校長室から

2020.08.17

Saint Madeleine Sophie and the Children of the World.

  聖心会のウェブサイトに、「聖マグダレナ・ソフィアと世界の子どもたち」を表現したステンドグラスに関する記事が掲載されています。中には、着物姿の少女も見えます。北アイルランドの聖心の小学校(Mount St Catherine’s Primary School)からの記事です。同じ敷地内に、St Catherine's Collegeという日本の中学・高校にあたる学校もあります。

英国とアイルランドの間には、北アイルランドの領有権等をめぐる長い対立の歴史があります。北アイルランドは今も英国の一部ですが、聖心会の地域区分においてはアイルランド管区に属しています。

セント・キャサリンズ・カレッジには、英国の聖心の学校との間で、生徒の相互交流に根差した和解に向けてのプログラムがあったと記憶しています。そのような学校にこのステンドグラスが置かれる意味と、「子どもたちを通してこの世界に神の聖心の愛が花開くように」と願われた創立者の思いを味わっています。

2020.08.14

平和を希求して

 聖心会霊園と岩下家墓所との間に、大きな十字架がひっそりと立っています。元々は東京の聖心女子学院にあったものです。1945(昭和20)年の東京大空襲は、東京聖心の校舎にも大きな被害をもたらしました。本館を焼失させた火は、聖堂に燃え移るかと思われたのですが、鉄扉にはばまれ、その壁面にかかっていた十字架の前で止まったと聞いています。

 十字架の木の部分はぼろぼろに焦げていたそうで、その後、修復されたものが、今、ここに立てられています。不二聖心のキャンパス(当時はまだ岩下家の所有で、不二農園・温情舎と呼ばれた時代)は戦禍を免れ、疎開者を受け入れたような場所ですが、戦争や平和を考えることにつながるものがあちらこちらに残されています。

 教皇フランシスコは、原爆投下から75年目を迎えた広島・長崎へのメッセージの中で、昨年の来日でのご経験をもとに、「わたくしは、平和を強く希求し、平和のために自らを捧げようとする、今日の人々、特に若い人々の熱望を、今も心にとどめ続けています」と述べられました。不二聖心で学ぶ生徒たちの中にも、その情熱は培われています。

 

 

2020.08.06

Generosity

 本年度、初めて、グループとしてお客様をお迎えした自然体験ツアーが無事に終了いたしました。直前まで、気候温暖な土地らしからぬ大雨が降り、思いもよらぬ影響が校内外に出ました。直前まで、それぞれの場で、担当であるなしにかかわらず、学院を愛する多くの教職員の手が入り、ようやく開催にこぎつけられました。修道院のシスター方も支えてくださいました。

 そのような準備のさなか、私はうっかりあるものを失くしてしまいました。最後に、アーカイブ室で見つかったのですが、そこに至るまでの間、多大なる時間と労力を先生方におかけしました。コロナ対応もあって、例年以上に忙しくしている夏だけに、大変、申し訳なく思いました。

創立者マグダレナ・ソフィアが大切にされていた態度にGenerosityというものがあります。日本語で「物惜しみしない心」と訳されることが多いですが、キリストのみこころの寛大さに倣うように、との意味が根底にはあると思います。時代は変わっても、学院の中に流れ続ける他者のために時間や労力を物惜しみなく使う精神を感じつつ、ポスト・コロナのただ中にあって、共に前に向かって進む力をいただいたように感じています。

2020.08.03

心に刻まれた思い

 夏休み自然体験ツアーが始まりました。ボランテイアに来てくれている生徒たちの中には、中学1年生もいるのですが、一生懸命、キャンパスの自然や、学院について説明しています。「初熱心」とでもいうのでしょうか、何度も参加している上級生とはまた違った感動が、先生方にはあるようです。
 入学前に自分が受けたもの、心惹かれているものは、誰に教えられなくても自然に身についていくという面があるのかもしれません。

心に深く刻み込まれるさまざまな思いというものは、
特に長い伝統に育まれた子どもたちにとって顕著なもので、
その学校の歴史、伝統の気風、
そしてその学校独自の教育目標と関連しています。
(聖心会 第6第総長Janet E. Stuart)

 夏休みの学院には、個別見学で来校される方々も多いです。それぞれの方が、ご自分の心に響く学校、成長につながる学校と出会われるようにと願っております。

2020.07.17

Learning Never Stops―夏休みを迎えるにあたって

今日が、夏休み前、最後の登校日となりました。4月よりオンライン授業、5月以降の分散登校も、ハイブリッド授業(対面授業とオンライン授業を併用した)を実施してきたことにより、例年通りの時期に夏休みを迎えることができました。

オンライン学習の環境作りや、自家用車での送迎、除菌用品等のご寄付等、多方面からご協力くださっている保護者の方々の存在あってのことと感謝申し上げます。そして、修道院のシスター方の祈りや支え、何より神様の守りがあって、この日を無事に迎えることができました。

生徒たちには、このような状況を当然と思わず、世界の子供たちが直面する教育の現状を知り、考え、学びを深めていってほしいと伝えました。様々な制約の中にあっても、 ”Let Peace Begin With Me“(本年度の学院目標)を忘れずに生活してくれるものと期待しています。

https://en.unesco.org/covid19/educationresponse

2020.07.07

聖心の子供として

先週、中1の宗教の授業で、創立者マグダレナ・ソフィア・バラが仰られた「聖心の子供の使命」について考えました。その時、一つのロールモデルとして紹介したメアリー・ロビンソンに関する記事がVOGUE JAPANに掲載されました。今回の記事は、気候変動に関する彼女のメッセージをもとに書かれています。
https://www.vogue.co.jp/change/article/innovative-senior-mary-robinson

