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フィールド日記

2012.08.23

NPO法人「土に還る木・森づくりの会」の方々による森の整備  ダイミョウセセリ

  2012.08.23 Thursday


今日はNPO法人「土に還る木・森づくりの会」のメンバーの方々に、「共生の森」の整備をしていただきました。たいへんな暑さの中での長時間の労働に心から感謝申し上げます。


今年もまたダイミョウセセリの幼虫の巣を見つけました。ダイミョウセセリはヤマイモ科の植物の葉を巧みに折りたたんで巣を作ることで知られています。3枚目の写真は成虫の写真です。
生息するチョウの種類から環境の自然度をはかる調査方法がありますが、ある調査では、自然度を5段階に分け、ダイミョウセセリを2番目に自然度の高い環境に属するチョウとして分類していました。




 
 
 


今日のことば

 ゴシュケビッチ夫妻  ―― 伊豆下田の昆虫 ――

 一八五四年、日米和親条約により開港されたばかりの下田港にロシア船ディアナ号が来航し、停泊中に津波に遭い、大破した船を修理のために戸田港へ回航する途中で沈没してしまった話はあまりにも有名である。
これに乗船していた中国語通訳のロシア人ゴシュケビッチは翌年の春まで、下田に滞在を余儀なくされた。この時に下田近辺で採集したたくさんの昆虫標本はセントペテルブルグの王立科学アカデミー博物館に寄贈され、昆虫学者モチュルスキーやメネトリーによって研究、記載された。
静岡県の昆虫研究の幕開けは、約百五十年前の下田港の開港とともに来日外国人によって始まったといえる。その後、伊豆天城山などの昆虫類が日本人学者の手で記載されるが、昆虫相が詳しく解明されるのは静岡昆虫同好会の設立(一九五三年)以降となる。
ゴシュケビッチによって下田で採集され、新種として記載されたものに、シロチョウ科のスジグロロチョウ、カミキリムシ科のノコギリカミキリやヒメスギカミキリなどがある。
また、ジャノメチョウ科のサトキマダラヒカゲ(里黄斑日陰、学名Neope goschkevitschii)のように種名に彼の名が付けられたり、セセリチョウ科のダイミョウセセリ(学名Daimio tethys)のように属名に「大名」と付けられたりしている。河原や海岸の砂地に生息するエリザハンミョウ(学名Cylindera elisae)はゴシュケビッチ夫人エリザの名が付けられている。
このように生物の学名にはよく人の名が付いたものがある。その標本を採集した人や関連する研究者に敬意を表して献名されたものである。
モチュルスキーは異国から送られてくる多数の珍しい昆虫に驚喜し、それらを採集したエリザ夫人の功績を讃えて命名したのであろう。
その後、一八五七年にロシア領事として再来日したゴシュケビッチ夫妻は盛んに昆虫を採集したと言われている。
                                     枝恵太郎

 

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