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フィールド日記

2016年07月

2016.07.28

コオニユリ  カブトムシ

今年も、すすき野原の緑にコオニユリの花のオレンジが映える季節となりました。コオニユリは、東京都では絶滅危惧Ⅰ類に、千葉県・石川県で絶滅危惧Ⅱ類に、埼玉県・栃木県では準絶滅危惧種に指定されています。


不二聖心内の農園では茶草場農法が取り入れられていて、すすき野原のすすきは茶畑の肥料に使われています。すすき野原が管理されていることでコオニユリなどの希少種が守られています。すすき野原の周辺にあるクヌギはかつては製茶工場の燃料の炭を作るために育てられていました。そのクヌギの樹液を求めて、今日はカブトムシがやってきていました。


今日のことば

コオニユリが存在するためには、送粉者のキアゲハを育てるセリ科植物がなくてはならない。
そのセリ科植物の受粉にはハナアブやハエ類が必要である。
それらの双翅目の昆虫はクマやキツネの糞から発生する。
このように、自然は一つのセットとなって存在しなければ、本来の姿を保つことができないのである。
田中肇
 

2016.07.19

アブラゼミの羽化

 7月14日の夏休み子供自然体験教室生徒スタッフのリハーサルに参加できなかった生徒たちとコースの下見を放課後しました。
その際に「共生の森」の朴の木の葉裏でアブラゼミが羽化している様子を観察することができました。あのアブラゼミが羽化の時には澄んだ緑色をしていることに驚きます。通常羽化は外敵の少ない早朝や深夜に行われますので、日中に羽化が見られたのは幸運なことでした。



今日のことば

獅子唐の中の青虫食べたかも「ああ蛋白質ね」と軽く云う医師   吉田早苗

2016.07.18

7月の野鳥の調査

 日本野鳥の会の滝道雄先生と7月の不二聖心の野鳥の生息状況の調査を行いました。

今日、最も感動したのは、不二聖心の敷地内の標高最高地点でキビタキの鳴き声を確認できたことです。いつ聞いてもため息がでるような高音の澄んだ美しい声です。
森の中にかけたキビタキ用の巣箱には残念ながらキビタキは営巣しませんでしたが、不二聖心内のどこかで営巣していることは間違いないようです。次の画像はキビタキ用の巣箱です。
今日の確認できた鳥は以下の通りです。
1 ツバメ 4羽
2 ガビチョウ 1羽
3 ハクセキレイ 4羽
4 コジュケイ 1羽
5 ヒヨドリ 16羽
6 ホオジロ 3羽
7 ウグイス 10羽
8 ハシブトガラス 5羽
9 メジロ 3羽
10 キビタキ 1羽
11 コゲラ 1羽
12 スズメ 1羽
13 キセキレイ1羽
14 カワラヒワ 2羽
15 シジュウカラ 1羽
夏は野鳥の少ない季節ですが、思いのほか、多くの野鳥と出会うことができました。

今日のことば

暮れなづむ赤城山道歩をとめてあかはらを聴ききびたきを聴く  川村多実二

2016.07.14

オオバノトンボソウ

 あるシスターがオオバノトンボソウを見つけてくださいました。ここ数年、不二聖心では確認できていなかった希少種です。東京都はオオバノトンボソウを絶滅危惧Ⅰ類に指定しています。オオバノトンボソウはラン科に属する植物であり、周囲の環境との結びつきが極めて強い植物です。よく見ると、空を飛ぶトンボのようなユニークな姿をしています。


今日のことば

なにもかも失ってもこの空がある
空は母だ
どんなに甘えてもいい 空になら

谷川俊太郎

2016.07.10

コハクオナジマイマイ

 枯れ茎の先にとまるコハクオナジマイマイの幼体を見つけました。コハクオナジマイマイは、もともとは九州に生息する、南方性の陸生貝類でしたが、今は不二聖心で普通に見られます。幼体の存在は繁殖が行われていることを示しているでしょう。例年になく暑い7月を過ごしていると、コハクオナジマイマイの北上と地球温暖化をどうしても結び付けたくなってしまいます。


今日のことば

すべて
もののすえはいい、
竹にしろ
けやきにしろ
そのすえが 空にきえるあたり
ひどくしずかだ

八木重吉

2016.07.09

夏休み子供自然体験教室のコースの下見  キマダラカミキリ  ウスバキトンボ

 7月8日に夏休み子供自然体験教室のコースの下見を生徒スタッフと行いました。予期せぬ出会いに恵まれた下見でした。
中学2年生が見つけたノコギリクワガタです。原因はよくわかりませんが、不二聖心で見られるノコギリクワガタの個体数はこの20年でかなり減少しました。久しぶりの出会いです。


次は高校1年生が見つけたキマダラカミキリです。ビロード状の翅の光沢が特徴的なカミキリムシです。一行を出迎えるかのように樹上から落下してきました。


キマダラカミキリを観察する生徒スタッフたちです。

枯れ葉や枯れ枝に同化するキマダラカミキリの見事な擬態に驚いていました。


何と言っても圧巻はウスバキトンボの群舞でした。百近いウスバキトンボが空を舞う姿に生徒スタッフは感嘆の声を挙げていました。
次の画像は翅を休めるウスバキトンボです。


今日のことば

テレビで夏の甲子園を見ていると、画面の片隅にチラチラとトンボの姿が映し出される。トンボの番組ではないのでピントぴったりとはいかないが、トンボを知る人ならウスバキトンボとわかるだろう。ボントンボ、ショウリョウトンボなど、お盆にちなんだ別名が各地に残っている。お盆の頃によく目に付くことに加えて、漂うような独特の飛翔ぶりにもよるのだろう。赤道を中心とした広い地域に分布する、唯一の世界共通種でもある。実はこのトンボ、海洋渡来の習性をもっていて、沖縄などの南の暖かい地方で越冬したものが、春に日本本土まではるばる飛んでくるのだ。                            杉村光俊

2016.07.03

ニイニイゼミの抜け殻

 ニイニイゼミの抜け殻を二つ、確認しました。確実に羽化が進んでいるようです。関西ではクマゼミの羽化が例年より早いという話を聞きました。それぞれの蝉の羽化の時期を記録することも重要な環境指標になりそうです。ちなみに、芭蕉の「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」の蝉はニイニイゼミだと言われています。


今日のことば

岩に爪たてて空蝉泥まみれ   西東三鬼

2016.07.02

母鹿と子鹿

 母鹿が子鹿に母乳を与えていました。撮影したのは18時過ぎ、ちょうど空腹をおぼえる頃なのかもしれません。

今日のことば

子が食べて母が見ているかき氷     森澄雄