フィールド日記
2013.06.12
コンボウアメバチ 静岡県で4例目の採集記録
2013.06.12 Wednesday
6月10日に平本政隆教諭によって校内で採集されたハチはコンボウアメバチという、ヒメバチの仲間に属するハチであることがわかりました。蛾の幼虫に寄生するかなり大型の寄生蜂です。静岡県では4例目の採集記録となります。
今日のことば
ヒメバチ科は寄生蜂の中でも最も種数の多いグループで,国内からは1507種が報告されている(渡辺,2011c).主に鱗翅目や鞘翅目昆虫の幼虫や蛹に寄生し,重要な天敵昆虫として知られる種も少なくない.国内のファウナ報告は断片的であり,十分に報告されている県はほとんどない.
静岡県のヒメバチについてのまとまった記録は驚くほど少なく,わずかに池田(1976)による17種の報告があるのみである.ヒメバチの研究者が使用した標本も他県に比べ少なく,県レベルでみて,静岡県はまさに分布の空白地帯といえる.
静岡県は茶や蜜柑の栽培が盛んであり,杉林や竹林も多く,これらに関連する害虫の天敵を考える際に,その地域のヒメバチ相を整理しておくことは,大変意味のあることである.また,県内には環境の良い森林がいくつも残されており,いくらかの南方系の昆虫の分布北限になっていることからも,国内におけるヒメバチの分布を考える上でも重要な地域であるといえる.
『静岡県産ヒメバチ目録』(渡辺恭平・蒔苗博道)より