校長室から

2022.09.08

ぶどう園の想い出

 初秋を迎え、ぶどうの季節となりました。現在の共生の森がある場所のあたりは、かつてぶどう園でした。ぶどう園についてはうっすらとした記憶しかないのですが、キャンパスで採れたぶどうを戴いたことはよく覚えています。

 はっきり記憶に残っているのは、ぶどう園が閉ざされてしばらく経った頃、草むらをかき分けた先に名残を見つけた時のことです。映画『秘密の花園』のようだと思い、とても感激しました。

 

2022.09.01

新しい希望の扉

 夏休み前の全校集会で、本年度の学院目標「希望の扉をあけて」にちなみ、「皆さんが学院に戻ってくる時には、学院の扉が一か所、新しくなっているはずです。登校したら、探してください。」とお伝えしました。

 講堂後方の扉で、外側には、葡萄の木が刻まれたフレームが取り付けられています。創立者の祝日に朗読される聖書のヨハネ15章「ぶどうの木のたとえ」が意識されたもので、美術の渡辺憲二先生がデザインしてくださいました。

 

2022.08.24

大浦天主堂

 日本へ聖心会創立のため、1907(明治40)年12月3日(聖フランシスコ・ザビエルの祝日)にオーストラリアを出航したマザーアメリー・サルモン一行は、同年12月27日に長崎へ立ち寄り、長崎の司教様を補佐する役目をされていた弟のマリー・アメデー・サルモン神父様(マザーサルモン令弟:長崎で帰天)と会い、大浦天主堂でミサに与りました。その後、1908年元旦に横浜港へ上陸し、日本の聖心創立へとつながっていきます。
 学院のタワーベルの名前「マリア・アメリア」は、マザーサルモンにあやかって命名されました。現在、長崎の研修旅行に向けての準備が進められています。大浦天主堂を訪れる際には、日本のキリスト教の歴史等とともに、学院の歴史とのつながりにも思いを馳せて祈りたいと思います。

 

写真『パリ外国宣教会 宣教師たちの軌跡』脇田安大(著)カトリック長崎大司教区(監修)より

2022.08.16

どくだみ茶

 私が住む修道院では、キャンパスの野草や果実等が食卓にのぼります。今、よく出されるのはどくだみ茶。猛暑の中、なんとなく食欲がないような時にも、すっきりした気分にさせられます。梅雨のあたりに、たくさん採って、きれいに洗い、陽に干して乾燥させ、煎じたものを煮出す、という手のかかる作業をしてくださった方がいるお蔭です。「毒嬌み」、乾燥したものは「十薬」といわれるように毒を抑える効果があるということで、生薬としても様々な効能があるようです。SOFISで来校された姉妹校の先生方、夏休み中に出勤されている先生方にもお出ししたりすることもあり、なかなかの人気です。


道のべにどくだみの花かすかにて咲きあることをわれは忘れず

斎藤茂吉

2022.08.08

SOFISワークショップ

  先週、2泊3日で、SDGs11「住み続けられるまち作りを」をテーマに、国内姉妹校5校の高校生が集ってワークショップが開催されました。SOFISとは、姉妹校生が絆を深めつつ、実践につながる社会意識を育むことを目的に継続されている活動です。対面での開催は3年ぶりのことで、本年度の当番校は本学院でした。初めに自己紹介や各校紹介等が行われましたが、違いよりも共通点を実感することが多かったのではないでしょうか。制服から私服に着替えると見分けがつかなくなり、生徒たちも以前から知っている友のように過ごしていました。
 事前学習の発表、三島市の多大なるご協力のもとで行われたフィールドワーク、上智大学の吉川まみ先生(上智大学・基盤教育センター  准教授)によるご指導等を経て、各校毎のアクションプランの方向性が定められていきました。「世界の一員としての連帯感と使命感を持って、より良い社会を築くことに貢献する」という意識が、どの生徒たちの中にも根付いているのを強く感じました。これからもつながり合いながら、それぞれの学校での実践を行っていくことを確認し合い、バスが見えなくなるまで別れを惜しむ姿が印象的でした。
https://www.unicef.or.jp/kodomo/sdgs/17goals/11-cities/

