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フィールド日記

2011年06月

2011.06.14

高校3年生の短歌⑥とヨウラクランとジャコウアゲハ

平成23年6月14日 火曜日

高校3年生が前期中間試験の前に詠んだ歌を紹介します。

 妹に「む」って何だと訊かれてももうわからない古典文法
繰り返し覚えることが重要とようやく知った高3の夏
テスト前私の頭にたまるのはほどほどの知識とかなりのストレス
貢ぎ先間違ってるよAKBオタあつこじゃなくて東北募金
菅下ろしする暇あるなら原発を何とかしてよ政治家たちよ
お買い物サイフ忘れるサザエさん買う物忘れる私の母さん
ご近所の中華屋さんの看板に「冷やし中華始めました」
どうしてもお腹がなっちゃう4時間目とっても長い最後の5分
テスト後の笑顔の自分を想像し再び手にとるシャープペンシル

今年も不二聖心ではヨウラクランが咲きました。ヨウラクランは、24の県で絶滅危惧種に指定されている
希少種です。花の姿が仏具の瓔珞に似ていることか らヨウラクランと名づけられました。
小さな花が集まって花穂のようになっていますが、一つ一つはしっかりとランの花のかたちをしています。
日本一小さいラ ンの花でしょう。


中学3年生の生徒がジャコウアゲハをつかまえて見せてくれました。下の写真はその時に撮ったもので、
雌のジャコウアゲハであることが翅の色からわかります。6月7日の「不二聖心のフィールド日記」で紹介した
のは雄のジャコウアゲハでした。

2011.06.13

アリグモとトビイロトラガとアオダイショウとベニシジミ

平成23年6月12日 日曜日

 休日の不二聖心のフィールドの表情は普段にも増して豊かです。
そして心なしか生き物たちのしぐさにもゆったりとしています。

 下の写真の生き物は、一見するとアリに見えますが、実はクモです。アリに擬態しているクモ、アリグモです。
クサギの葉の上をゆっくり歩いていました。

 下の写真は、トビイロトラガです。独特の模様が印象的な蛾で、幼虫はツタやブドウの葉を食べます。
接写されても少しも動じる様子はありませんでした。


下の写真は、アオダイショウです。先週は、築山の池の近くでシマヘビばかりが目立っていましたが、
アオダイショウは職員室の裏にいました。パイプがちょうどいい休憩場所になっているようです。
よく見ると中心に目が見えます。


最後の写真は、ハルジオンに集まるベニシジミとヒメヒラタアブです。これは春型のベニシジミで、
真夏には体色のさらに濃い夏型の個体が現れます。

2011.06.11

キクラゲ

平成23年6月11日 土曜日

 静岡県東部に大雨洪水警報が出され、新幹線も一時運転を見合わせるほどの荒れた天気となりました。
そのような中で、不二聖心では6月に限って活動 するコマルハナバチのオス(ライポン)が
活発に活動していたのには驚きました。今しか働けないことを自覚するかのような活発さでした。
もう一つ、生き生きした姿を見せていたのが築山のキクラゲです。ここのところ萎れていたのが、
雨に打たれてすっかり息を吹き返していました。キクラゲは 食べられるキノコで、さまざまな料理に利用されています。西洋には、「イエスを裏切ったユダが首を吊った木に生えたのがキクラゲ」という俗説があり、
キク ラゲのことを「ユダの耳」と呼んでいます。

2011.06.10

ナガゼンマイハバチ

平成23年6月10日 金曜日

今日の朝日新聞の天声人語は次のような書き出しでした。

 虫好きの少年を通して命の尊さを描いた『クワガタクワジ物語』(中島みち著)に、主人公の太郎が縄文時代の子を思う場面がある。「シカかなんかの皮のふんどしをして、これとおんなじクワガタと、遊んでいたのかなあ」数億年前に現れた昆虫は、生き物の種の過半を占める。『虫の文化誌』(小西正泰著)の表現を借りれば、人類はずっとあとから「昆虫王国」のただなかに生まれてきた。

 「数億年前に現れた」時の姿のまま今も生き続けている昆虫が、不二聖心にもたくさん生息しています。
そのうちの一種、ナガゼンマイハバチの幼虫の 姿を今年も確認することができました。ゼンマイの葉に見事に
擬態しつつ、悠然と葉を食べ続けていました。ゼンマイの葉を食べるハバチには、他にゼンマイハ バチが
いますが、こちらの姿は発見できませんでした。もしかしたら二種の間に微妙な棲み分けがなされているのかもしれません。ハバチはハチの中でも最も原 始的な種類で、彼らが生きてきた時間の長さを思うだけでも、
畏怖の念に近い感情を抱きます。
今日の天声人語は次のような一節で終わっていました。

