フィールド日記
2013.07.10
ネキトンボの増加とその原因について
2013.07.09 Tuesday
第二牧草地の池でネキトンボの写真を撮りました。ネキトンボについて杉村光俊さんが1985年に次のような文章を書いています。
トンボの世界に異変が起きている。各地でトンボの勢力地図がぬりかえられているのだ。身近なところでは、高知県では未記録だったアオヤンマやオオエゾトンボが、二~三年前からあちこちで見られるようになった。しかも、一頭や二頭という数ではない。また、数が少なく珍種とされていたトンボが、数年間で激増し、すっかり普通種になったものもある。ヨツボシトンボを筆頭に、ヒメアカネ、ネキトンボなどである。
ネキトンボについては、もう一つ注目すべき文章があります。菅野徹さんの『町なかの花ごよみ鳥ごよみ』に収められている文章です。
アキアカネは、眼までは赤くならぬが、アキアカネそっくりで、雄が眼まで真っ赤になるナツアカネというのも町には来るが、どちらかというと山麓性。羽の先端が黒いノシメトンボと、遠目にはノシメトンボと区別のつけがたいコノシメトンボも秋には、アキアカネに混じって町の水辺に現れる。ノシメは北方系、コノシメは南方系だが、横浜の篠原トライアングルでは、一九九七年以降、なぜかコノシメのほうが多くなった。羽の付け根が橙黄色のアカトンボのネキトンボも、一九九六年以降、当トライアングルに珍しくなくなった。ネキトンボも元来、南日本のものでコノシメトンボの増加と合わせて、いわゆる温暖化を示すのか。
これらの文章から、ネキトンボが1985年頃、高知で増え始め、1996年頃には横浜でも珍しい種ではなくなっていたという事実がわかります。増加の原因には十分な注意を払う必要がありそうです。
不二聖心のネキトンボについても、今後の増減について、注目していきたいと思っています。
今日のことば
母なる大地を、私達はもっと清浄に保たねばならない。なぜなら、それは生命の源泉だからである。自然と調和して生きる素朴な心が必要である。人工の楽園に生命の輝きは宿らない。
東山魁夷