フィールド日記
2012.08.27
驚異の寄生虫 シヘンチュウ
2012.08.27 Monday
不二農園の方にすすき野原の道を作っていただいたおかげで、牧草地からキャンプ場までの美しい景色を堪能しやすくなりました。本当に感謝しています。この美しい自然の中で今日も自然界のさまざまなドラマが展開しています。
8月23日に「共生の森」で採集したイナゴの幼虫の体内からシヘンチュウが出てきました。
よく似たハリガネムシと同じようにシヘンチュウも寄主を操る術を持っています。特に驚くのはカゲロウに寄生した場合です。シヘンチュウは水中で産卵するために寄主を何とか水辺に向かわせようとします。カゲロウの場合、メスは水辺で産卵しますので、その時にメスを操り、水中へと潜らせます。オスは水辺に向かう習性がありません。その時にシヘンチュウはどうするか。
なんと寄生したカゲロウがオスだった場合には、そのオスを性転換させてしまうというのです。
オスは姿もすっかりメスらしくなり、水辺へと飛んでいき産卵行動に入ります。そしてその時に、操られて水中へと姿を消していくのです。写真のイナゴも「共生の森」から裏の沢へと連れて行かれる運命だったのかもしれません。
今日のことば
本当の科学というものは、自然に対する純真な驚異の念から出発すべきものである。
中谷宇吉郎
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