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フィールド日記

2012.08.04

アブラゼミの羽化  アブラゼミの学名について

  2012.08.04 Saturday


今朝、7時50分に、第1牧草地から第2牧草地へと向かう道を通ったところ、アブラゼ
ミが羽化しているのに出会いました。普段見かける姿とは全く違いますが、すでに翅脈がく
っきりと浮き出ているのがわかります。
「アブラゼミ」は標準和名で、鳴き声が油の煮えたぎる音を想像させるところから付けら
れた名前です。学名は、Graptopsaltria nigrofuscata  (Motschulsky,1866)です。この学
名をめぐって1971年に書かれた「アブラゼミとヒグラシの学名の先取権」(成瀬幹也)とい
う、たいへん興味深い論文があります。この論文では先ず、偶然にも1866年に二人のヨー
ロッパ人によって、アブラゼミに学名が付けられた話が紹介されます。一人はスウェーデン
人のStal、もう一人はロシア人のMotschulskyです。現在はMotschulskyのつけた学名が採
用されているわけですが、実はこの学名が載った出版物の日付が不明確なのです。一方、
Stalの発表した出版物は7月に発行されたことが明らかになっています。成瀬氏は以上の事
実を根拠として、Stalのつけた学名を採用すべきだと主張しています。
日本の一部の地域でアブラゼミが減少していると言われていますが、その原因はよくわか
っていません。
 

 

 

               今日のことば

 178の国や地域が参加したリオの地球環境サミットから今年で20年。地球環境は、今も予
断を許さない。1990年から2010年までの20年で二酸化炭素濃度は10%も上昇した。同じ
20年間で森林は約8860万ヘクタールも消失した。これは日本の面積の2.3倍に相当する。
さらに、今確認できているだけで世界で1万9570種もの生物が絶滅の危機にひんしている。
環境問題の特効薬は、これからも簡単には見つからないだろう。                   

                                山口佳子