校長室から

2019.04.05

2019年度 不二聖心女子学院 学院目標

 2019年度 不二聖心女子学院 学院目標

 聖心女子学院の教育は、カトリックの精神に基づき、「魂を育てる」「知性を磨く」「実行力を養う」の各領域においてバランスよく成長し、「社会に貢献する賢明な女性」として成長していくよう準備します。これら3つの領域が統合されていくためには、生徒・教職員が、各領域を自分自身と関連づけ、具体的に意識して学院生活を送ることが必要です。不二聖心女子学院では、毎年、一つの領域に焦点をあて、3年間の中で教育方針をスパイラルに深めていきます。今年は「知性を磨く」に焦点をあてた上で、学院目標を"Design your future! "といたします。
 年度の始めに生徒・教員が集うこの機会に、天性の教育者と呼ばれた聖心会第6代総長マザースチュアート(Janet Erskine Stuart:1857-1914)の御言葉に、共に耳を傾けてみたいと思います。彼女のメッセージは、著書The Education of Catholic Girls(『カトリック学校における女子生徒の教育』)等から知ることができます。1世紀以上前に書かれたものながら、時代や文化背景を超え、色褪せない響きをもっています。教える側を意識して書かれた内容であっても、生徒の皆さんにも助けになるのではないでしょうか。原文が英語ですので、上級生はそのままを味わうこともできるでしょう。

1) 学びたいという望みを深めるように
"Cultivate the wish to learn, rather than the wish to be taught. Be determined to "pick up" and do not wait for the Professor and the pedagogical devices of his or her craft...Do not think that lessons will do it, if you wait for lessons you will wait a life-time...If we wait to be taught, we shall never learn. "

教えられることを待つ者は、永遠に学ぶことはない――、厳しくも含蓄ある言葉です。逆にいえば、学びのエンジンが動き出したら、あとは自然に動き出すというような面もあるということでしょう。このように、主体的に何かをつかみとっていくという学びにおいて、今の皆さんはどうでしょうか?一人ひとり、振り返ってみましょう。授業の時間には、先生、そして共に学ぶ仲間と共に、豊かな学びの時間を創り上げていってください。学院の伝統である探究的な学習を大切にしてください。個々のテーマと向き合う卒業研究やESD等を通して正解のない問いに応える力を養っていくことができるでしょう。学習において具体的な成果を上げることは大切ですが、それに余りに固執して、失敗やリスクをとることを怖れないでほしいと思います。マザーが別の箇所で語っていらっしゃる言葉を借りるなら、あなた方には「小さな完成された作品」ではなく、「作り始められた大きな作品」であってほしいのです。

2) 未知なる未来に向かって
"We are then the discoverers of our own lives. Our world is new every day. Either we are sailing towards new shores, daring mariners in search of the unknown and day by day the horizon dips lower and our stars rise higher, or we are explorers by land, and new wonders reveal themselves on each day's march. "

私たちは、日々、未知なる未来に向かって、自らの人生を創造しています。新しく与えられた一日をどう生きるかは、自らの価値基準や目的、そこからくる態度や選びにかかっています。計画的であることは必要ですが、それだけにとらわれないようにいたしましょう。思いがけない変更を強いられる時、かえって回り道に見えたことに意味があったと後で気づくことも多いのです。与えられた時を真に生きたものとするため、先ほど朗読された聖書のように、「若き日にこそ、あなたの創り主である神を心に留め」(コヘレト書12:1)、永遠に価値ある愛のまなざしに基をおいて生活するよう心がけていきましょう。

3) より良い未来に向けての使命
"We must remember that each one of our children is destined for a mission in life. Neither we nor they can know what it is, but we must know and make them believe that each one has a mission in life and that she is bound to find out what it is, that there is some special work for God which will remain undone unless she does it, some place in life which no one else can fill. "

一人ひとりは、神様から、その人にしか果たせない使命が与えられています。一人の人の日々の学びや在り様は、周りの人々や、この世界の現実と深くかかわっていきます。私たちは皆、この世界の未来に対して責任があるということです。“Your Future”とは、あなた自身の未来であると同時に、共に生きる人々や地球の未来でもあるのです。皆さんには、世界の現状について考える機会が多く与えられています。どのような未来を創造していこうとするのか、他者と共に生きることを学びつつ(UNESCO「21世紀国際委員会」学習の4本の柱より)、固有の使命を見出していこうという気概をもって、日々の学びを深めてまいりましょう。

"It is always here and now, there is always the present moment to do the very best we can with,
and the future depends on the way these moments are spent. "  J. Stuart

イースター(復活祭)が近づくこの季節に、一人ひとりの思いを神様が守り、強め、導いてくださいますように。
2019年4月4日始業式 校長講話より(シスター大原 眞実)