フィールド日記
2012.12.10
コガネグモ科のクモの卵のう 宣教師の見たクモ
2012.12.10 Monday
校舎の裏の道でヤブムラサキの葉についているコガネグモ科のクモの卵のうを見つけました。
いつ見ても不思議な形をしていると思います。12月9日に読売新聞に載った「まちかど四季散歩(菅野徹)」というエッセイの中に、ポルトガル人宣教師がコガネグモ科のクモについて「日葡辞書」に記していると書かれていました。宣教師の幅広い観察眼に驚きますが、さすがの宣教師もコガネグモ科のクモの卵のうがこのような形をしているとは思いもしなかったことでしょう。
今日のことば
この辞書(「日葡辞書」)は、徳川家康が江戸幕府を開いた1603年、長崎でポルトガル人宣教師によって刊行された。当時の自然や風俗も窺える貴重な辞書であり、筆者は邦訳版を常に手もとに置いている。(中略)
日葡辞書には、ジョロウグモも、黄色いしまのある大きなクモとして登場する。ジョロウグモは、体長2~3センチ。本州以南や中国などに分布する。もっとも、九州などでは、もっと太めのコガネグモをジョロウグモと呼ぶから、ポルトガル人宣教師が見たのはコガネグモだったかもしれない。
写真のジョロウグモは1日の夜、破れた網だけ残して生命を終えた。しかし、中には、横浜で年明けまで生き続ける個体もある。地面に対し垂直となるように網を張るこの種類のクモは、普段は頭を下にして餌が掛かるのを待っている。
上臈グモとも女郎グモとも書かれるが、今の日本では、身分の高い女性をさす「上臈」も、遊女をさす「女郎」もなじみのない言葉だろう。むろん400年前のポルトガル宣教師の知らぬことだが。
「まちかど四季散歩」(菅野徹)より