フィールド日記
2013.07.17
「共生の森」の植樹 ヒグラシの羽化の失敗を真剣に見つめる生徒たち
2013.07.17 Wednesday
今日は高校1年松組が「共生の森」で植樹をしました。NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々の指導のもと、今日だけで約20本の木を植えました。木を植える過程では、さまざまな生き物との出会いもありました。3枚目の写真の生徒たちが真剣なまなざしを向けているのは、羽化に失敗したヒグラシです。「共生の森」はこれからも自然界のいろいろな姿を私たちに見せてくれるでしよう。
今日のことば
木下氏のことは、昨夜ディミィトリスに話してあった。そのときからこのことを考えていたのだろうか。何といい奴なのだろう。
――有り難う、本当に有り難う。この醤油ほど、日本人の心を取り戻させてくれるものはないんだ。それにも増して、彼にとって異国人である君の思いやりが、彼をどれだけ励ますことか。
私(村田)は感激のあまり口ごもった。ディミィトリスは照れくさそうに微笑んだ後、
――こんな事は何でもないことだ。「私は人間だ。およそ人間の関わることで、私に無縁なことは一つもない」。
と、呟いた。いつものことながら、ディミィトリスの呟きは実に含蓄に富んでいる。そのことを言うと、彼は、
――いや、これは私の言葉ではない。
と断り、
――テレンティウスという古代ローマの劇作家の作品に出てくる言葉なのだ。セネカがこれを引用してこう言っている。「我々は、自然の命ずる声に従って、助けの必要な者に手を差し出そうではないか。この一句を常に心に刻み、声に出そうではないか。『私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない』と」。
『村田エフェンディ滞土録』(梨木香歩)より