フィールド日記
2012.01.29
ヒラタアブ類の蛹とクリオオアブラムシ
2012.01.29 Sunday
校舎裏の栗の木についたクリオオアブラムシについて何度かフィールド日記でも紹介してきましたが、さらに3か所でクリオオアブラムシの卵が密集している場所を見付けました。今年は例年になく集団産卵場所が多いように感じます。今回は卵だけでなくヒラタアブ類の蛹も見つけることができました。幼虫の時に、産卵のために集まったクリオオアブラムシを食べ、クリオオアブラムシの卵の密集地の真ん中で蛹化したものと思われます。ヒラタアブはこのようにアブラムシを食べるので益虫としての扱いを受けています。
今日のことば
コノ本ハ深イケレド、コチラノ本ハ深クナイ。アサイ、デス。私が少女時代のすべてを過ごした学校の西洋人の修道女たちは、そういうふうに、いっていた。深イ、は賞讃のことばで、浅イ、はペケだった。深イカンガエヲモツ人ニナッテクダサイ。ことあるごとに、彼女たちはそうくりかえしていた。
深イ、がどういうことなのか、私にはながいこと理解できなかった。深い考え。深い本……。それは、真実、というのとも、すこしずれているようだった。修道女たちがこれもよく口にのぼらせた、真理、というのともちがった。なにが、どういうふうに、すぐれているとき、深い、という形容にふさわしくなるのだろう。学校を出てから、遊んでいても、本を読んでいても、ふと、深イ、という、私には意味がわからなかった彼女たちの判断の基準が胸に浮かんでは私を萎えさせた。それがわからないまま進むのは、まるで洞窟の扉をあけるための呪文を知らない泥棒たちのように、たよりないことだった。
須賀敦子