 支配者を気取る一つの種の都合で、動植物が振り回される時代はそれほど続くまい。
この夏、虫たちは放射能も知らずに飛び回る。合わす顔がない。

 

2011.06.09

バイマーヤンジンさんのコンサートと中学3年生の「不二聖心の新しい博物学」の調べ学習

平成23年6月9日 木曜日

 今日はバイマーヤンジンさんのコンサートが裾野市民文化センターで行われました。今日のコンサートの
プログラムの挨拶には山本滉校長先生の次のような文章が載っていました。

 待ちに待ったバイマーヤンジンさんのコンサートです。
昨年6月18日に、声楽家バイマーヤンジンさんに講演をして頂きました。お話に講堂全体が感動に包まれ、
涙する生徒も多くいました。最後にバイマーヤンジ ンさんはチベットの歌を一曲歌って下さいました。
ああ、その歌声の素晴らしかったこと。その日のうちに是非コンサートをお願いしようと決めました。
バイマーヤンジンさんの歌はもちろん、人間性、生き方からそれぞれが多くのことを感じ、
自分自身の生き方を真剣に考える機会となるでしょう。

 東日本大震災の被災地の復興を願ってバイマーヤンジンさんの「祈りの唄」で始まった今日のコンサートは、校長先生の期待通りのコンサートとなりま した。バイマーヤンジンさんの歌声の美しさと声量の豊かさに圧倒されるとともに、そのお話から多くのことを学びました。実は今日のコンサートには一曲、曲 目の変更が
ありました。バイマーヤンジンさんは、どうしても「我は海の子」を歌いたいとおっしゃったのです。
過去に東北を何度も訪れ、陸前高田市の海の美 しさに深く感動した経験を持つバイマーヤンジンさんは、
海のないチベットで育った方です。だからこそわかる海の素晴らしさがあり、私たちはバイマーヤンジンさんの話を通して改めて海の素晴らしさを知り、日本の自然を見直すことができました。和歌山の白浜の海の水を
5年間、仏前に供え続けたバイマーヤンジン さんのお母様の話を私たちは忘れることはないでしょう。
海への思いを込めた歌は、復興への祈りの歌でもありました。間違いなくバイマーヤンジンさんの歌声は美しく、その声量は豊かで聴く人の心を圧倒します。しかし、何よりも素晴らしいのは、バイマーヤンジンさんの
歌の精神性の深さではないかと今日改めて思 いました。


バイマーヤンジンさんに私たちから歌の贈り物をしました。曲目は、With Christ。祈りの歌で始まり、
祈りの歌で終わったコンサートでした。私たちの贈り物のお返しとしてバイマーヤンジンさんは
不二聖心の校歌を歌って下さり、私たちも一緒に歌って会場が一つになりました。
バイマーヤンジンさんのお心に感謝の思いあふれる素敵な時間でした。


今日は、中学3年生の国語の授業で「不二聖心の新しい博物学」という調べ学習をしました。
国語の教科書で学習した池内了の「新しい博物学の時代」という文 章をふまえて、
生徒が不二聖心の中に生息する動植物の写真を撮り、その動植物について理科系と文科系の両面から
レポートするという調べ学習です。さまざま な発見のある充実した2時間となりました。
下の写真は、薩摩紅梅についたテントウムシの幼虫と蛹と餌のアブラムシを観察する中学3年の様子です。

2011.06.09

トベラとユキノシタとモリアオガエルの卵

平成23年6月8日 水曜日

 正門近くの今日の様子をご覧に入れましょう。
下の写真の花は、トベラです。正門の手前のトベラの木にたくさんの花がついています。トベラは、
枝葉を切ると悪臭を発するため、節分には魔除けとしてイワシの頭などとともに家の扉に飾られました。
そこから「扉の木」と言われるようになり、それが変化して「トベラ」となったようです。


次はユキノシタです。
今年もたくさんのユキノシタが正門近くの石垣のところに咲いています。今、不二聖心で見られる花のなかでも
特別な趣を感じさせる花です。花弁は5枚で、上の3枚は小さく下の2枚は大きいというのもユニークです。


