フィールド日記
2012.12.23
クワナケクダアブラムシ
2012.12.23 Sunday
12月18日にクヌギの虫こぶ(クヌギエダイガタマフシ)についているアブラムシを採集しました。
専門家の方に同定を依頼したところ、クワナケクダアブラムシGreenidea kuwanai (Pergande)で
あることがわかりました。危険が迫ると角状管の先端からは警戒フェロモンが分泌され、仲間に危険
を知らせるそうです。
今日のことば
人間の知識や考え方には、どうしても限界があるように思う。誰かがどこかで出会った現実が、
普遍的なことのように誤解され、「世界の常識」になってしまう。「ライオンとは……である」
と定義されても、セレンゲティのライオンと、ボツワナや他の地域のライオンとでは生態が異なる。
もちろん顔つきだって違う。多くの場合、野生動物を見るときに、最初に結論を出してしまっている
ような気がしてならない。その結論に導くには、目の前で起きていることをどういうふうに解釈した
らいいか。頭の中でそれを確認している。現実が後ろからついてくる。
それでは野生動物は見えてこない、とぼくは思う。考えるよりも、まず見る。「ヒトが見る目」を
はずし、まったく別個の生きものとして、虚心坦懐に見る。そうしなければ、いつまでたっても
野生動物とヒトとの関係は変わらないのではないか。
岩合光昭