フィールド日記
2013.07.29
キンモウアナバチの狩り
2013.07.28 Sunday
いよいよ「夏休み子供自然体験教室」まで1週間を切りました。今日は観察コースの様子を確認しました。驚いたのは牧草地が獣に荒らされていたことです。おそらくイノシシの仕業でしょう。
そこにキンモウアナバチが巣を作っていました。芝がはがされたことで穴が掘りやすくなったものと思われます。
ちょうどキンモウアナバチがクダマキモドキの幼虫を抱えて穴の中に入る場面に出くわしました。キンモウアナバチはクロアナバチの仲間です。クダマキモドキはツユムシの仲間です。クロアナバチはツユムシを狩ります。以上の事実からキンモウアナバチとクロアナバチは「食い分け」をしているのではないかという説があります。もしそうだとしたら、これは驚くべきことです。
今日のことば
七月下旬、郊外の林に夜出かけた。毎年この頃から時々夜の林を歩くことにしている。午後八時、目の高さでアブラゼミが羽化しているのに出逢った。なかなか観られないシーンだが、この時期をねらえば案外チャンスはある。いつ見ても不思議なドラマだが、個体による違いがないので、少年の日の思い出がこの蝉の羽化を介してよみがえってくる。幼虫は五年、孤独な地下生活を送り、やっとこの日を迎えるが、蝉になってせいぜい半月ぐらいで死んでしまう。
卵で約九か月、幼虫が五年。人間ならアブラゼミは小学一年生だ。果樹の害虫だし、うるさいノイズだと非難されてもいるが、この羽化を見るたびに生きようとするけなげさにうたれ、むしろ尊敬に似た気持ちに包まれてしまう。
『昆虫ノート』(矢島稔)より