昼食後に職員室で仕事をしていたら、中学3年生の生徒に「先生来てください」と呼ばれました。
あとをついていってみると、築山の池の近くの道にモリアオ ガエルの卵が落ちていました。
中3の生徒は何とかして卵を助けたい一心で職員室まで呼びに来てくれたようです。
木の枝に産み付けられた卵がどうして道の上 にあるのか。どうやら鳥に運ばれて食べられてしまったようです。
絶滅危惧種のモリアオガエルはこうして益々数を減らしていくのでしょう。
カエルにとっては 気の毒な出来事でしたが、生徒の優しい気持ちに触れることができたのはうれしいことでした。

2011.06.07

ジャコウアゲハ

平成23年6月7日 火曜日

 昼食後に職員室で仕事をしていたら「先生、来てください」と高校1年生に呼ばれました。
あとをついていったところ、講堂脇の道の上にジャコウアゲ ハがとまっていました。ジャコウアゲハは、
幼虫の食草であるウマノスズクサが激減しているために徐々に数を減らしつつあると言われているチョウです。
この貴重なチョウを今日はじっくり観察することができました。

 

 貴重な生物を生徒たちとともに観察する時間はかけがえのない時間です。
 


顔つきがユニークだという感想が生徒から聞かれましたので、正面からの撮影もしてみました。

2011.06.07

わたしの主張裾野市大会とアザミ

平成23年6月6日 月曜日

 6月5日(日)、裾野市民文化センターで第30回わたしの主張裾野市大会が行われました。本校からは、
中3渡会いくみさん、高1服部真歩さんが出 場しました。二人とも大舞台でも緊張することなく、
日常の経験や社会問題について、落ち着いて丁寧に発表することができました。
聞きに来て下さった奨学会役員の方々、保護者の皆様、ありがとうございました。


  今週は晴天の気持ちの良いスタートとなりました。生徒は中間試験に真剣に取り組んでいます。
自然界の花々も明るい光を受けて生き生きと輝いていました。

2011.06.05

柿の花とナキイナゴとコバネヒメギス

平成23年6月5日 日曜日

 今日は、「世界環境デー」でした。
不二聖心のフィールドでは、ヤマガラやウグイスが元気よく囀り、今年はじめてホトトギスの声も確認することができました。
キャンプ場の柿の花の下はマルハナバチの羽音でにぎわっていました。柿の花は、花の入り口から蜜のある
位置まで距離があるため、花の中にうまく潜り込め る特定のハチしかその蜜を吸うことができません。
秋の実がなった柿の木も風情がありますが、今の季節の花をたくさんつけた柿の木もすばらしいです。


キャンプ場を通ってススキ野原を横断してみましたが、ススキ野原を覆うようにあちこちで鳴いていたのが、
ナキイナゴです。もうこんなにもナキイナゴの声 が聞かれる季節になったのかと驚きました。ナキイナゴの場合、コオロギやスズムシのように翅と翅を擦り合わせて音を出すのではなく、後ろあしと前翅を擦り 合わせることで音を出します。不二聖心のススキ野原では、ナキイナゴが後ろあしを忙しくふるわせる様子もつぶさに
観察できます。


ススキ野原で今日目についたバッタ目の昆虫としては他にコバネヒメギスがいました。
かつてないほどたくさんのコバネヒメギスを目にしました。 

 少し歩いただけでこんなにもたくさんの生き物と出会える不二聖心の自然環境をこれからも大切にしていきたいと「世界環境デー」に強く思いました。

2011.06.04

オオイシアブとアシナガムシヒキ

平成23年6月4日 土曜日

人間に忌み嫌われているけれども実は人間の役に立っている、そういう生き物が自然界にはたくさんいます。
アブの仲間もその一つでしょう。
今日は不二聖心で今の時期に既に活動を始めているアブを紹介しましょう。
下の写真は、ハエ目ムシヒキアブ科のオオイシアブです。人間を刺したり体液を吸ったりするようなことはなく、農作物を荒らす虫を捕らえて体液を吸う益虫で す。京都府は、その存在が環境の自然度の高さを示す
環境指標生物としてオオイシアブを挙げています。顔面の中央に毛が生えているユニークな風貌が印象的です。「温情の灯」の碑の近くで撮影しました。

ムシヒキアブ科のアブをもう一種。アシナガムシヒキです。お茶畑の横の雑木林で撮影しました。獲物の体液を
吸いながら長い前肢を片方だけ挙げている姿をよく見かけます。まるで「やぁ」と挨拶をしているようです。