この方は、アイルランドの首都ダブリンにあるMount Anvilleの聖心の卒業生です。アイルランド初の女性大統領で、「史上最も成功した大統領」と呼ばれる彼女は、その後、国連人権高等弁務官等を経て、今も「世界の一員としての連帯感と使命感を持ってより良い社会を築くことに貢献する賢明な女性」(「教育理念」より)として世界に発信し続けています。

不二聖心の生徒達は、広大で美しい自然に囲まれたキャンパスから、多くの恵みを受けています。このような場で育った生徒としての使命を考えながら、パンデミックと環境問題との関連についても深めていってほしいと願っています。 

2020.07.01

変化を受け入れる勇気

 フランシスコ教皇は、2020年5月24日から来年2021年5月24日までを回勅「ラウダート・シ」をめぐる特別年とされ、同回勅の考察と共に、私たち人類の「共通の家」である地球と、最も弱い立場にある人々への保護を呼びかけられています。特別年のために作られた「地球と人類のための共通の祈り」には、コロナウイルスに関する次のような箇所があります。

世界規模のこのパンデミックの影響に立ち向かう中、
わたしたちが創造的な連帯を示せるようお助けください。
共通善の追求に向かって、
変化を受け入れる勇気をわたしたちにお与えください。
今まさに、わたしたちは、皆が相互につながり、
相互に依存していることを感じています。
地球と貧しい人々の叫びに、
わたしたちが耳を傾けることができるようにしてください。
この現在の苦しみが、
より兄弟愛に満ち、持続可能な世界を築くための
産みの苦しみでありますように。

7月初旬には、アジア・オセアニア地区の聖心の学校のバーチャル会議が予定されています。「変化を受け入れる勇気」をもって教皇様の呼びかけに応えていけますように。


VATICAN NEWSより

2020.06.17

Silent Walk

 地域ごとの分散登校の中、全学年対象にハイブリッド型の授業(オンライン授業と対面授業の併用)が行われています。中学1年生の宗教の授業では、先週・今週の2回にわたり、対面授業の方々を対象に、「サイレント・ウォーク」に出掛けました。文字通り「沈黙」で、キャンパス内の宗教的な場所を巡礼するものです。梅雨とは思えない青空、心地よいそよ風もが吹いていて、日陰の道はとても涼しいです。

 今回は、2つのルルドの岩屋、聖心会の墓地、元々は東京聖心にあった十字架、岩下家墓所、そして1番目・2番目の通学路の説明等をいたしました。

 聖心会墓地では、中央にあるマザーメアリー・シェルドンの墓碑を、帰国生の方が綺麗な発音で読んでくださいました。今年、入学した全ての生徒たちを、天国からシスター方が見守っていてくださることを信じ、皆で祈りました。

2020.06.01

自然との調和

  学院に生徒たちが戻り始めました。21万坪の敷地ゆえ、全校生が自家用車で登校しても十分なスペースがあることも幸いし、多くの生徒たちが保護者の送迎により登下校いたしました。

 「外を歩きたい」という生徒たちのリクエストに応え、ロングホームルームの時間等に、担任の先生方が連れ歩く姿も見えました。キャンパスの美しい自然を、生徒たちに見せたいと願っておりましたので、大変うれしい光景でした。

 本学院の歴史の中で、自然との調和は、常に大切にされてきました。現在、学院にみられる生物の豊かさは、そのような歴史が紡いできたものです。不二農園があったこともあり、環境教育の重要性が説かれる前から、学院では自然は教育の重要なテーマでした。

調和のシンボルとしての「共生の森」、そして学院を包む「聖心の森」や里山の自然の中で、生徒たちは、気候変動教育、生物多様性等について学び、国内外で発信していきます。

新型コロナの問題においても、自然との調和の重要性が取り沙汰される今、不二聖心ならではの「不二(二つとない)」環境教育を強めていきたいと願っています。

(コロナウイルス 自然からのメッセージ(国連広報センター)

2020.05.22

マリア様の月に

5月は、聖母マリアに捧げられた月です。毎年、高校生はマリアン・スクエアで、中学生はマリア・ガーデンで、マリア様に祈りを捧げ、生花で作った冠を用意して、戴冠式を行います。冠を捧げる役目は、新入生に託されます。

本年度は、オンライン(動画)での開催となり、先生方によって冠が捧げられました。朝礼後も、花の冠を戴いたマリア様が見たいと言った高校3年生のために、パソコンを運んで見せてあげました、喜んでくれました、とある先生が話してくださいました。当然のことであった日常がそうではなくなったことを改めて感じました。そして、今年が学院での最後の年にあたる最上級生の方々を、ご一緒にフランスを旅した日と共に思い出し、祈りました。学院に戻ったら、聖母のような優しさで、下級生を導いてくださることでしょう。

もちろん、他の学年の皆さんのためにも、修道院に特別な祈りをお願いいたしました。写真は、生徒たちがたくましく健やかに成長していくよう願い、シスター方が植えてくださったお花です。