校長室から

2021.01.01

新しい年に

 謹んで、初春のお慶びを申し上げます。

 富士を眺めつつ、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。


あまそそる 富士の高ねし くれないに
はゆるあしたは 
さやけかりける…

  「不二聖心女子学院校歌」より


2020.12.25

Merry Christmas!

  クリスマス、おめでとうございます。

 今年の学院のクリスマス・キャロルは、「環~つなぐ~」をテーマにオンラインで開催されました。生徒達に贈られた御絵には、地球を見守る幼子イエスの姿が描かれています。原画は、聖心会のシスターであるMargaret Mary Nealis(1876-1957)によって描かれたものです。 

 コロナ禍にあって、多くの人々が、大切な人との生涯の別れを経験し、経済的な打撃を受け、教育の機会を奪わるという状態が続いています。様々な意味での分断を経験しているような時であるからこそ、一人ひとりの思いをつなぎ、「クリスマスの心」を具体的に分かち合うことに、いつも以上に意味があるように思います。冬休みの間も、生徒たちは、それぞれの場で、「環 つなぐ」というテーマを賢く実践していくことでしょう。 

2020.12.21

エンジェル制度の起源

 「エンジェル制度は、修道院から始まったのですよね?」
ひとりの先生に尋ねられ、シスターたちの中で、「私のエンジェルはシスター〇〇でした」と仰るのを耳にしたことがあるのを思い出し、何人かのシスターに伺ってみました。

 かつて、このキャンパスには、聖心会の修練院があり、ノビス(修練女)たちが住んでいました。彼女たちには、それぞれ天使のように親切に修道院のことを教える修道女がついていて、その人が「エンジェル」と呼ばれていたそうです。

 当時、寄宿生は、棟続きにあった修道院・修練院のシスターたちとより近く生活していました。そのようなこともあって、やがて寄宿生の高校3年生がエンジェルとして、寄宿生の新入生につき、寄宿舎生活について教えるようになりました。

 通学生にもエンジェル制度が広げられたのは、シスター奥井博子が校長時代のことです。エンジェルになることによって生徒が成長すること、新入生との間に生涯にわたるかかわりが築かれていくことが多いこと等をふまえてのことであったいうことでした。

 19世紀、フランスで修道院を設立母体として始まった学院ならではのエピソードといえるかもしれません。 

2020.12.14

百合の行列

 今年も、「百合の行列」が行われました。本学院ではオンラインも使いながら行われましたが、英国の姉妹校Kilgraston Schoolでは、感染対策を講じながら聖堂で行った様子が配信されてきました。生徒が一年間の留学に赴く学校の一つです。
https://youtu.be/A7ubhb9GSJM

聖心学院における百合の行列の歴史は、19世紀の創立者の時代に遡ります。


On December 8, 1854, Pius IX declared the dogma of the Immaculate Conception. Forty years earlier Mother Barat had dedicated all her schools to Our Lady under that title, and given them December 8 as their patronal feast. On that day in all her convents the lily procession took place, when each child offered a lily to Our Lady with the words: “O Mary, I give you the lily of my heart; be thou its guardian forever.”

Margaret Williams “Madeleine Sophie Barat” (Herder and Herder 1965)


 学院では、「マリア様、私の心の百合をお捧げします。生涯、清く保つことができますように」と唱え、一人ひとりが白い百合をお捧げいたします。毎年、一年の終わりも近づく時に、静かに心の深みに立ち返り、自らの生涯に思いを馳せる大切な時でもあります。

 生徒たちが、聖母マリアのように、かけがえのない今を、そして生涯を、清く、強く生き抜いてきますように。 

2020.12.07

Courage et Confiance!

 12月3日、聖フランシスコザビエルの祝日に、奨学会から寄贈された「少女時代の創立者マグダレナ・ソフィア・バラのご像」の祝別式が行われました。この日は、岩下壮一神父様の記念日(学院の前身である温情舎初代校長)でもあります。聖なる生涯を送られた神父様が、ご自身の洗礼名である聖フランシスコの祝日に神様のもとに召されたことに深い感慨を覚えます。

ご像のもとになった絵は、高校2年生(全員)が「フランス ルーツへの旅」で訪問する創立者のご生家にあります。今回、机上に置かれた紙には、不二聖心の生徒たちへのメッセージとして、「富士山」の絵と”Courage et Confiance!”というフランス語の文字を書いていただきました。富士山の気高さは、神の存在、理想や高みを目指すことの大切さを、日々、生徒たちに語りかけてくれています。また、「勇気と(神への)信頼!」というのは、生前、創立者が語られたお言葉です。コロナ禍にあっても前向きに多様な学びに取り組む生徒たちにふさわしいと考え、祈りを込めて書き入れていただきました。

ご像は、創立者が生徒たちにより近い年齢であった頃の姿が表現されています。全校生が日々目にできるようにと、聖堂前に安置いたしました。「ソフィア」(英知)という名にふさわしく、学ぶことを大切に過ごした聖女に倣って、生徒たちが日々成長していきますよう願います。ご寄贈くださいました保護者の皆様に、心より感謝申し上げます。なお、今後、正式な台座の製作に入ります。 

2020.12.01

勤労感謝の日に

 勤労感謝の日に、キャンパスにある3つの修道院や、学院の様々な場に、生徒たちから感謝のカードが届けられました。手書きの絵、切り絵・貼り絵等で作られた手作りのカードの数々です。修道院では聖堂の祭壇に置いて、学校では職員朝礼で分かち合い、生徒たちのために祈りました。


 感謝を口にすることは礼儀正しく楽しい。感謝を行動で表すことは、高潔で気高い。感謝を生きることは天国に触れること。

To speak gratitude is courteous and pleasant, to enact gratitude is generous and noble, but to live gratitude is to touch Heaven.

