フィールド日記
2011.05.28
縄文時代のクワガタとベニボタル
平成23年5月28日 土曜日
5月25日の朝日新聞に「縄文クワガタよみがえる」という記事が載りました。次のような内容です。
縄文時代晩期後半(2500年~2800年前)のノコギリクワガタが、奈良県御所市の秋津遺跡でほぼ
完全な形で見つかった。県立橿原考古学研究所(橿原市)が24日発表した。
大あごなど一部だけが見つかった例はあるが、完全に近い縄文時代のクワガタは全国初という。
大きく湾曲した大あごを持つ体長約6・4センチ、幅約1・5センチのオス。地中約2メートルの同時代の
木の根の下で見つかった。
左前脚以外はほぼ残っており、体毛や爪の先も判別できた。水や土で密閉されて酸素が絶たれ、
細菌が活動できず分解されなかったらしい。同じ地層からは同時代の土器や土偶の破片約1千点も見つかった。
ノコキリクワガタは、ほぼ日本全土に分布する昆虫で、甲虫目に属しています。
下の写真は2008年の夏に撮った不二聖心のノコギリクワガタの写真です。
不二聖心の土地からは黒曜石も出土しており、古くから人間の生活が営まれていた可能性があります。
不二聖心の地中深くから縄文の遺跡とともにノコキリクワガタが発見される可能性も皆無ではないでしょう。
ずいぶん昔の話だと思うかもしれませんが、気 が遠くなるほどの進化の過程を経て現在に至っている
ノコキリクワガタにとっては、2800年前というのは、ごく最近の時間とも言えるのです。
ノコキリクワ ガタが属する甲虫目というグループは4枚の翅のうちの2枚を丈夫な硬い翅にすることよって
環境への適応能力を高めてきました。2枚の丈夫な翅が順調な進化 の歩みを支えたとも言えます。
下の写真は「温情の灯」の近くで撮った、ベニボタル(甲虫の一種)が飛び立つ瞬間の写真です。
紅色の翅が甲虫目の由縁である 硬い2枚の翅です。