フィールド日記
2014.08.31
アオツヅラフジと万葉集
裏道に生えているツル性の植物、アオツヅラフジがたくさんの実をつけています。万葉集には「つづら」の名でアオツヅラフジが詠まれている歌が収められています。その一首を引用してみましょう。
駿河の海磯辺(おしべ)に生ふる浜つづら汝(いまし)をたのみ母に違ひぬ
(駿河の海の磯辺に生えている浜のアオツヅラフジのように、あなたを頼りにして母の心にそむいて他の人には嫁がずにいます。)
ツルを使って他の植物にすがるようにからみつくアオツヅラフジに、男を頼りにしている自分をなぞらえている歌です。「駿河」という歌枕から、1000年以上前から静岡県にアオツヅラフジが生えていたことがわかります。
アオツヅラフジの種はアンモナイトのような形をしています。
今日のことば
らせんの美しさを競うとき、アンモナイトの右にでるものはない。それは優雅ならせんに沿って放射状に配置される連続した節の造形の精密さによる。アンモナイトは殻を化石として残したが、その柔らかい身体は完全に失われ、今となってはどんな姿をしていたのか、誰も知ることはできない。 福岡伸一