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フィールド日記

2013.05.04

モリアオガエルの産卵時期から考える気候変動の可能性



2013.05.04 Saturday
5月2日に行われたオリエンテーリングのポストを撤去している時にモリアオガエルの卵を見つけました。5月2日までには既に産卵がなされていたことが確認できたことになります。毎年、モリアオガエルの卵を初めて見た日を記録するように心がけているのですが、平成23年5月24日のフィールド日記には次のように書きました。


今朝7時に築山の池の縁に生えているシダレザクラの枝にモリアオガエルの卵を見つけました。築山の池での今年最初の産卵ということになります。5月23日の正午の時点ではまだ確認できていませんでしたので、5月23日の正午以降から5月24日の朝までの間に卵が産み付けられたということになります。モリアオガエルの産卵行動は、環境の変化や気候変動の影響を受けます。このようにして、その年の最初の産卵の日時を何年にもわたって記録し続ければ、そこから環境の変化を知ることができるかもしれません。

5月23日と5月2日では産卵時期が大きく異なります。気候変動と関連があるかどうかを判断するにはさらなる知見の蓄積が求められますが、注意すべきデータの一つであることは間違いないと思います。

 2枚目のモリアオガエルが産卵している写真は2009年5月31日に撮影したものです。この年は5月末まで産卵行動が続いていたことがわかります。

今日のことば

私たちが春最初にフィールドに出る日付は、ここのところ徐々に早まっている。七、八年前には最初に出かけるのが五月半ば過ぎだったが、昨年は連休中に北海道の自生地に行くようになった。
私たちが感じている春の早まりは、単なる短期的変動かも知れない。しかし、一〇〇年余にもわたって継続的に集められた生物季節のデータに明瞭なトレンドが認められるとすれば、それは地球温暖化にともなう生物季節の変化といえるであろう。
例えば、春に渡り鳥が初めてニューヨークに姿を見せる日については、一九〇三年からの記録がある。それによれば、夏鳥七六種のうちの半数を超える三九種では、九〇年ほどの間に春の初見日がたしかに早まってきているという。残りの三五種には変化が認められず、遅くなったのはわずか二種のみである。一方、気象衛星による反射光でとらえた植生の季節変化の観測によれば、北半球では一九八〇年以来、春に植物の葉が開くのは八日も早まっている。
このような春の早まりは、いずれも地球温暖化の影響と解釈されている。

鷲谷いづみ  

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