as sisters and brothers united in love!
We are called to act with justice. We are called to love tenderly.
We are called to serve one another, to walk humbly with God.
 “We are called”より 

2022.12.01

待降節に

 カトリック教会では、クリスマスの4つ前の日曜日から、クリスマスを準備する期間に入ります。この期間を「待降節(アドベント)」と呼びます。今年は、11月27日から始まりました。この日、バチカンの広場で行われた祈りに続いて、教皇様は「待降節」のメッセージを語られました。以下は、その一部です。


 神は最も普通の日常、毎日の生活の中に隠れておられるということを忘れないようにしましょう。神は日々の仕事の中に、偶然の出会いの中に、時には助けを必要とする人の中や、退屈な灰色の日々の中にもおられ、わたしたちを呼び、話しかけ、わたしたちがどのように行動すべきか促されます。


 放課後等に、楽しそうなクリスマル・キャロルの歌声が響くこの頃、学院でも、静かに日々の生活を振り返ることを大切にしながら、クリスマスへの思いを深めていきます。 

2022.11.24

いのちの鼓動

 カトリック教会では、11月、天に召された方々のことを思い祈ります。学院では、今週、3年ぶりに、卒業生・旧教職員等のご遺族の方々をお招きしての追悼ミサを再開できました。制限のある中での開催でしたが、チャプレンの司式のもと生徒たちと共にお祈りすることができました。お世話になったドゥシェーン会(同窓会)の皆様に心から感謝申し上げます。


“いのち”は土や根や木の中の、目には見えないところで、新しい葉っぱを
生み出そうと準備をしています。大自然の設計図は、寸分の狂いもなく
“いのち”を変化させ続けているのです。
『葉っぱのフレディ 
いのちの旅―』(レオ・バスカーリア)


 中1の教室と聖堂の間には大きな楓の木が植えられています。入学した頃は枝や幹ばかりが目立ち、夏には青々と茂った葉も、今は赤く色づき、風に舞って土に落ちていきます。「葉っぱのフレディ』を思わせるこの木は、生徒たちがいのちの大切さや自らの生き方を見つめ直すことを無言で助けてくれています。

今週は、入試説明会も行われ、高校2年生を中心にお迎えいたしました。生徒たち、そして学院の新たないのちを受け継いでくださる方々のいのちの鼓動も感じた一日でした。