校長室から

2020.05.07

アンジェラスの鐘

アンジェラスとは、「天使」の意味です。この鐘は、天使ガブリエルからマリアへの受胎告知とかかわっており、お告げの祈りと共に唱えられてきました。司祭や修道者が、一日を「聖化」するために行われていたものが、次第に人々の間に広まっていったといわれます。時計のない時代、鐘の音は時を告げるものでもあったようです。

2月28日そ最後に生徒たちの姿が学校に見られなくなって以来、最上級生によって鳴らされていた学院の鐘は沈黙したままでした。なんとか生徒たちに鐘の音を届けたいと、4月28日から、先生方によって鳴らされるようになりました。

本日は、延期されていた中学校・高校の入学式がオンラインで実施されます。新入生の方々が、一日も早く、この鐘の音に実際に耳を澄ませ、全校生がそろって朝の祈りを唱えられる日が来ますように。そして、不二聖心女子学院でのご生活の中で、ご自分の人生を「聖なるもの」としてとらえていかれますようにと願っております。

 

2020.05.01

大地の恵み

Stay Homeが叫ばれる中、どなたの生活にも様々な変化が起こっているのではないでしょうか。かくいう私は、贅沢にもこの21万坪の美しいキャンパスに籠っています。そんな中、今、凝っているのが「竹の子ご飯」。休日には必ず作っています。いつもお世話をかけている修道院のシスター方へのささやかな感謝の表現でもあります。掘るところから始めて、茹でてあく抜きをして、その日のうちに炊きます。とれたてのしゃきしゃき感が好評ですが、お料理の腕とは全く関係なく、まさに素材のもつ力のなせる業。

あるシスターは新芽のお茶の葉の天ぷらに凝っていらして、他の方は蕨をとっておひたし、また元十字架のイエズス修道院のお庭にある夏蜜柑をとり、オレンジピール、ジャム、ゼリーを作ったりと、キャンパスの自然の恵みを堪能しています。新たにチャレンジする人も増え、学院ホームペ-ジ(「修道院のある学校」)に少しづつ掲載していくことになりました。

これは一例ですが、コロナウイルスについて考えたり、行動が制限されたり、またオンライン授業の様子を見聞きすることを通して、家庭科や保健体育、そして音楽、美術、書道などの教科がもつ力を再認識させられています。生徒たちは、どう感じているでしょうか?

明日からは連休となり、オンラインで運営されている学院も休日となります。生徒たちが、限られた空間の中にあっても、心豊かに過ごしてくれるよう願っています。

2020.04.24

つながり

“Stay Home”が求められている現在、学院はオンラインで生徒たちとつながっています。ホームルームや授業、放課後の面談等、リアルタイムでコミュニケーションをとることができます。

  今日、一人の先生が担任のクラスの生徒たちから受け取ったお手紙について話してくださいました。「コロナウイルスで大変な中、私たちのために頑張ってくださってありがとうございます」「長い間、学校に行けず、とても寂しく思っています。オンラインの中で先生方とつながれてうれしいです」などと書かれていたそうです。また、あるお母様とのお電話で、「オンライン授業がわかりやすいと言っています。食卓で楽しそうに話してくれます」というお言葉もいただいたとのことでした。コロナウイルスによってもたらされた変化への対応に明け暮れる中、大変うれしいメッセージでした。 

  授業は、No one left behindをモットーに非常勤の先生も含め全教員が相互に支え合い、通常の時間割に沿って7時間目まで行われています。双方向ですので、音声だけではなく、チャットやグーグルフォームでの課題提出等、様々な方法を使ってコミュニケーションがはかられます。同じ教材を扱うにも、教室での対面授業とは異なったやり方を考える必要があり、今日よりは明日、今週よりは来週、より良い授業ができるようにと取り組んでいます。オンラインの環境整備にご協力くださっている保護者の方々のご協力あってのこと、心から感謝しております。

  新型コロナウイルスの収束した世界は、全く新しいものになるであろうと多くの方々がおっしゃっていますが、その足音は学院にも響いていると実感する日々です。

2020.04.14

2020(令和2)年度 学校目標

 不二聖心女子学院 2020(令和2)年度 学校目標

実行力を養う ~ Let Peace Begin With Me ~

 不二聖心女子学院の生徒の皆さん、ご入学、ご進級、おめでとうございます。
本年度、学院では20都道府県からの生徒たちをお迎えしました。入学式はこれからですが、新入生の皆さんは、すでに学院の大切なファミリーです。エンジェルの高3の方々は、お会いできる日を想像しながら、ご自分のチャイルドのためにお祈りくださるようお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、本来なら4月にマイアミの聖心で行われる予定だった「世界聖心校長会」(4年毎に開催)は、延期され、バーチャル会議に変更になりました。
 現在は、感染防止のため、人と人、地域と地域に、距離が求められる状況にあります。けれども、「心の距離」は近くありましょう。長い目でみた時、聖心がもつ多様性は、皆さんを大きく育んでいくことでしょう。狭い世界に留まらず、聖心の生徒としてのつながりを信じながら、お互いのために祈り合いましょう。
 どうぞ、しっかりと学習にも取り組んでください。急に課題学習・オンライン学習となり、戸惑うこと、スムーズにいかないこともあるかもしれませんが、先生方も一生懸命考えて動いています。ご一緒に、新しい学びの形を創り上げて参りましょう。
      
