校長室から
2016.05.10
マリア様の月に(2016年5月10日)
不二聖心は、生徒が行ってはいけない敷地の方がはるかに多い学校です。昨秋、普段は通らない道のほとりで、古い岩屋を見つけました。かつての通学路の近くにあったルルドの名残でした。周囲の木を伐り整備したものの中に置くご像はどうしようかと思いめぐらしていたところ、12月24日のクリスマス・ミサの後、長く同窓会の会長をされていた卒業生ご夫妻を通して、マリア像ご寄贈のお話をいただきました。初代院長マザー エリザベス・ダフの主治医であったドクターご一家のお庭にあったものです。
この思いがけないクリスマス・プレゼントは、3月に学院に運ばれ、4月末に岩屋に安置されました。聖母マリアに捧げられた5月、今日も静かに学院を見守ってくださっています。
このマリア様は、少年イエスを差し出すような姿でお立ちになっています。聖書の中にイエスの子供時代を描いた箇所は少ないのですが、ルカ2章を見ると12歳のイエスが、エルサレムの神殿で学者たちと議論する場面があります。ユダヤでは、一人前の人になるというのは「人と議論ができるようになること」であると聞いたことがあります。議論には、それに耐えるような知識、思考力、論理性、自立心、対話力など、成熟された態度が求められます。また、2章の最後には、「イエスは知恵が増し、背丈も伸び、神と人とに愛された」(ルカ2:52)と書かれています。「知性を磨く」という教育方針に焦点をあてて進むこの一年、私たちが生徒たちと共に歩むための方向を示してくれているように思います。