フィールド日記
2012.09.24
ワレモコウ 若山牧水の歌 オトギリソウ
2012.9.24 Monday
牧草地の入り口のところにワレモコウが咲いています。ワレモコウは、新潟県、福井県で
絶滅危惧Ⅱ類、長崎県で準絶滅危惧種に指定されているバラ科の植物です。若山牧水の歌に、
「吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ」という歌があります。
ワレモコウは、その寂しげな風情に深い魅力を感じさせる花です。
すすき野原を歩いていて一つ気付いたことがあります。同じ場所に咲いているオトギリソウの
中に花弁の形の違うものがあるということです。オトギリソウは地域の固有種が多い植物ですが、
花弁の形の違いが何を意味しているのか、もう少し調べてみる必要がありそうです。
今日のことば
何か植物のことをたずねた時に、寺田(寅彦)さんは袖珍の植物図鑑をポケットから取り出し
たのである。山を歩くといろんな植物が目につく、それでこういうものを持って歩いている、
というのである。この成熟した物理学者は、ちょうど初めて自然界の現象に眼が開け来た少年
のように新鮮な興味で自然をながめている。植物にいろんな種類、いろんな形のあることが、
実に不思議でたまらないといった調子である。その話を聞いていると、自分のほうへもひしひし
とその興味が伝わってくる。人間の作る機械よりもはるかに精巧な機構を持った植物が、しかも
実に豊富な変様をもって目の前に展開されている。われわれは驚異の海のただ中に浮かんでいる。
山川草木はことごとく浄光を発して光り輝く。そういったような気持ちを寺田さんはわれわれに
伝えてくれるのである。
和辻哲郎