フィールド日記
2012.07.19
ヤマユリ ニイニイゼミの羽化
2012.07.19 Thursday
校舎の裏の道でヤマユリが咲き始めました。不二聖心にはたくさんのヤマユリが自生し、夏の自然に豊かな彩りを添えています。
ヤマユリのすぐ横では、ニイニイゼミが羽化していました。昨日の「夏休み子供自然体験教室」生徒スタッフ事前研修でも一人の生徒がニイニイゼミの抜け殻を見つけました。ニイニイゼミはおそらく夏の不二聖心で見られる、最も個体数の多いセミです。
今日のことば
ある日のこと、わたくしは幾人かの子どもたちと、麦のよくのびた田んぼ道を話しながら
歩いていました。すると一人の子どもが、ちょろちょろと麦畑のなかへ走っていきました。
何をしにいったのだろうかと思って残っている子どもたちにきくと、ひばりの巣を見にいっ
たのだそうです。その子の見つけておいたひばりの巣が、その麦畑のなかにあるのだそうでした。
その子どもはまもなく帰ってきました。そして、
「あったか」
ときく子どもたちに、
「あった」と嬉しそうに答えていました。
そのうちに頭の上へ低く一羽のひばりがおりてきました。それをみてさっきの男の子は、
「あれはおれのひばりだ」
とお友だちに話していました。これは、
「あのひばりがおれの見つけておいた巣の親鳥だ」
という意味なのですが、それをその子はいかにもあたりまえのようにいうのですから、私は
すっかりびっくりしてしまいました。
この時期になると、田舎の子どもたちは、だれでも一つや二つの「自分のひばりの巣」を
持っていないものはありませんでした。そして一度だれかが見つけた巣は、もう誰も手をだ
すことはできないのです。それが子どもたちのなかまのきまりなのです。子どもたちのなか
までは、そういうきまりがしっかりと守られているのです。「あれは誰ちゃんの巣」という
ことを、誰も誰もが知っているのです。
斎藤喜博