フィールド日記
2012.06.29
クスサンの幼虫 白髪太郎
2012.06.29 Friday
今日もモリアオガエルがよく鳴いていました。こんなに長期にわたって鳴き続ける年は珍しいような気がしています。今年は鳴き終わる時期を記録しておきたいものです。
裏の駐車場と雑木林の間に一本の細い道があります。その道のつきあたりのクスの木にクスサンの幼虫が大量発生しています。白髪太郎という別名を持つ幼虫で、昔はこの幼虫の腸腺から釣り糸にするための糸をとっていました。ナイロン製の糸ができるまで日本の釣文化はこの虫によって支えられていたのです。
矢口高雄の『ニッポン博物誌 ――イワナの恩返し――』(講談社漫画文庫)に収められている「白髪太郎」という短編にそのあたりのことが興味深く描かれています。(下の写真参照)
月曜日に「夏休み子供自然体験教室」の生徒スタッフのメンバーと体験教室のコースの下見をしたのですが、この幼虫を目の前にして実際に糸を採ってみたいと言った生徒がたくさんいたのに驚いてしまいました。
今日のことば
若い人たちに私は言いたい。もし本当に何かをやりたいと願うなら、やってみるがいい。君たちにはそれが出来るのだ。森を救うために闘うことだけがすべてではない。身近にやれることはたくさんある。木を植え、自然の回復をはかることもそのひとつだ。いま、世界ではたくさんの不愉快なことが起こっている。だが同時に、世界中のいたるところで、木を植え、森を作り、森を広げようとしている人々や組織があるということも事実なのだ。北海道から西表島、小笠原にいたるまで、そう、深い渓谷から険しい山々にいたるまで、日本の森林は極めて豊かで、多様性に富んでいる。そこには君たち若者が学び、愛し、保護するための貴重
な自然という宝が隠されているのだから。
C.W.ニコル