フィールド日記
2012.11.28
ホソアシナガバチの女王の越冬です
2012.11.28 Wednesday
林道脇の森の中でホソアシナガバチの女王バチがヤブムラサキの葉の下で越冬しているのを見つけました。卵を抱えたままで冬を越し来年の春には巣作りを始めます。
ホソアシナガバチの女王バチについては、『ハチとアリの自然史』(北海道大学図書刊行会)に収められた「アシナガバチ・スズメバチにみられる分業の社会性」の中に次のような興味深い記述があります。
アシナガバチ属やホソアシナガバチ属の多くの種では、女王は唯一の産卵者で、巣の中心部にとどまり、働きバチにたいして大顎で威嚇したり、触覚で相手の体を叩くなどの優位行動や、巣盤上での腹部の揺すりなどの示威行動をとる。これによって、女王は絶対的な優位者として働きバチの内分泌などに生理的な影響を与え、卵巣の発達を抑制して産卵を独占するとみなされる。
今日のことば
人生の意義は何か、人生の幸福とは何かということになると、人によって随分見解が違うであろう。
お祭り騒ぎは愚の骨頂だと思う人もあろう。私自身ももともと孤独癖が強かつた。一室に閉じこもって本を読むか、考え事をする方がはるかに有意義だと思っていた。しかし近頃になって、大勢の人と一緒にぼんやりとお祭をながめて、皆が何となく楽しい気分になるということも決して無意味ではないと悟るようになった。お互いの日常生活の水準が少しずつでも向上してゆくように、たゆまず努力することはもちろん何物にも増して大切なことである。しかしそのために私どもは身体を疲らせているばかりでなく、神経をも疲らせ、いらだたせているのである。そしてそのために必要以上に対立を激化させ、住みにくい世の中を一層住みにくくしている傾向さえないとはいえぬ。時たまのんびりとお祭を見て神経を休める機会を持ちうるということは、京に住む身の一つの仕合せである。
京にきて祇園祭を見しあとの耳にすがしき蝉しぐれかな
湯川秀樹