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フィールド日記

コケ植物

2018.05.29

ケゼニゴケ

 裏道の湧水が流れ出ているところに、ケゼニゴケが見られます。流れ出る湧水にそって見られることから、特に湿った場所を好む種のようです。


 湧水によって常に濡れており、透明感のある植物体がきらきらと輝いて見えます。このように葉と茎の区別がなく、全身が葉のように見えるものを葉状体といいます。


 葉状体の先端からは雌器托が伸びていました。茶色い綿のような部分から胞子を飛ばしています。雌器托に毛が生えていることが名前の由来です。

2018.05.18

コスギゴケとヒメスギゴケ

 オークヒルの道路わきにコスギゴケが群落をつくっています。スギゴケの仲間は植物体がスギの枝のように見えることが特徴です。コケ植物のセン類の代表として紹介されることも多いです。

 近くに雄花盤をつけた群落もありました。肉眼での観察では同じコスギゴケに見えましたが、非常によく似たヒメスギゴケである可能性が高いです。


 スギゴケの仲間は葉の表面に薄板という細胞が積み重なった板状のつくりがあることも大きな特徴です。コスギゴケは薄板の先端の細胞が横に広がっていて、ヒメスギゴケは横に広がらずやや凹むことがあるという違いがあります。下の顕微鏡写真を比べると、やはりコスギゴケとヒメスギゴケだろうと思います。

2018.05.04

ツルチョウチンゴケ

 ヒノキ林の湿った林床にツルチョウチンゴケが群落をつくっています。先日紹介したコツボゴケと近縁で似た雰囲気をもっていますが、全体的にやや大型で、弱く波打つ葉が美しいコケです。

 ツルチョウチンゴケの仲間は直立する茎のほかに、名前の「ツル」の由来となったと思われる匍匐する茎をもっています。下の写真のように、匍匐する茎が地面に接したところから仮根を伸ばしたり、直立する茎が出たりと新たに成長して群落を広げていきます。生殖器官は直立する茎の先端につきます。

2018.05.01

コツボゴケ

 職員室前の庭にコツボゴケが大きな群落をつくっています。都市部の庭や公園にも普通に見られますが、透明感のある鮮やかな緑色の葉が美しいコケです。

 花のように見えるものは雄花盤といい、造精器などが集まりカップ状の形をつくっています。ここに雨などで水がたまると、下の写真のように精子を含む細胞のかたまりが放出されます。さらに雨粒があたってしぶきが飛び、運よく雌植物の卵細胞まで届くと、受精して胞子体がつくられます。非常に確率が低そうな方法ですが、まわりには胞子体をつけた個体も多くみられることから、それなりにうまくいく方法のようです。

2018.04.20

タチヒダゴケ

 学院内のクリの木の樹幹上にタチヒダゴケの群落が見られます。植物体の先端にある淡褐色のふくらみは「朔(さく)」と言い、中に緑色の胞子が入っています。


 コケ植物は乾燥しているときと湿っているときで姿形が大きく異なっていることが多いため、観察には霧吹きを持って行っています。下の写真は、上の写真の群落を霧吹きで湿らせたものです。あっという間に葉が開き、鮮やかな緑色になりました。


 タチヒダゴケと近縁の種を見分けるポイントの1つは、朔にある気孔が表面ではなく、凹みの中にあるということです。下の顕微鏡写真は朔の表面にピントをあわせたもの(左)と、やや奥にピントをあわせたもの(右)で、気孔が凹みの中にあることがわかります。

2018.04.10

トサカホウオウゴケ

 裏道の石積みにトサカホウオウゴケが群生しています。ホウオウゴケ科の仲間は葉が左右2列に規則正しく並んでおり、その姿が鳳凰の尾の形に似ていることが科名の由来になっています。一万円札の裏面に描かれた鳳凰像の尾と比べると確かに似ています。


 コケ植物の種名を調べるには顕微鏡による観察が必要です。下は葉の先端部の顕微鏡写真です。葉の全周に明るい細胞が帯状に並んでいることと、種名の由来となった鶏のとさかのような鋸歯(ぎざぎざ)があることから、トサカホウオウゴケと判断しました。