フィールド日記
2016.04.24
桐の花
桐の花が見事な花を咲かせています。
北原白秋は5月を桐の花の季節としていますが、不二聖心では既にかなりの花が散ってしまいました。
白秋の時代と現代とでは桐の花の開花時期に若干の違いがあるのかもしれません。
今日のことば
桐の花とカステラの時季となつた。私は何時も桐の花が咲くと冷めたい吹笛フルートの哀音を思ひ出す。五月がきて東京の西洋料理店レストラントの階上にさはやかな夏帽子の淡青い麦稈のにほひが染みわたるころになると、妙にカステラが粉つぽく見えてくる。さうして若い客人のまへに食卓の上の薄いフラスコの水にちらつく桐の花の淡紫色とその暖味のある新しい黄色さとがよく調和して、晩春と初夏とのやはらかい気息のアレンヂメントをしみじみと感ぜしめる。私にはそのばさばさしてどこか手さはりの渋いカステラがかかる場合何より好ましく味はれるのである。 北原白秋