Johannes A. Gaertner


 この日は、生徒たちからエネルギーをもらって一日を始められたと思います。学院生活の中で、感謝が感謝を呼ぶようなかかわりを大切にしていきたいです。

2020.11.23

Heart Story

  今月、創基100年記念キャンパス巡礼ガイドブック”Heart Story”が発刊されました。学年の周年誌とは異なるため、比較的自由に考えて作ることができました。裾野市の情報誌『SUSONO STYLE(すそのスタイル)』に倣い、棚の中に置いておく立派な冊子ではなく、身近に携行して読めるようなものをと考えました。

私が聖心会のノビスとして過ごした修練院や大きな修道院は、今は壊され、寄宿舎となりました。アーカイブのシェルドン・コーナーは、マザーダフの院長室であった時代もあるようです。当時の形は失われても、祈りがしみこんでいるように思います。

今は、ここにいらっしゃらない方、天国にいらっしゃる方も含め、皆で作ってきた「不二聖心女子学院」というハート・ストーリーを、これからも皆で丁寧に書いていきたいです。物語の主人公は、いつも、生徒たちです。

2020.11.16

未来への旅

 コロナ禍のため、高校2年生の研修旅行は、フランス「ルーツへの旅」から、沖縄・種子島「未来への旅」に替えて実施する方向で準備が進められています。下見で訪れた種子島宇宙センター宇宙科学技術館で、土井宇宙飛行士の次のような言葉に出会いました。


 スペースシャトルに乗っている私たちにとって、ふるさとと言えば地球しかありません。アメリカも日本もウクライナもインドも、それらの国がどこにあるかは見えなくとも、この地球が私たちのふるさとなのです。(土井隆雄)


 沖縄での平和学習、種子島での宇宙への学びから、生徒たちが生きていく未来についての考えを深め、一人ひとりが神様からいただいている使命を再認識し、勇気と力をいただくような旅にしたいと願っております。

 

2020.11.09

諸聖人の月に

  長く校医として支えてくださった女医先生が帰天されたとのお知らせをいただきました。静かに聴診器をあててじっと耳を澄まされる様子が、お祈りのようだと思うような先生でした。丁寧に人の身体に聴き、神様に聴いて、診察後に言葉を授けてくださっているように思われ、診察室での時の流れが他とは違う印象でした。

heal(癒す)は、ギリシャ語のholosが語源で、「本来の姿に戻る」という意味があると言います。長い間に、どれほど多くの生徒たちが、本来の力を回復するための助けとなってくださったことでしょう。寄宿生に何かがあれば、昼夜・休日を問わず、診てくださいました。不二聖心をとても大切に思っていてくださった先生ご夫妻に、学院も修道院も言葉で表しきれないほどにお世話になりました。

お父様にあたる先代の院長先生は、温情舎初代校長の岩下壮一と親交があったと伺ったことがあります。馬に乗って、御殿場までいらしていたそうです。壮一が校長を務めた温情舎から100年の記念の年に先生が帰天されたことに、深く感じるものがあります。感謝のうちに、これからも天国から学院を守ってくださると信じています。

20201109校長室

2020.11.02

秋のつどい「100 for 1 ~新歩~」に寄せて

 例年、11月3日に実施される「秋のつどい」(学院祭)が、明日に迫りました。本年度は、オンライン開催となります。

 コロナ禍で9月以降もハイブリッド授業が続く中、秋のつどいのために実質的に動き出すことができたのは9月上旬からでした。前期期末試験も迫る時期です。新しい生活様式や時間的制約の中で準備に入った生徒たちを心配していた私の思いが的外れであったことを、目の前に現れた秋のつどい委員長の姿勢が教えてくれました。彼女の表情は、学院史上初のオンライン秋のつどいが開催できることへの感謝に溢れ、新たな試みを楽しんでいるように見えました。他の委員や顧問の先生方も同じであったと思います。前向きなリーダーシップのもと、生徒も教職員も、短い準備期間ながら、制約ではなく可能性に目を向け、「新歩」というスローガンを胸に今日まで進んでまいりました。

 保護者の皆様には生徒たちの思いを汲み取っていただきながら、学習活動の一端をご覧いただけたら、と思います。今回は、一般公開は致しませんが、何らかの形で様子をお伝えできれば、と願っております。なお、生徒達への贈り物として、11月3日(秋のつどい)を発行日とする創基100年記念ハンドブック「Heart Story」を作成いたしまた。後日、お配りする予定です。