フィールド日記
2012.09.29
休日がわかるサルたち
2012.9.29 Saturday
聖心橋の近くでニホンザルの群れに出会いました。休日に学校に行くと、よく猿の群れに出会います。
猿は、学校が休日であることがわかっているように思えてなりません。警戒心もうすらいでいるようで、
たくさんの写真を撮ることができました。
今日のことば
いま生物学者の中で、何を持って進化や発展を定義付けるかと言うと、「種の多様性」だ。最近、世界の
生物学者の意見がほぼ一致して、地球上での生物多様性こそが重要であると言われ始めた。
しかも、種はお互いに協力して生きているわけで、例えば井上民二は、イチジクとイチジクコバチの関係
を研究した。イチジクは緑色の果実の中央に小さい穴が開いていて、その中に花がある。その穴は特殊な
「鍵穴」のような形をしていて、その「鍵穴」に合う特殊なイチジクコバチにしか入れないような形にな
っている。「ケツァール」という千塚治虫の「火の鳥」のモデルになった鳥は、グアテマラやコスタリカ
にいるが、アボガドしか食べない。ケツァールはアボガドを食べた後の種を口から出すが、この鳥の強い
胃酸が発芽のトリガーとなり、その結果、アボガドは芽を出しやすくなる。ケツァールに栄養を与え、
そのかわり発芽しやすくしてもらっているのだ。このように、植物と動物はお互いに協力し合い、種の
多様性を拡げてきた。この協調関係を「共進化」もしくは「共生進化」と呼ぶ。特に、生物同士で「競争」
より「相利」の関係にあるものが、最近の研究でより多いということが解ってきた。
ここから予想されることは、人間も、生物多様性の価値観から、「競争」して相手を蹴落とすのではなく、
お互いに「相利」の関係にした方がより生き延びられる機会が多くなるということだ。民族や文化の違い
を超えて人類も「相利」の関係をつくることが、生物の生き方として優れていることを昆虫や植物から
学ぶ必要がある。
『緑の国へ』(稲本正)より