フィールド日記
2012年04月
2012.04.20
栗畑の新緑 クリメコブズイフシ 虫たちの謎の行動
2012.04.20 Friday
栗畑の栗の木の葉がだんだん開いてきました。そこに早くもクリタマバチが卵を産みつけ、鮮やかな赤の虫こぶ(クリメコブズイフシ)がつくられつつあります。
栗の木の下で昆虫が不思議な集まり方をしていました。種名がわかるかどうか調べてみたいと思っています。
今日のことば
木を植えることは、私たちのこころの中にも木を植えることである。そして人類と地球上のすべての生き物の未来を保障することである。
宮脇昭
2012.04.19
イロハモミジの新緑 アミガサタケ
2012.04.19 Thursday
中学校校舎の中庭のイロハモミジの新緑が美しい季節となりました。不二聖心にはかつて岩下清周氏が京都から取り寄せたと言われるイロハモミジの木がたくさんあります。
イロハモミジの木の下にはアミガサタケが顔を出していました。春の使者と呼ばれるアミガサタケですが、毎年同じ場所に発生して不二聖心の春を告げてくれています。これで5年連続の確認となります。
今日のことば
所有できるものはいつか失われる。なくてはならないものは、けっして所有することのできないものだけなのだと。日々の悦びをつくるのは、所有ではない。草。木。水。土。雨。日の光。猫。石。蛙。ユリ。空の青さ。道の遠く。何一つ、わたしのものはない。
長田弘
2012.04.18
クサボケ ズアカシダカスミカメ
2012.04.18 Wednesday
クサボケの花が次々に開き始めました。写真の背後に白く見えるのは今朝の富士山です。
オクマワラビかと思われるシダに小さい粒のような虫がついていました。顕微鏡で確認したところ、体調わずか3ミリのカメムシであることがわかりました。ズアカシダカスミカメというカメムシです。特定のシダにつくことはないようなのですが、なぜか不二聖心では写真のシダにだけついているように思われます。胞子が食べごろなのでしょうか。
今日のことば
新聞のにおいに朝を感じ
冷たい水のうまさに夏を感じ
風鈴の音の涼しさに夕ぐれを感じ
かえるの声はっきりして夜を感じ
今日一日も終りぬ
一つの事一つの事に神さまの恵みと愛を感じて
水野源三
2012.04.17
モミジイチゴとアワフキムシ コマルハナバチ
2012.04.17 Tuesday
校舎の裏の坂道でモミジイチゴの花が咲き始めました。葉がモミジに似ているところからモミジイチゴと名づけられたキイチゴの仲間です。モミジイチゴの枝にはアワフキムシがついていました。小さな命の営みは休むことなく続いています。
コマルハナバチが校舎内に入ってきました。受粉昆虫としても非常に重要な役割を果たす
ハチですが、セイヨウマルハナバチの侵入により徐々に数を減らしているとも言われます。
今日のことば
落ちて来たら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう
美しい
願いごとのように
黒田三郎
2012.04.16
桜の花びらとオビモンハナゾウムシ
2012.04.16 Monday
桜の木の下でゾウムシを見つけました。日本には約1000種のゾウムシがいると言われ、手頃な図鑑では調べられない種も少なくありません。このゾウムシも専門家の方に見ていただいてようやくオビモンハナゾウムシであることがわかりました。桜の木の下にいたことから、もしかしたら桜と特別な関係のあるゾウムシかもしれないと思っていましたが、専門家の方の回答には「ヤマザクラ、オウトウなどの実を加害する」とありました。植物と昆虫のつながりに着目することで自然はさらに奥深い姿を見せてくれます。
今日のことば
虹が出たとき、知らない人にも言いたくなります。自分だけで一人じめできない、そういうものが空に出ていると伝えたい、どうしたって欲得なしに伝えたいのです。虹をわけ合いたいのです。
石垣りん
2012.04.15
ナツトウダイ
2012.04.15 Sunday
お茶畑の近くの雑木林の林床は、この時期、ナツトウダイに覆われていきます。ナツトウダイは鹿児島県で絶滅危惧Ⅱ類、鳥取県と佐賀県で準絶滅危惧種に指定されていますが、不二聖心ではその希少性を忘れさせるほど、勢いよく育っていきます。茎を切るとすぐに白い液体が溢れ出すのも生命力の証でしょうか。花の時期にはたくさんの虫が蜜を求めてやってきて、あたりはちょっとした賑わいを見せます。
今日のことば
We are spiritual beings, and we need spirit more than ever. We need to understand
that nature gave us birth and is our home and source of well-being, and that when
we die, we will return to it.
