フィールド日記
2013.01.22
鳥がついばんだサネカズラの実 ニッケイハミャクイボフシ
2013.01.22 Tuesday
百人一首の「名にしおはば逢坂山のさねかづら人にしられで来るよしもがな」の歌で知られるサネカズラの実が裏道に落ちていました。近くにサネカズラの木は見あたりませんので、どこからか鳥が運んできたのかもしれません。鳥がついばんだようなあとも確認できます。
2枚目は、裏道に生えていたヤブニッケイの葉の写真です。葉上にニッケイハミャクイボフシという虫こぶを確認することができました。不二聖心初記録です。『日本原色中えい図鑑』にはニッケイハミャクイボフシについて次のような説明があります。
ニッケイトガリジラミによって、葉表に形成される小さないぼ状の虫えいで、ほとんどの場合葉脈に沿っている。普通、淡緑~黄緑色で、ときに紅葉色、表面は光沢がある。
この虫こぶは、1930年代から知られていた虫こぶで、宮沢賢治の作品の登場人物のモデルになった門前弘多博士もニッケイハミャクイボフシについて研究していたことがわかっています。
今日のことば
冬は庭木の根元を見ると、静かな気持ちを感じさせる。灰ばんだ土へしっかりと埋め込まれて森乎(しん)としながら、死んでいるような穏やかさを持っているからである。庭を愛する人々よ、枝や葉を見ないで根元が土から三四寸離れたところを見たまへ。そういう庭木の見かたもあることを心づいたら、わたくしの言うことはないのである。
室生犀星