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フィールド日記

2013.02.02

『大草原の小さな家』の作者は本当にポポーを見たのか



2013.02.02 Saturday

今日の「天声人語」は、「寒のゆるみ」という言葉で始まっていましたが、その言葉がふさわしい暖かい一日となりました。静岡市では21.7度の最高気温を記録し、全国的にも3月中旬から5月上旬の気候であったということです。この暖かさのためか、イスノフシアブラムシから寄生蜂のツヤコバチが2匹羽化しました。ここのところ続けて羽化が確認されており、ツヤコバチがイスノフシアブラムシの体を越冬場所として利用している可能性が高まってきました。寄主特異性についての研究が進めば、アブラムシの生物農薬としての利用も可能になるかもしれません。
さて、1月28日の「不二聖心のフィールド日記」で、不二聖心のお茶畑の生えているポポー(写真参照。2011年10月に撮影したものです。)がローラ・インガルス・ワイルダーの『わが家への道』に登場することに驚いたと書きました。「小さな木になった見るからに甘く熟れた、わたしの知らない果物など、とにかく、野生の果物が、たわわに実っているのだ。」という一節に「野生の柿とポポー(北米温帯地方産の果樹)」という注がついていたのです。ここで疑問に思うことは、なぜ「わたしの知らない果物」とだけしか書かれていないのに、「野生の柿とポポー」と限定できるのかということでした。その疑問を解消するためには、原文にあたるしかないと思っていしまたが、今日、その原文を確認することができました。原文は次のようになっていました。

 luscious-looking fruits ripening in little trees that I don’t know※ , a lavishness of fruit growing wild.
※ These were wild persimmons and pawpaws.

 注は翻訳時につけられたものではなく、原書にもついていたのです。ポポーは北アメリカの植物相を考える上で大切な植物でもありますので、もう少し調べを進めてみたいと思います。

 


今日のことば

「小さな家シリーズ」は、家族の物語であり、したがって主人公はローラだけではない。とうさん、かあさん、メアリ、キャリー、グレイス、そして、アルマンゾ、ローズ、それぞれが実際に生きていた人たちであり、だれ一人として欠けてはならないほど個性的なキャラクターである。ローラは自分の家族を自慢の財産だと誇りにし、家族との思い出を「消えてしまうのはもったいないほどすばらしい」と思って、この物語を書いた。開拓時代の歴史は決して楽ではなかったはずだが、ローラの筆にかかると、冬の吹雪も、こわい狼のほえ声も、じめじめした土の家も、すべてが冒険の対象になる。ローラは生きることを楽しむ達人であり、それは終生変わらなかった。
「『大草原の小さな家』の世界について」(谷口由美子)より