フィールド日記
2012.02.12
シギゾウムシがクヌギのドングリにあけた穴
2012.02.12 Sunday
お茶畑の横の雑木林に落ちているたくさんのドングリは、農園の方々の草刈りのおかげで拾いやすくなっています。ただし、ほとんどのドングリは拾って植えても芽は出ません。シギゾウムシの仲間によって穴をあけられた上に、その穴を通して卵を産み付けられ、卵から孵った幼虫によってドングリの中身を食べられてしまっているからです。シギゾウムシの幼虫はある程度成長すると穴をあけて再び外に出てきます。そして土中で蛹になるのです。さて、写真の穴は親があけた入口でしょうか。幼虫があけた出口でしょうか。答えは出口です。拾ってみるとほとんどのドングリに同じぐらいの大きさの穴があいていて、中を割ってみると、そこにはもはや幼虫の姿はありません。
クヌギは、炭焼きなどの必要から人間の手でたくさん植えられてきました。それに伴い、シギゾウムシの仲間は数を増やしていったことでしょう。たった一つの穴からも人間とシギゾウムシとの長い関わりの歴史が見えてきます。
今日のことば
人が、絶望から生きる希望を見いだすために必要なのは、「働く場がある」ということと「愛する人がいる」ということである。
ジークムント・フロイト