David Suzuki
2012.04.14
シラユキゲシ
2012.04.14 Saturday
墓地の近くにシラユキゲシがたくさん咲いている場所を見つけました。雪の化身のような美しい花びらです。
今日のことば
私は「飢餓の国、エチオピアの子どもたちに井戸を」というキャンペーンのレポーターとして、二回エチオピアに行ったことがあるんですよ。その旅自体は私の人生において貴重な体験だったんですが、ジープみたいな取材車で各地を回っていたとき、私たちの車が壊れて運転手さんが必死に修理していたら、遠くから少女が裸足で水瓶を担いできて、ニコニコしながら私たちに貴重な水を分けてくれようとしたんですよ。
その子は裸足だったんですけど、「裸足で重い水瓶を運ぶこの子を不幸と思うべきなんだろうか」と思ったんです。この子に靴を履かせることが果たして幸せに繋がるのかどうか。
その子の高貴な笑顔を見たら、文明を与えることがイコール幸せではないんじゃないかって。どっちが立派な人間なんだ? ってね。
阿川佐和子
2012.04.14
ビロウドツリアブ
2012.04.13 Friday
昨年亡くなった作家、北杜夫の『どくとるマンボウ昆虫記』(新潮文庫)には、小学校4年の時に腎臓を病んで食事が満足に採れなくなり、可愛そうに思った家族から『昆虫図譜』を買ってもらった話が出てきます。少し引用してみましょう。
何月か『昆虫図譜』と寝ていたおかげで、私は虫の名を覚えた。なにかを覚えるということはそれほど大したことではない。それでも、ようやく起きられるようになって縁側まで出てみたとき、私はその効果を知った。もう春であった。その春の陽光の中に、一匹の虻が宙からつりさげられたようにじっと浮んでいた。綿毛のかたまりのような可愛らしい虻である。一目見て私にはその名称がわかった。ビロウドツリアブ。彼女とはじめて出会った筈だのに、私はずっと以前からの旧知のような気がした。むこうではそんなふうに思わなかった
らしく、アッというまにどこかへ消えてしまった。しかし私にとっては、自分の住んでいる世界がいささかなりとも広くなったように感じられたのである。
ここに出でくるビロウドツリアブを今朝、キャンプ場で見かけました。綿毛のかたまりのような可愛らしいアブでした。
今日のことば
人生のどこかで、ふと心を自分の内側に向けてみることだ。
そこに見つけたものから、少しずつ始めればいい。
加島洋造
2012.04.12
ジロボウエンゴサク
2012.04.12 Thursday
今日は授業中に窓を開けずにいられないほど暑い時間帯がありました。数日前までの寒さはどこへ行ってしまったのかといった感じです。クラブ活動も始まり、元気に活動する生徒の姿があちらこちらで見られました。
この数日で急に季節が進んだ感じがします。
職員室の近くの中庭にはジロボウエンゴサクが群生する場所があります。徐々に生息数を減らし、長野県では既に絶滅したとも言われるジロボウエンゴサクを毎年見られる喜びを今日も感じました。
今日のことば
愚かさもまた、神からの恵みである。しかし、決してそれを誤用してはならない。
ヨハネ・パウロ二世
2012.04.12
スズキカバエ
2012.04.11 Wednesday
昨日、掲載した写真をもう一度掲載します。どうも見慣れないハエだと気になりましたので、専門家の方に見ていただいたところ、ちょっとした発見であったことがわかりました。
これはおそらく静岡県で(もしかしたら近隣の県も含めて)初めての確認のようです。カバエ科のスズキカバエという熱帯性の強い種で、もともと南方に生息する昆虫です。静岡県で見つかったということは、温暖化によって生息域を北に広げている可能性があると考えられます。この体長7ミリの小さなハエは私たちに何かを警告しているのかもしれません。
ハエを敬遠する人も多いかもしれませんが、カバエは衛生害虫でもなく吸血するわけでもなく、「森の住人」という意味の素敵な学名を持っています。
今日のことば
高きを望め、あなた方の目はいつももっとも高きものを見ているように。あなたがたの一生は、高きものへの絶えざる努力であるように。
ヘルマナ・マイヤー