カトリックの精神に根ざした全人教育
 不二聖心女子学院では、カトリックの精神に基づき、「魂」「知性」「実行力」の各領域をバランスよく育み、「社会に貢献する賢明な女性」として成長していくよう準備します。学院では、毎年、一つの領域に焦点をあて、6年間でスパイラルに深めていきます。本年度は、「実行力を養う」を意識する年で、学院目標としては“Let Peace Begin With Me”を掲げることといたしました。

⑴世界の現実の中で
 いつもは、全校生が集った聖堂で始業式を行い学院目標についてお話するのですが、残念なことに、本年度は動画でお伝えする形となりました。世界の現実に目を向けてみると、たとえば、UNICEF(国連児童基金)は、世界の人口の40%(30億人)が水と石鹸で手を洗える環境にない家で生活し、世界の学校の47%にそのような設備がなく、世界の医療施設の16%は機能的なトイレや手洗い場所が備えられていないと報告しています。
 皆さんと同年代の多くの子ども達が、コロナウイルスの脅威の中にあって手洗いすらできない状態に置かれているということです。
 このような見えない世界の現実は、私たちに何を語るのでしょうか?

⑵祈りと生活との統合を意識して
 よくみると、社会の課題は、私たちの日常生活における態度や選択、人やものとのかかわりと根底でつながっていることに気づかされます。たとえばコロナウイルスに関してアジアの人々に対する偏見が取り沙汰されることがあります。私たち自身も、日々の生活の中で、根拠を確かめることなく、他の人々を決めつけたり、偏った見方をしてしまうことがあるのではないでしょうか。
 聖書は、「言葉や口先だけではなく、行いと真実をもって愛し合いましょう」(ヨハネの手紙Ⅰ3:18)と呼びかけます。けれども、祈りや思いが、実際の生活の中に統合されていくのはたやすいことではありません。創立者聖マグダレナ・ソフィアのお言葉によるなら、「洋服を着替えるように自分を変えることはできません」が、「神様からの恵みに信頼しながら、長い時間をかけて、自ら努力し続けることが必要なのです」。

⑶創基100年の恵みの中で
 本年度は、1920年に岩下家によって温情舎(学院の前身)が創立されてから100年目の記念の年です。初代校長の岩下壮一神父様はカトリックを代表する最初の思想家と言われた方ですが、キリストに倣い、あえて最も社会から疎外されていた方々のために生涯を捧げられました。 
 温情舎を創立した神父様のお父様 岩下清周の中には、女子教育への展望もあったと言われます。その後、人知を超えた神の計らいの中で、娘亀代子を通して、温情舎は不二農園とともに聖心に移管されました。以後、温情舎の精神は不二聖心女子学院の教育の中に受け継がれ、特に全校生が属する「温情の会」の活動の中に息づいています。
 創基100年の歴史に目を向けると、岩下家の人々、マザーエリザベス・ダフをはじめとするミッショナーの修道女たち、恩人、そして教育の実りである卒業生などの中に、平和のために具体的に働いた多くの先人たちの姿が見えてきます。

今年は、学院の歴史に思いを馳せつつ、一人ひとりが、“Let Peace Begin With Me”に取り組んでまいりましょう。今から聴いていただく歌が、私たちの決意を支えてくれることでしょう。

Let there be peace on earth and let it begin with me.  
Let there be peace on earth, the peace that was meant to be.   
With God Our Creator, family all are we.
Let us walk with each other in perfect harmony. 
Let peace begin with me, let this be the moment now.
With every step I take, let this be my solemn vow.
To take each moment and live each moment in peace eternally.
Let there be peace on earth and let it begin with me.  
 (Jill Jackson-Miller , Sy Miller ) 
リンクはこちら

コロナショックのただ中にあって、私たちには、今、一人ひとりの意識と行動の変容が求められています。世界には連帯や共感の動きがある一方で、コロナヘイトや自国第一主義等も見られます。お一人おひとりの言動が周囲に及ぼす影響を考え、頭と心を使って、賢明に生活するようになさってください。
 修道院では、毎日、大切な皆さんのために、ごミサや祈りが捧げられています。
あなた方の「心と体の健康」を祈り、一日も早く、お会いできるようにと願う教職員、そしてシスター方の思いをお伝えして始業のメッセージといたします。
~あなたの行いは、言葉以上に、強い影響を与えていくでしょう~
マグダレナ・ソフィア・バラ

2020年4月 始業メッセージ(動画)より      
校長 シスター大原 眞実
動画で流した時に使用したスライドはこちら

2020.04.01

教皇様の祈りに応えて

世界中に新型コロナウイルス感染症が広がる中、3月27日18時(日本時間28日午前2時)、フランシスコ教皇は、バチカンンのサンピエトロ広場で、ウルビ・エト・オルビの祝福の祈り(ラテン語で「ローマと世界へ」の意)を捧げられました。通常は、多くの人々を前に、クリスマスとイースター(復活祭)に行われるものですが、今回は、雨の中、無人の広場で行われました。

