フィールド日記
2013.04.21
アカガネサルハムシと構造色
2013.04.21 Sunday
「共生の森」のブルーベリーの葉にアカガネサルハムシがとまっていました。人によっては「虹色のハムシ」と呼ぶくらい美しい色をしたハムシです。もちろん意図して美しく装っているわけではありません。この色はいわゆる構造色(structural color)で、キラキラする輝きを嫌う鳥から構造色によって身を守っていると考えられています。翅の表面を拡大すると複雑な構造を持つことがよくわかります。
4月16日には栗の葉にとまるアカガネサルハムシを見つけました。葡萄の害虫として知られるアカガネサルハムシですが、「共生の森」のアカガネサルハムシは食べ物の好みが少し違うようです。あるいは、かつて「共生の森」が葡萄園であったころの子孫が仕方なく他の植物を食しているのかもしれません。
今日のことば
タマムシの羽は、微細なナノ構造をしていて、光をさまざまに反射したり、散乱させたりする。そのため、見る角度によって反射される光の波長が異なり、特定の光が重なって強調される。このしくみによって、さまざまな色に見えるのである。
タマムシが、このような不思議な構造色をしているのには理由がある。
鳥よけに、いらなくなったCDを吊り下げている光景をよく見かけるが、これは、鳥がキラキラした金属色におびえる性質があるため、鳥よけに利用しているのである。
じつはCDの裏面がキラキラと虹色に輝くのも、タマムシの羽と同じしくみである。CDの裏面は、細い溝が無数に並んでいる。そのため、光がさまざまに反射してキラキラと複雑に輝くのである。
タマムシもキラキラと輝く羽で、鳥から身を守っている。コガネムシの仲間はピカピカの宝石のような色をしたものや、金属色をしたものが多いのも、同じように鳥から身を守るために、タマムシと同じ羽の構造を持っているためである。また、コガネムシの場合はピカピカの体がまわりの風景を映しこんで保護色になる効果も知られている。
稲垣栄洋