フィールド日記
2011.06.18
ライポン
平成23年6月18日 土曜日
今日の産経新聞の「朝の詩」のコーナーに、八十歳になられる安倉栄美子さんの素敵な詩が載っていました。
次のような詩です。
もういいかーい
あの声がどこからか
ふと 聞こえる
まあだだよー
まあだだよー
私は慌てて叫ぶ
新緑溢れる初夏の大地
花咲き蝶飛び交う
私は未練たっぷりです
やがて必ず来るその日
でも今は もう少し
居させて下さいな
美しいこの地球に
「新緑溢れる初夏」の不二聖心の花々には蝶だけでなく、たくさんのハチもやってきています。
6月11日の「不二聖心のフィールド日記」で紹介した ライポンを本館前でも見かけるようになりました。
ライポンはコマルハナバチのオスの別名です。不二聖心の自然を紹介した冊子「不二の自然」に載っている
コマルハナバチについての文章を再録しておきます。
マルハナバチは、ネズミの古巣を使って営巣することで知られる、ハナバチの一種です。
近年、トマトの授粉用に輸入されたセイヨウオオマルハナバチ の野生化によって、その生息域を脅かされつつあると言われています。サクラソウなどいくつかの希少な植物が受粉をマルハナバチに依存しており、
生態系の維 持のためにもマルハナバチの存在は非常に貴重であると言えるでしょう。
写真のマルハナバチは、コマルハナバチのオスで、東京の世田谷・目黒あたりの子がつけた
「ライポン」という名前で今も呼ばれることがあります。昭和五十 年代の後半までは子供たちがバッチのようにこのハチを服につけて遊ぶ姿が見られたそうです。オスですから刺される心配がないのです。
マルハナバチは英語でbumble beeと呼ばれますが、bumbleには「ハチなどがブンブンいう」という意味があり、bumble beeはマルハナバチの羽音から生まれた名前と想像できます。『ハリー・ポッター』に出てくる、
鼻歌好きの校長先生の名前・ダンブルドアは、古英語でマル ハナバチという意味を持っています。
マルハナバチは、人間との間に、実に多様で深い関わりを持っています。