教皇様からの一致と連帯を求める呼びかけに心を合わせ、修道院や学院でも、パンデミックの収束と、今はご家庭の保護のもとにある生徒たちのために祈りが捧げられています。
 
 

2020.03.02

臨時休校

 新型コロナウイルス感染症対策のため、臨時休校に入りました。

高校の卒業式は、2月に終えていましたが、3月18日に予定されていた中学校の卒業式は、挙行できなくなりました。涙を流して臨時休校に入っていった中学3年生の方々の姿が目に浮かんでまいります。3月18日朝の修道院のごミサは、特別に、彼女たちのために捧げられることになりました。
生徒たち、また4月の入学を楽しみに待っていてくださる新入生の方々を思いつつ、早くこの状況が収束するようにと祈る日々です。

2020.02.01

2月1日 緒方貞子さんの言葉と聖心

  聖心グローバルプラザで、昨年10月22日ご帰天された緒方貞子さんの追悼展「緒方貞子さんの言葉と聖心」が開かれています。展示の中に、『みこころ会100年の歩み』の中から、次のような言葉が引用されていました。

 今、あなたの隣にいる人のためにできることをやる、という努力を積み重ねる、そして世界の多様性を学び、経験することが大切です。
 緒方さんの生き方は、生徒たちに、今も大きな影響を与え続けています。世界の多様性を学び経験する機会に恵まれている生徒たちが、身近な場で出会う人とのかかわりを大切にしながら、その学びを世界のよりよい未来の構築につなげていってくれることを願ってやみません。間もなく卒業を迎える高校3年生の中に、その思いは確かに息づいています。

2020.01.07

1月7日

 新年、おめでとうございます。

生徒たちが戻ってきた学院には、のびやかな歓声が響いています。
聖堂で行われた新年の集まりにあたり、マザースチュアート(聖心会第6代総長)の以下のお言葉を引用しました。生徒たちが、今日も自分の人生のストーリーをしっかりと書き記していくことができますように。

Day by day we write the story of our lives; no day in our life is without influence on the last, for ourselves as well as others.
Janet Stuart

入試の時期に入り、新しい妹たちとの出会いを、生徒ともども心待ちにしております。


2019.12.04

12月3日

  聖心グローバルプラザで開催されている「女性と社会的弱者にとっての気候変動」の展示を見てきました。これは、2019年4月~2021年3月まで「気候変動」をテーマに開催されるシリーズの第2弾です。一部に姉妹校のコーナーもあり、以下の写真のように不二聖心女子学院の取り組みも紹介されています。

 11月23日には、大阪で、「持続可能な世界を目指して -いま、キリスト教学校ができることー」をテーマに、第17回キリスト教学校教育懇談会開催され(カトリック・プロテスタントの学校連合会が共同で開催)、カトリック校を代表して本学院の「21万坪の自然を生かした環境教育の試み」を発表する機会をいただきました。豊かな自然を戴く学院としての使命を再認識いたしました。

 フランシスコ教皇が『回勅 ラウダート・シ』の中で提唱されている“インテグラル・エコロジー”への理解を深めつつ、私たちが共に暮らす家である地球の未来について考えていきたいと願っています。

2019.11.01

秋のつどい

秋の彩に包まれる不二聖心女子学院「秋のつどい」に、ようこそおいでくださいました。今年のテーマは「色想環」――、自然がそうであるように、生徒たちもそれぞれの個性やタレントを生かし、互いにチャレンジしあいながら、全体としての調和を創り出すよう努めてまいりました。

本年度は、学院目標を「知性を磨く~Design Your Future」とし、折にふれ、聖心会第6代総長マザージャネット・スチュアートのお言葉にも耳を傾けております。秋のつどいにあたっては、次のような言葉を生徒たちに贈りました。

The higher we want to fly, the greater the risk, but that is the glorious part of it. The great uncertainties in which we trust God, the breathless risks we run, with no assurance but our great trust in God, that seems to me to be of the essence of our life and its beauty. This will grow upon you; you will get your balance in the risk and get to love it.
                                    Janet Erskine Stuart

失敗を恐れず、自らの可能性にチャレンジしながら準備を進めてきた生徒たちの知性の輝きに、眼をとめていただけたら幸いです。
近年、県外からの入学希望者増加と共に寄宿生が増加傾向にあり、寄宿舎セント・マドレーヌは寝室・学習棟、食堂棟等の増築工事の只中にあります。その関係で、奨学会、母の会、そしてドゥシェーン会の皆様等に、ご使用場所の変更・縮小等をお願いせざるをえませんでした。また、例年、秋のつどいの機会に、聖心会霊園・岩下家墓所への墓参や、十字架の道行をされている方々にも、ご不便をおかけすることとなりましたことをお詫び申し上げます。来年の秋のつどいには、寄宿舎の中庭に建つ新たな食堂棟に、皆様をお迎えできることと存じます。
 ご来校されたすべての皆様と、皆様につながる方々の上に、神様の祝福が豊かにありますよう心よりお祈り申し上げます。