フィールド日記
2013.04.14
不二聖心に寄贈された富士桜
2013.04.14 Sunday
富士桜の研究者である渡辺健二さんから、不二聖心の「共生の森」に植えてほしいと、富士桜を何種か寄贈していただきました。富士桜は、いわゆるフォッサマグナ要素の植物で、富士山・箱根・丹沢・伊豆を中心とした地域にのみ自生すると言われる植物です。「不二」の名をいただく不二聖心にとってたいへん貴重な桜をいただき感謝しています。九十六歳になられる渡辺さんの、富士桜に寄せる思いにも深く感動しました。
苗木はいずれも盆栽仕立ての小さなものですが、渡辺さんの考案した方法により挿し木で増やしたものだそうで、既に樹齢は5年ほど経っているとお聞きしました。「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という言葉がありますが、富士桜は切っても大丈夫であることが、苗木を見ていると実感としてわかります。
3枚の画像は、それぞれ種類の異なる富士桜を写していますが、3枚目はリョクガクザクラと言って萼が緑色であるところに特徴があります。ソメイヨシノの赤い萼を見慣れた目には非常に新鮮に映ります。
今日のことば
富士桜は、学名Prunus incisa.Tunb.で、標準和名はマメザクラであるが、富士桜と通称されている。
その分布は、富士山と四囲の山々(愛鷹、天子、三坂、丹沢、箱根山系)や、伊豆半島、三浦半島、千葉県の清澄山などで、フォッサマグナ(大地溝帯)の特産植物である。
文字通り富士山やその火山帯の特産であり、標準名が富士桜でないのは惜しみて余りあると思う。富士山と桜は共に日本の象徴であり、その二つを併せた「富士桜」は日本産植物名の中の最高の名称ではないだろうか。園芸愛好者や盆栽界では、もっぱら富士桜の名が愛用されている。別名は乙女桜、箱根桜、山桜などで、やはり富士桜が最良である。
渡辺健二