2022.08.01

地球の美しさを思いめぐらせる人は

 今年も、7月31日、8月2日の2回、「夏休み子供自然観察ツアー」を企画いたしました。インターネット等でご案内すると瞬く間に定員がいっぱいになってしまい残念ながらお迎え出来なかった方々もいらっしゃいました。本学院の生徒たちも、当日の説明のためのボランティアにたくさん申し込んでくれました。
 地球がかかえる様々な課題を前に、21万坪のキャンパスをいただく学院としての使命を思う日々です。より多くの方々とキャンパスの自然を分かち合っていきたいと願っております。



地球の美しさについて、深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで
生き生きとした精神力をたもちつづけることができるでしょう。 地球の美しさと
神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生にあきて疲れたり、
孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。

         レイチェル・カーソン

 

2022.07.27

夏休みの祈り

 7月22日を最後に、生徒たちをご家庭にお返しいたしました。静かになった学院には、蝉の声が響いています。昨日は、近隣のマリア幼稚園の園児の方々がキャンパスの自然を楽しんで帰られました。夏休みには、マリア修道院(黙想の家・山の家)も、様々な夏のアクティビティのために多くの方々をお迎えします。皆様が、コロナや自然災害等から守られ、充実した時をお過ごしいただけるようにと願っております。

 

2022.07.20

ベトナムの風

 今年も7月16日からの3連休に、オークヒルで「ベトナム カトリック教会関東大会」が開催され400人以上のカトリック信徒の若者が、神父・修道女と共に集いました。山の家に宿泊した方々もいましたが、ほとんどは会場となったオークヒルにテントを張って滞在されました。まるで、聖書の山上の「パンの軌跡」(マタイ14章17節~20節)や「山上の説教」(マタイによる福音書 5~7章)のようでした。かかわったマリア修道院の係の方々は、参加者の信仰の深さ・熱意、分かち合いの精神、そして日本社会やカトリック教会の多様性を実感し、とても感激されていました。


何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。

マタイによる福音書6章33節

   

2022.07.13

見えない思いに支えられて

 学院の廊下等には、あちらこちらに様々な人の手のぬくもりが感じられるものがあります。現在、職員玄関にかけられている涼し気な金魚の飾りは、事務室の一人の先生の奥様の手作りです。先生ご自身からはそれを伺ったことはなかったですし、奥様にも一度もお目にかかったことはありません。校長室前の創立者の小さなご像の前の花や、中学校の階段の踊り場の猫の飾り等、いろいろ作ってくださっています。
 この方以外にも、保護者、先生方、旧職員、卒業生、そしてシスター達の等の思いがこめられた品々が黙って生徒たちを見守っています。学院での日々の中で、生徒たちは、見えない人の思いにも支えられていること、そして人を支えることを習っていきます。

聖心はひとつの家庭です。

マグダレナ・ソフィア・バラ 

2022.07.07

温情の灯会

 7月3日、3年ぶりに温情の灯会が開催されました。温情舎時代の方でご参加いただける方が少なくなり、今回は聖心温情舎時代の方々のご参加でした。「Our Prayers」の表紙となった「祈る少女」の絵のモデルとなられた方もご参加くださいました。70歳を超えられていらっしゃるということですが、当時の面影は失われていません。皆様が、分かち合いの中で一様におっしゃられたのは、「とても幸せな学び舎であった」ということでした。現在の不二聖心女子学院の校歌は、「聖心温情舎の校歌」を引き継いだものです。校名を変更する時、新しい校歌を作ることもできたかもしれませんが、あえてそうしなかったところに感慨深いものを感じたひと時でした。


今日もまた 若き命に培わむ
ああ われらが学び舎 聖心温情舎
木村太郎作詞(聖心温情舎校歌より)